第4話

実朝が亡くなった事を知った後鳥羽上皇は挙兵。

鎌倉幕府に危機は迫っていた。

鎌倉幕府の武士には、朝廷に味方しようとする者も少なくなかった。

政子が立ち上がらなければ、幕府は滅亡する。

そんな状況だった。

政子は、一瞬、大人しく朝廷に従おうかと思った。

しかし頼朝と初めて会った時の瞬間を思い出した。

そして、頼家や実朝達と一緒に遊んだ時間も、ほんの数秒前の出来事の様に、はっきりと思い浮かんできた。

(まだ終われない…!)

数日後。政子は、鎌倉幕府の武士達を集めた。

武士達は騒ついていた。

「皆の者!」

政子が叫ぶと、辺りはしんとした。

「これが、私からの最後の言葉です!

 昔、幕府ができる前!皆の生活はどんな物でしたか!?朝廷や公家から雑に扱われましたよね!?苦しかったですよね!?その苦しい生活を抜け出して、自分の土地を守れるようになったのは誰のおかげでしょうか!?」

「頼朝様のおかげです」

誰かがそう言うと、

「その通りです!皆はその御恩をお忘れですか!?頼朝公への御恩は山よりも高く、海よりも深いのです!それでも朝廷に味方するのならば、今すぐここを出て、朝廷に味方しなさい!」

その言葉を聞いて、数分前まで朝廷に味方しようとしていた武士達も、皆幕府方に着いた。


その頃。

「上皇様。幕府の武士への対策はどう...」

「奴らはどんなに野蛮でも朝廷には逆らえぬはず。対策などしなくて良い」



しかし。そんな上皇の予想を裏切り、幕府は攻めてきた。

「なんと野蛮な…」

そして、結局後鳥羽上皇は流された。


それから4年。

政子は病にかかっていた。

(頼朝様…すぐに会いに…行き…ます…)

嘉禄元年、北条政子、死去。享年69。

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