第128話 武王の力
武王と闘神が向き合う。
辺りには息も絶え絶え、何とか生を繋いでいるウォーとシュヴァルツ。
「苛烈だな。武王とは」
惨状に目を配り、武王へと話しかける。
「裏切り者には容赦はしない。樹国の者達は裏切られた時に放っておくのか? であれば滑稽」
「ふははは。お主と同じだ。苛烈に容赦なく始末する。だが…我が主人の方が恐ろしい」
「樹国の王か。会ってみたいものだな。貴殿の様な強者を従える者に」
「つえぇぜ主人は。それもまだ成長している過程だ。どこまでも強くなる。だから我の主人なのだ」
「そうか。ではその主人とやらに貴殿の首を手土産に訪ねてみるとしよう」
天が叫び声をあげるように、猛烈な雷鳴が空気を震わせる。
アポリュオンは己の闘気と魔力、神気を練り合わせ、自身の分身である刀剣を創り出す。
「冥刀『獄冷・
氷属性の刀。
凍える黄泉の寒さを感じ、武王は一歩後退する。神に対して何故か特効性を感じる。
「なんだその武器は。何故か神聖さとは真逆の力を感じる」
「ふははは。ご明察。これは天界とは真逆の世界の力を持っている。差し詰め、地獄の力とでも言おうか」
「成程。神には最も忌み嫌われ、畏れられる力と言うわけか」
「これこそが我が主人から受け取った力の一部よ。天国と地獄、冥界と天界、あの方が何故この様な力を持っておられるかは知らぬがな」
「ふっ。更にその御仁には会いたくなったぞ」
「それは無理だな。貴様は我によって殺され、樹海の養分となるのだから」
「ほう。面白き闘いを期待する。本気で行くぞ」
「来い」
武王は「来たれ」と呟くと己の四つ目を開眼する。
眼が開くと新たな災厄の力が解放される。
「雷獣の邪眼」
雷を操り、アポリュオンへと雷撃を浴びせる。アポリュオンは直ぐに反応し、冥刀で雷を凍らせてしまう。
「ふっ。意味がわからぬな。雷を凍らせるとはこの世の理を超えているな」
「雷気では我には勝てぬぞ。地獄の力とはそういうものだ」
第五の眼を開く。
『災琰の邪眼』は即ち神の力を持つ焔。
「それは流石にコイツでは無理だな。格が一つ上の様だ」
冥刀『獄冷・
刹那の時間で創り出すその隙を武王は見逃さない。
「見るだけで貴殿を燃やし尽くすぞこの眼は」
アポリュオンの体から轟々と焔が立ち昇る。
「くっ。久しいなこの痛みは。弱き頃の記憶が蘇るな」
焔が体にダメージを与え続ける。
「心頭滅却。無念無相」
無我の境地にて極限の集中力を得たアポリュオンは新たな武器を創りだす事に成功する。
「全てを消し去れ。
手に持つは漆黒の刀身、小太刀ほどのサイズ。振るうとシュンシュンと空気を切り裂く音がして、体に纏わりついていた焔がまるで夜空に喰われるように消え去った。
「またもや奇怪な。貴殿の力は何でもありのようだ」
「言っただろう? 主人の力は我等の想像を遥かに超える。貴様がいくら強かろうが主人の力の前には只人と同じだ」
「ではこれはどうだ?」
第六、第七の眼を開く。
第六の邪眼『震天の邪眼』。
第七の邪眼『絶死の邪眼』。
第六の邪眼は世界に地震という大いなる災害を齎す。巨大なる力。
第七の邪眼は魂を消滅させる力。
人であれば見られるだけで魂ごと無へと帰り、輪廻の枠から追放される。
第六の邪眼は大気を震わせ、アポリュオンの体を外部、内部から破壊する。
壮絶なダメージを食らったアポリュオンは口から黒い血を吐き出し、膝を屈する。
追い討ちをかけるように第七の邪眼はアポリュオンの高位なる魂に害を与え、絶大なダメージを与える。
第一の邪眼『
身体能力を莫大に上昇させる邪眼。
第二の邪眼『
怨恨により相手を縛り、操る力を持つ。
第三の邪眼『時止めの邪眼』
相手の体感時間を停止させる力を持つ。
第四の邪眼『雷獣の邪眼』
雷気を意のままに操り攻撃する邪眼。
第五の邪眼『
神気を含ませた焔で相手を焼き尽くす大いなる力を持つ。
第六の邪眼『震天の邪眼』
大気を震わせ、世界を震わせる力を持つ。
世界を滅亡させることも可能な力を一点に集中し、敵の体を崩壊させる事も可能。
第七の邪眼『絶死の邪眼』
魂に干渉し、消えぬダメージを与える。
ある意味では対、神相手では最も厄介な力。
全ての眼が開かれた。
七つの眼、七つの角、見上げる程の巨大な体、厄災の神の真価が解き放たれる。
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