1-4 少年は目を覚ます 4

 腹を満たして、少しだけ休憩したことで、少しは体力も回復した。彼は食料庫の隣のドアを開いた。そのドアは、一階で開けてないドアの最後に一つだ。彼は多少警戒しながら、ドアを開いた。中には大量の服があった。その服はハンガーにかけられていて、綺麗に並べられていた。一応、彼は部屋の中に入ったが、ドアが閉まることもなく、罠ではないようだった。しかし、そこに並ぶ服は彼の好みのものはない。そこに並べられている服はワンピースやタイトパンツなどで、彼が着たいと思うものは一つもなかった。全く服には興味がなく、彼は次の部屋を目指す。


 次の部屋は二階だ。彼は階段を上がり、また右からドアを開くことにした。中央の一つ左に椅子とテーブルが置いていることはわかっているため、その部屋は開ける必要はないだろう。彼はそう考えながら、一番右の部屋の扉を開いた。また警戒しながら、彼は部屋の中を除いた。その部屋を見た瞬間、彼の脳に電撃が走る。記憶の一部が思い出される。その部屋にあったのは、槍や棒などの一番原始的な武器だ。盾も木製のものだ。しかし、それはれっきとした武器だった。彼は武器らしい武器を創造することができるようになったのだ。そして、そこにあるものの使い方は記憶が教えてくれる。なんとも不思議な感覚だが、自身の記憶を見れば、自分は武器を持つと高揚感を持っていたようだ。そして、今もそこにあるバッドを手にすると、なぜか手になじむような気がしていた。彼は木製の体の半分も隠れない小さな盾、バックラーを左手に持った。木製というのは心許ないが、それでもないよりはましだろう。彼は武器庫の中を少しだけ漁り、そこにあった木製の槍、棍棒、棒、盾を創造することができるようになったことを自覚した。これで、魔法と武器を組み合わせて戦うことができるだろう。彼は満足したように、武器庫から出てきた。彼は右手に棒、左手にバックラーを持っている。


 彼は武器を持って、次のドアを開いた。彼は浮かれていた。警戒せずに、次のドアをくぐり、部屋の中に入ってしまった。彼が部屋の中に入ると、何か音が聞こえた。明らかに何かが動いているはずなのに、彼はその音を聞き逃した。そして、次の瞬間には目の前に何かが表れていて、それが自身のタックルしてきたことを自覚したのはふっとばされた後だった。かなりの衝撃で、体の骨でも折れているのではないかと思えるほどだった。彼が立ち上がる前に、その何かが自分の再び突進してきているのが視界に入った。空中から自分に向かって飛んできている。後ろに壁がある状態であの衝撃を体で受ければ、本当に骨が折れてしまうかもしれない。彼は横に転がり、体当たりを回避した。彼は油断した気持ちを引き締めて、立ち上がる。既に目の前に敵がいる。今の攻撃を再び受けるわけにはいかない。一度目は運よく、怪我もしなかったが、次も同じように怪我もしないとは限らない。


 彼は盾と棒を構えて、戦闘態勢を取った。武器の扱い方はわかるが、達人というほどには使えない。あくまで一般人と同じくらいにしか使えないのだ。相手は、彼が立ち上がり、戦闘態勢に入ったことを警戒しているのか、すぐには近づいてこなかった。


 彼の視界に自分にタックルしてきた敵が映った。その姿は空飛ぶ豚だ。小さな羽が背中に生えていて、それをパタパタと動かして空を飛んでいる。彼の記憶には豚の知識はないが、もし持っていればその豚が一回りほど小さいと感じただろう。豚はフゴフゴと鳴いている。しかし、彼が攻撃してこないとわかると、すぐに突進のために少し後ろに下がり、彼にタックルしようとしていた。彼は相手の攻撃を簡単に回避して、棒を振るってカウンターを豚に当てようとしていた。しかし、豚が小さいせいか、棒がその敵に当たらなかった。空中で自由に体勢を変えることができるだけで、攻撃を当てるのは難しいだろう。平面で戦えば、こんな豚に負けるはずはないのだが、空を飛び三次元的な戦い方をしているだけで、攻撃を当てるのが難しくなっていた。しかし、彼にはその難しさを意識する知識は未だない。だから、彼は自分から豚に近づいて、棒を振るう。縦に横に振るったが、豚は軽々回避した。彼はさらに近づいて、相手との距離を縮めて攻撃する。近づくときには、棒を短く持って敵を突く。真っすぐに伸びたが、相手は棒が突くのに合わせて後ろに下がった。しかし、豚の顔面に棒の先端が突き刺さる。彼は棒で突く動作の途中で棒を長く持ち直して、さらに棒を伸ばしたのだ。豚にはそれを認識する力はなかったようだ。

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