続 村の少年探偵・隆 その10 動物愛護
山谷麻也
第1話 猫やーい
昔から、捨て犬・捨て猫はあったはずだ。ところが四国の山奥で育った隆には、捨て猫を見た記憶があまりない。特に生まれたばかりの仔猫にとって、山間部の環境は生存していくには厳しかったのかもしれない。
隆の家でも、猫を飼っていた時期があった。
普段なら洋一や修司と山に遊びに行くところを、その日に限り、飼い猫を連れて山に入って行った。
猫はあちこち寄り道したり、藪に入ったりしながらも、隆を追いかけていた。
ずいぶん遠くまできた。山道に腰を下ろして、一休みした。好奇心旺盛な猫は、カサカサと音を立てて動いていた。
(もう、帰ろうか)
と周囲を見渡した。猫は現れない。
名前を呼んだ。反応はなかった。
猫がいなくなった理由は不明だった。山に行くたびに、それとなく探したものだった。
「まあ、あの猫はどこへ行ったんやろ?」
母親は父親と話していた。父親は「さあ」と言った切りだった。
隆は息をつめて聴いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます