第34話 邪神ルナティーク
神界。
そこは神々が座し、それぞれの役割を果たし、その役割に応じてその存在を成り立たせている。
例えば、鉄の神。
山や地面の岩盤に鉄を作り、人々の暮らしに役立たせる事で力を養う。
例えば、水の神。
命の源である水を世界に循環させ、多種族多生物の命を守る事で力を養う。
その他大勢の神はその役割が決まっており、その責務を果たす。それが理である。
では邪神はどうか。
この世に混乱と殺意と悪意を齎す事で力を養うのだ。精神操作はお手のもの。
聖女とは?
それは邪神と精神、魂共に相性が良い者を邪神が選別し、加護という呪いを与え、支配した者を呼称する。
異世界召喚の儀。
その儀式の結果、邪神と通じ、邪神本体からの加護とスキルを得た過去の聖女から脈々と受け継がれ、少しずつ少しずつ準備をしてきた。
まさに今、世界は聖女と邪神に支配されようとしている。
そして、神降ろしの儀式いや、邪神封印解除の儀にて、幾十万もの贄を使い、邪神が樹海近辺へと召喚された。
邪神ルナティーク。
見る者を混乱させ、惑わし、依存させる能力を持ち、その精神支配は殺意と悪意を起こさせる。
黒き存在は、古の勇者により、永い時間封印され、解かれ異次元から現れた。
樹海上空。
巨大な黒き姿に禍々しい神力を放っている。
「ふははは。この世界に神である我が顕現した。愚かな人間を根絶やし、その恐怖と混沌で我は力を養う。我が神界の支配者となるのだ」
(ルナティーク様、聖女ツキヒメでございます。)
「聖女か。大義であったな。我を顕現させるとはな。しかし何故こんな不完全な状態なのだ」
(それは魂が贄とならなかったからでしょう。大丈夫です。恐らく、樹海に魂を回収した者がいるはずです。その者を殺し、奪い取れば良いのです)
邪神は嗤う。
「なるほどな。少しめんどうだが仕方あるまい。樹海とやらに侵略へと向かおう」
(邪神様には不必要かと思いますが、樹海の者たちにはお気をつけください)
「ふははは。必要ない。どうせ不完全なる我でもどうとでもなるだろう。安心して待つが良いわ」
(はい。ではいってらっしゃいませ)
邪神ルナティークは樹海に向けて、神力を込めた魔法を放つ。
北海道ほどのある広さでも、神の一撃を以てすれば、滅ぶのは明白。
そこに同じく理を外れた者がいなければ。
樹海に放たれた魔法は突如現れた見たことも無いような植物によって阻まれた。
目を丸くしていると、ルナティークの腕を植物が絡めとる。そして成長し、全身にその植物が絡まっていく。全身に本気や神力を纏い、放つことでやっと植物の束縛が取れた。
「何だ、今のは!!この我が縛られるとは」
樹海の主人がその圧倒的な力を解放する。
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