第11話
「ねえ、お願い、藻太郎成分が吸収出来なくてやばいのお願い、買いに行って」
と肩を掴む力が強くなっていく、痛さと怖さで固まっていると
「てめえ、何抜け駆けしてるんだ、卑怯だぞ」
と兵頭さんがプリクラの中に入ってきて、郷田妹の腕を掴み、俺の肩から引き剥がす。
「何邪魔してくれるの藻太郎成分吸収出来ないじゃん」
「知らねーよ、それよりも負けたのになんでここにいるんだよ、諦めるって言ったろ」
「ふふん、言って無いもんね、好きに受け取れば良いしか言って無いもんね、お前は騙されたんだよ」
「なんだと」
と言って郷田妹を睨む、睨まれた郷田妹は一瞬怯みながらも
「ふ、ふふん、に、に、睨んでも無理だからね」
と若干噛みながらも強気に答えると兵頭さんは一瞬悔しそうな顔をした後、拳を握り
「そうか、それなら」
と言うと兵頭さんはこちらを見上げ
「ねえ、藻太郎、一緒にプリクラを撮りましょう、こんな子ほっといてね、ねえ一緒に撮りましょ」
と言うと郷田妹は笑いながら
「何、その、キモい誘い方、誘い方はこうやるんだよ」
と言うと郷田妹は俺の顎を持ち上げて
「藻太郎、お前の成分を吸収したいんだ、運ぶだけで良い、私の所まで運んでくれないか、そうしないと気が狂ってしまいそうだ」
と言うと郷田妹は両手を組みドヤ顔すると、兵頭さんは笑いながら
「それは逆だと思うぞ、男が女にやるから良いもんだぞ」
と言うと郷田妹は笑いながら
「にわか、にわか、今はな男女関係ないんだぜ」
と言い終わると両者、俺の方を見て
「どっちが良かった藻太郎、私よね」
「いや、私の方だよな藻太郎」
と詰め寄られた。
俺は困り果てて、どうしようと考えていると
「樹、藻太郎を落とせたか」
と郷田兄が中を覗いてくる。
「ちょっと、ちょっと、それは不味いですって、邪魔になりますよ」
「そうですよ、希さん、もうちょっと、空気読んでくださいよ」
とテルとザキの声が聞こえてくる。
「だってな、妹と将来の弟の事だぞ、心配で覗きたくなるだろう」
「でも、大事な場面を邪魔して、失敗したらどうするんですか、ここは兄としてドンと構えてくださいよ」
とテルが言うと郷田兄は悩んだ顔をした後、頷き、こちらを見て
「樹、頑張るんだよ、兵頭なんか目じゃないくらい可愛いからな。兵頭、我が妹に完敗するが良い。じゃ、藻太郎、僕は外に出ているね、また後でね」
と言うと出て行く、すると
「どうしよう、あいつらに聞かれてたんかよー」
「お兄ちゃんのバカー、もう少しで藻太郎落とせてたのにー」
と2人の声が響き渡ったのである。
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