第2話 新人秘書 陽奈〜ひな〜
前職の退職後、4ヶ月間の就活難を乗り越えて、ようやく今の職場にたどりついた。
今、入社1ヶ月目である。
以前は医療系の仕事をしていたので、職場は常にギスギスして緊迫感があったが、IT系は良い。まあ、いうのもなんだが8割はオタク系で、おとなしい社員が多いので、がみがみしたり怒鳴ったりする人がいなく、落ち着いて仕事ができる。
私はここで管理職の秘書として採用された。
ビルは10階建てで、1階と2階に私と同じような秘書的役割の女性がいる。1階の秘書さんが、いわゆるお局さんと思われる気の強い女性で、2階の秘書さんは歳が近そうだ。右も左も分からない私を、なにかと気にかけてくれる。
その他のフロアはエンジニアさんのみのフロアとなっており、ほとんどが男性だ。全社員は協力会社さんをあわせたら100人は軽く超えるだろう。女性エンジニアは人数が少ないので全員の顔と名前が一致したが、男性はまだ、数名しか覚えられていない。
3年前から付き合っている彼氏とは、別れたりらヨリをもどしたり、また別れたりの1-2年だったので、結婚はほど遠そうだし、28迄には結婚したいから、そろそろ新たな恋でもできるといいなと期待している。笑
私の上司である神山部長と稲田副部長は、このビルのNO.2、NO.3である。
神山部長は、寡黙な40代、稲田副部長は、お人よしな30代‥と予想しているが、人は見かけによらないので、年齢はあくまでも予想だ。
フロアの中で、私と上司の3人が同じシマで作業し、他の社員とはパーテーションでエリアが区切られている。
神山部長は独特の威厳があり、社内でも少し気を使われている存在だ。
私に頼み事をしてくる社員は、神山部長の不在時にパーテーションをのぞいてからやってくる。
「秘書さん、お願いがあるんだけどー」
パーテーションの裏にいる、幸村(ゆきむら)さんが声をかけてきた。性格に難があるが、ダンディでおしゃれなおひげのオジサマだ。
2階の秘書、恵(めぐ)は、言いたいことをズバズバいう幸村さんと相性が悪いらしく、よく幸村さんの愚痴をいっているが、私は個性的な人は結構タイプだ。
とはいえ、幸村さんは既婚なので、他にときめける人を探さなくてはならない。早くみんなの顔を覚えよう。
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