クラス転移は悪魔と共に〜史上最強の悪魔使い、興味本位で勇者召喚に巻き込まれる〜

あおぞら@書籍9月3日発売

第1章 悪魔使い、異世界を楽しむ

第1話 お邪魔します、異世界!

「———つまんねぇな……」


 俺———魔影まかげとおるは、クラスの1番後ろの窓側の席という最高だけどぼっちが好む場所で、窓の外の綺麗に晴れ渡った青空を見ながら1人呟く。

 ただ、残念ながら友達はこのクラスにはいないので誰も話す人が居ないぼっちである。

 俺にとっては。


「あー、何で学校なんかクソダルい所に行かなきゃいけねぇんだよ……」


 ボリボリと頭をかいて机に突っ伏す。

 同時にまだ1時間目が終わったばかりなので後6時間あると気付いて、更にテンションがダダ下がる。

 多分この陰湿とした気持ちは、学校が消滅しない限り消えないと思う。

 消えてしまえ、学校。


 そんな俺とは違い、俺のクラスメイト達は今日も元気な様だ。

 至る所でそれぞれのグループでたむろってワイワイ騒いでいる———げっ、また面倒な奴らが……。


 机に突っ伏した俺がチラッと教室の真ん中を見れば……非常に残念なことに2人の男子と偶々目が合ってしまう。

 同時に2人の目がキラリと光ったかと思えば此方にニヤニヤと笑みを浮かべてやって来たでは無いか。


「お〜〜い、透〜〜いい加減毎時間寝るのやめろよ〜〜!」

「そうだぜ透! 俺達の仲だろ!? なぁ今日は何して遊ぶ!?」

「……」

「おいおいおい〜〜!? 流石に無視は無しだぞ〜〜?」

「なぁ、今日はバスケしようぜ!? バスケットボールは無いけどな! 代わりにサッカーボールでやろうぜ!」


 ……チッ、相変わらず押しの強い奴らめ。


「……俺からすればお前らのテンションが意味分かんねぇよ……」


 俺は本当に仕方なく机から頭を上げて2人の男子———三井みつい一樹いつき中原なかはら源太げんたに目を向ける。

 一樹が間延びした口調の金髪チャラ男、源太が日焼けの激しいめちゃくちゃ体育会系男子で……不本意ながら2人とも幼馴染だ。

 因みに一樹の髪色は普通に校則的にアウトである。

 早く直せ。


「逆に透がテンション低過ぎんだよ〜〜」

「これが平常運転だ」

「嘘つけ!? 俺らは知ってるぞ! 面白いことがあった時は物凄いテンションが高いことをな!!」


 ……これだから幼馴染とかいう腐れ縁は面倒なんだ。

 それに混ざっていた……過去の俺も。


 俺は頭の中で響く声を止めるために一度頭を振る。

 横で「おっ、出た。お得意の頭振り」とかしょうもないことを言ってくる、名前は伏せるが某源太とかいう奴を無視して、ズンズンと此方に向かってくる集団に目を向けた。

 期待に胸を膨らませながら。


「ちょっと一樹! またコイツと話してるわけ!?」

「げっ、朱音……べ、別に俺が透と話しても別に良くな〜い?」

「へぇ……彼女の私じゃなくてこの男を選ぶんだぁ?」

「そういうことじゃなくてですね〜……」


 そう言って一樹に詰め寄る女の名前は、浅倉朱音。

 チャラ男の彼女なだけあって、お揃いの金髪姿の束縛強めの美少女ギャルだ。


 そして……俺の救世主でもある。


「助けてくれ、浅倉。一樹が俺の楽しい楽しい睡眠を邪魔してくるんだ」

「任せなさい。ちっとも楽しそうじゃ無いけど連れてってあげるから!!」

「ちょ、2人とも酷過ぎない!? と、透〜〜助けてくれ〜〜!!」

「あばよ」


 何て言ったその時———。



「———あ、何だこれ?」


 

 クラスの誰かが突然声を上げると同時に床に何か幾何学的な紋様が現れて———この教室を包み込む様に光が輝いた。

 


「———アスタロト」












「———お前の意見を聞かせてくれ、アスタロト……!」


 人も、雲も、時間も、光も、空気も、何もかもが停止した世界。

 そんな世界で、俺は周りに影響を及ぼさないためにそっと半径10センチ内に人が入らない様に離れる。

 その後で俺の肩にポンッと現れた、小さな翼と角の生えたマスコットの様な見た目の真っ黒の生命体に問い掛けた。


『主人よ……。その前に、何故それほどテンションが高いのだ……?』

「だって面白そうじゃないか……!」


 こんなに面白そうなことが起きているのにテンションが上がらない奴がいるわけない!

  

 キラキラと瞳を輝かせる俺に、アスタロトは大きくため息を吐いた。


『流石を使役する主人であるな……』

「俺的には、良くラノベにある『異世界転移』な気がするんだが……お前から見てどうだ?」


 俺の問い掛けに、アスタロトは一瞬考える素振りを見せたものの、直ぐに断言した。


『うむ、主人の想像通りだ。我が視た未来ではこの世界に我らの存在はない』

「おぉ! 何だよ最高じゃないか……! 最近学校生活がつまらなかったんだよな」

『それはも同感だ』


 よしよし……それならこのまま抵抗しなくても問題無いかもな。

 もしもの時は生き返らせて貰えばいい。


「じゃあアスタロト———元に戻せ」

『承知した』


 その瞬間———世界の時間が動き出し、俺達も光に呑み込まれた。


————————————————————————

 どうもあおぞらです。

 今作は一風変わったクラス転移になると思います。

 気に入って下されば、☆☆☆とフォロー宜しくお願いします!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る