サヨナラ三角、またきて四角

タカナシ トーヤ

プロローグ

第1話 童顔SE、奏多〜かなた〜

最近、ビルの別フロアに新人秘書が入ってきた。陽奈(ひな)というらしい。

話したことはないが、結構好みだ。

スレンダーでタイトなファッション、おそらく俺より何個か年下の20代前半だと思われるが、ロングな巻き髪と、クールで落ち着いた雰囲気。


俺の仕事はシステムエンジニアだ。新卒で今の会社に入って6年目になる。後輩は数名いるが、役職はまだついていない。

会社は10階建ての自社ビルだが、陽奈のフロアは8階で、俺は3階勤務なのでなかなか接点がない。


しかし、先週の木曜日、通勤時間が近いことに気がついた。俺がビルの向かいのコンビニで買い物をしているときに、陽奈がビルへ入って行くのを見た。


そんなわけで、先週の金曜日から、俺は毎朝8時10分頃、コンビニで立ち読みをするふりをしながら、陽奈が通り過ぎるのをちらちらと横目で眺めて待っている。


昨日あたりから、俺がコンビニに入るとすぐ、「私服警備員が巡回しています」というアナウンスが大きな音で流れてくるようになった気がするが、こういうのは時間で流しているはずだし、気のせいだろう。


とはいえ、俺もやや不審者であるが、悪いが俺はそのへんのオタクとは違ってそこそこイケメンである。背も高いほうだ。シャイボーイではあるが、お酒を飲めば女性に対してもグイグイいける。



あ、陽奈が来た!!



今日もタイトなスカートにブラウス、カーディガンをあわせている。足フェチの俺には体型の出るファッションはたまらない。

ついついぴったりしたスカートや足に目がいってしまう。


陽奈は幸い俺のことには気づいていないようだ。気づいてほしいが、気づかれたら気付かれたでまた眺めにくくなるから、このままでいい。


しばらくは陽奈を見ているだけで満足だ。

酒の席で一緒にさえなれば、うまく喋ってデートに誘えるはず。

そこまで機会を待つとしよう。


あ、陽奈に気を取られすぎて気にしていなかったが、俺が手に取っていたのはエロ本だった・・・

万が一、陽奈に気付かれたらまずいから、明日から気をつけねば。




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