第15話 【幸太】気になってきた
美波と別れて以降、恋愛のごたごたが面倒くさくなり現実逃避していた俺だが、最近は陽奈のことで頭がいっぱいだ。
仕事中も、陽奈とのチャットを何度も読み返してしまうし、家にいても陽奈の顔が頭から離れない。
年下はタイプじゃないと思ってたんだけど、忠実で一途な感じは悪くない。
俺のことすごい好きそうだし。
若い頃はそれなりにやんちゃもしてきたが、もう30代。この先誰かと付き合うなら、真剣に結婚を考えられる人がいい。
病気がちな一人暮らしの母さんにも、早く安心してもらいたい。
でも、妹より年下、おまけに妹と同じ名前、しかも職場の若い子だなんて、家族はどう思うだろうか。
女だらけの俺の実家で、すんなり馴染んでいけるだろうか。
陽奈の家族だって、急に俺みたいなオッサンを紹介されても困るんじゃないだろうか。
陽奈の家族‥??
そういや、陽奈の家族のこと何も知らないな。
そうだよな。まだ2人でまだ遊んだこともないし。
何をはやまって結婚とか考えてんだ、俺は。
早く陽奈の絵が描きたい。
笑った顔
怒った顔
困った顔
いじけた顔
ヤキモチやいてる顔
恥ずかしがる顔
、、、、、、、、、、、、
どんな顔するんだろう。
陽奈の色んな顔が見たい。シャッターを切るように、色んな表情を切り取って絵におさめたい。
画面をスクロールする手を止め、無意識に、俺は陽奈を描いていた。
ふんわりした髪の毛
柔らかそうなぷるぷるの唇
キリッとしてるのに笑うとタレ目になる潤んだ瞳
俺はスマホを手に取った。
------------------------------------------------------------
ひなちゃん、来週だけど、
混むから、朝メシ車で食って、早い時間から海いこうよ。
で、昼もどっかで食って、別の場所でもひなちゃんを描かせてほしいな。
ひなちゃんの色んな顔が描きたい。
------------------------------------------------------------
ストレートすぎるか。
でもこれが今の俺の本音だ。
しばらくして、ひなから返事が来た。
------------------------------------------------------------
こんばんは!
お仕事お疲れ様です。
朝から、もちろんOKです♪早起きなので
何時でもokです!!
海以外にも連れて行って頂けるの、とっても嬉しいです!描いてもらうのはちょっと恥ずかしいですが、楽しみにしてます!
------------------------------------------------------------
もはやなんでも受け入れてくれそうな返信だ。俺の家で描きたいっていったら、「もちろんokです!」って返してくるんだろうか。
もやもやしてきた俺は、パソコンを消して布団に寝転がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます