第119話 武王大会の裏では

 武王城の王の間。

7つの眼を持つ武王はその奇妙な眼を二つだけ開けて君臨している。


 特殊な石で造られた椅子に座り、瞑想し、集中力を高めているようだ。


 武王ヤハウ。

彼の者は天を追放された厄災であり、その目的はヒューマンの絶滅と外なる神の駆逐。


 その為にはヒューマンの信仰心が邪魔であると考えた。


 信仰心を力の糧とする今の支配者、現代の神、外から来た神。


 そんな現代神をヤハウは許す事ができなかった。


 旧神とは彼が神として生まれた頃からの知り合いであり、神の何たるかを彼らから学んだ。


 旧神を代表とするのは、四元素の神、闇、光(闇と光は行方が分からないとされる)、海、太陽、雷、破壊、維持など創造神がその肉体を分けて創った神を原初の神、旧神と呼ぶ。


 現在の神は、宇宙からの侵略者であり、神と名乗るだけの高次元生命体である。


 創造神は闇と光の神によって、どこか遠くに封印されていると言われているが、真相は分からなかった。どこに、なぜ、どうやって、厄災の神であるヤハウには到底理解出来る代物ではない。


 彼が出来ることは創造神が封印を解き、彼方から戻ってきた後、現代神という邪魔者を排除しておく事だけ。


 そして他の旧神が今どこにいるのかも彼には分からない。


 とにかく彼が出来るのは厄災神の力を以って、獣人の赤子に化身として生まれ、力を鍛えることだった。


 ようやく、神としての力が全て戻った。

ヒューマンを蹂躙し、絶滅させる時が来たのだ。


 だが、そんな時に厄介な邪魔者が現れた。

樹海の魔王である龍を倒し、半端な復活だったが邪神すら倒した。


 その後の成長は考えられない程の速度で、神となった。私と同じ神。


 なぜだか懐かしい気配も感じる。


 武王、いや、厄災神として樹海の主を殺し、旧神達への土産としよう。


 瞑想も終わり気配感知で大会の様子を窺う。

それぞれの力を感知すると、中々の逸材が残っているようだ。


 しかし、三名ほど自分と同等の力を持つ存在がいる。


 面白い。


 どこかの魔王が神となったか。


 それとも現代神の誰かが顕現したのか。


 いずれにしても厄災の力と武王として極めた武で叩き潰す他あるまい。


 武王は再度、瞑想に入ることにした。



          ✳︎


 えーこちら俺くん。


 そちらはフィルくんですか。


 あっ、フィルくんさぁそのまま武王城に潜入しててくれる?


 ルシくんは別で動いてもらうからさ。


 うん、分かったよ。


 さて、大会ももうすぐ終わりそうだし、武王は彼等に任せて俺くんも仕事しようかね。


 そろそろ本腰入れないと大変な事になりそうだから。


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作者です。


今回も短いですね。

話に出てきた現代神は他の宇宙からの侵略者です。

旧神達はこのフラワーデリアを創り、維持し、発展させてきた神様です。

ちなみに武王ヤハウ、厄災神である彼の主な役割はその名の通り、人類に厄災という試練を与えること。

ただそれには条件があります。

人類が怠惰と色欲に溺れ、人類として成長と発展を辞めた時ですね。

そんな役割を持つ彼は勿論、旧神派です。

派閥はどこの世界にもありますね。


その辺りの話も少しずつしていきたいですね。


旧神はどこにいるのか。


この世界の今の君主である現代神、以後、支配者と呼ぶかも、の目的は何なのか。


ヴァルトメアは武王にはあまり興味無さそうですが、何をしにきたのか。


そして、作者は何故ガリガリくん、ゴールデンパインを今日三本も食べてしまったのか。


気になる所ですね。


みなさん夏バテにはお気をつけて。

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