続 村の少年探偵・隆 その10 動物愛護

山谷麻也

第1話 猫やーい

 昔から、捨て犬・捨て猫はあったはずだ。ところが四国の山奥で育った隆には、捨て猫を見た記憶があまりない。特に生まれたばかりの仔猫にとって、山間部の環境は生存していくには厳しかったのかもしれない。


 隆の家でも、猫を飼っていた時期があった。

 普段なら洋一や修司と山に遊びに行くところを、その日に限り、飼い猫を連れて山に入って行った。

 猫はあちこち寄り道したり、藪に入ったりしながらも、隆を追いかけていた。

 ずいぶん遠くまできた。山道に腰を下ろして、一休みした。好奇心旺盛な猫は、カサカサと音を立てて動いていた。


(もう、帰ろうか)

 と周囲を見渡した。猫は現れない。

 名前を呼んだ。反応はなかった。


 猫がいなくなった理由は不明だった。山に行くたびに、それとなく探したものだった。

「まあ、あの猫はどこへ行ったんやろ?」

 母親は父親と話していた。父親は「さあ」と言った切りだった。

 隆は息をつめて聴いていた。

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