第77話 快楽と洗脳
どうも俺くんです。
幹部全員で侵入者を追ったよ。
彼等に移動速度で敵うはずもなく、すぐさま捕えられたけどねぇ。
武闘会は、幹部全員が闘い、決勝は仮面の男が棄権をしたという事にして、ムートくんの勝利で終わったよ。
ムートくんは正体を隠しているとはいえ、主人様に勝つなどというのは畏れ多いとゴネにゴネたけどねぇ。
そんなことよりも、折角の客人だ。
攻め込む為の大義が出来るからねぇ。
まぁ大義が無くても滅ぼすんだけどねぇ。
要らない国は滅ぼすのが一番。
ムートくんが侵入者を連れてきた。
気配通り、七名の竜人。
✳︎
「君ら、俺くん達の宣言は聞いてないの?」
ふてぶてしく侵入者の一人が言葉を返す。
「聞いたに決まっている。だが我が国は貴様らの建国なんぞ認めん。いや、我が国のみならず世界の国々が認めるはずがないだろう。」
「へぇ。君らの国が認めようが認めまいがどうだっていい。この世界『フラワーデリア』は俺くんの為の世界なのだから。」
「は?何を言って……。」
侵入者の言葉は遮られ、額に人差し指が刺さる。ズブっと頭に指が第一関節まで入る。
「特別に良い物をあげよう。」
ニヤニヤしながら侵入者を見るヴァルトメア。
侵入者の男の目はグリンと上を向き、ガンギマリ。圧倒的快楽が男を包み込む。
「あ、あ、あああ、あ。」
オリジナル植物『快楽と支配の球根』。
この植物は寄生主の脳に入ると、すぐに大きくなり細かい根を張り巡らせる。脳を支配する為に、ドーパミンを強制的に出させる。セックスの快楽のおよそ10〜100倍。ヴァルトメアの為に動くことで快楽物質は分泌され、凄まじい多幸感に襲われるが、成果によって分泌量は変動する。より多幸感を味わうためにヴァルトメアの為に働かなくてはならなくなり、次第に洗脳されていく。利用価値がなくなった時点で顔にある穴という穴から花が咲き乱れ、死亡する。
ヨダレは口からだらしなく垂れ流され、白目を剥き、全身がピクピクと痙攣する。
彼が今味わった快楽度は20倍。
球根が細かな根を張る為に寄生主を死なさない為に強制的に分泌させるドーパミン。
痙攣、そして快楽が徐々に薄くなっていき、現実に引き戻される。
「あ、あ、あううあぅ。な、んだったんだ?物凄く気持ちよかった。」
「だから特別に良い物、だって。」
麻薬よりもタチの悪い物を脳へと埋め込まれた哀れな侵入者。
「も、もっと欲しい。気持ち良くな、なりたい。」
「だったら全ての情報を話しなよぉ。いくら俺くんでも細かな情報は知らないからね。大まかな事は君らの国の木々が教えてくれたよ。」
「よ、よせ!!祖国を裏切る気か!!」
まだ球根を埋め込まれていない侵入者が喚き、必死に売国奴を止めようとする。
「う、うるせーよ。お前らも味わってみろ。へへへっ。この世のどんな事よりも気持ちいいぜ?俺はその為なら何だってする。足だって舐める。」
「いや、それは汚いからいいや。」
「そんなこと言わないでくださいよぉ旦那ぁ。もっと気持ちよくなりたいんだ。何だって聞いてくださいよぉ。気持ちよくしてくれよぉおお。」
「なんか気持ち悪い。」
男の顔面を蹴り上げると、上下にブルンブルンと揺さぶられて失神した。
「ごめ、気持ち悪かったからつい。んで、君らにも特別な物、与えてあげるからねぇ。あっ、でもこんなふうに気持ち悪い感じにはならないでね。」
抵抗する全ての侵入者に球根を埋め込むと、同じく快楽の海へと旅立っていった。
こうして、従順な奴隷が出来上がったのだった。
竜の国の正確な情報を手に入れたが、どうやら龍神達を目覚めさせ、世界の覇権を握る為に動き出したようだった。何体かの龍神をこの樹国へと向かわせ侵略。その経過をこの男達に報告させるつもりでいたようだ。
樹海に潜んでいた時に、武闘会を開いている所を目にし、幹部達の実力を見る良い機会と思い、近づいたところを捕えられたということだった。
ヴァルトメアが周囲にいる幹部達に語りかける。
「俺くんさぁ、この世界を支配する為に生まれたんだと思うんだよね。ほら、そこにいる気に入らない奴らからこの世界を奪う為にね。」
指を天へと向けながら話すヴァルトメア。
「主人様に着いて行きます。なんなりと御命令を。」
エーデルムートが幹部達を代表して言葉を返す。
「じゃあみんなで、気に入らない奴らと国を潰しに行こうか。」
破滅を呼ぶ神々がこの世界に渾沌を
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