第18話 そもそも自然界ではメスがオスを選ぶのだ

「疑問はとけた、かな? じゃあそろそろ……」


 露骨に布団をめくろうとするロボ。


「ま、待てよ。あんたが見えるからって名前も知らないような相手にそんな何で……」


「フィーリング、かな。目が合った時にはっきり感じたのだ」


「そんなあいまいな……」


「そもそも自然界ではメスがオスを選ぶのだ。感覚が一番大事だ。……が、確かに名前は知りたい、かな。キミの名前は?」


「南田……友、だけど」


「ではユウと呼ぼう。マイハニー・ユウ」


「なんかのコンビ名みたいに言わないでくれ……」


 何にせよ、ロボに対する警戒は今やほとんど薄れていた。


 もうこれでコイツが人食いだったら、おれの見る目が無いのが悪い。


「さて、もういい、かな?」


「い、いや、まだ疑問はある。どこから来たのかとか、何でこの町に来たのかとか……」


「おあずけが過ぎるぞ……」


 彼女は頬を膨らませた。漫画みたいなヤツだなほんとに。


「どこからと言われれば、生まれはイタリア、かな。だが、もうずっと前につがいを探して世界へ旅に出たので、イタリア的ではないと思うぞ。世界中を巡っていたからな。まぁ年齢は秘密にしておこう」


 イタリア的というのもわからないが。


「それが、何でこの町に来たんだ? 世界中回ったとしてもここはマイナーが過ぎるだろ」


「それは想像つかない、かな? ユウは、多分東京に行ったはずだ」


「……? 去年になら行ったけど」


 丁度、例の修学旅行で一瞬だけ。でもそれが何だと言うんだろう。


「追いかけてきてたぞ。淀みから生まれたバケモノたちが」

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