世界の終わりに、君と

@newrookie

ending start

 『ねぇ、君はさ——と思う?——いや、なんでもない。ごめんね…でもいつか、またどこかで逢えたら——君の名前、教えてね。——じゃあね。ばいばい。』



 「はっ——!?」


 また、同じ夢だ。僕はこの夢を六年間、ずっと見続けている。6年前の——から。


 忘れもしない、あの日。2640年、3月12日。あの日世界は——滅亡した。


 文字通り、史上最大の地震だった。全世界で同時に発生し、直後に全ての機関が崩壊したため、被害の規模さえわからない、最大の災害。建物は崩壊し、地盤沈下により地上は水没した。


 その地震は、全ての文明を飲み込んだ。


 唯一わかるのは——“かつて日本と呼ばれた地上にいた人類のほとんどが死に、それ以外わからない”、ということだけだった。


 そして僕はその日から、毎日同じ夢を見るようになった。


 ビルの屋上で、白いワンピースに、麦わら帽子を被った少女が世界の終わりについて語る夢。そしていつも、決まって口にする言葉——


『——じゃあね。ばいばい。』


 あの日。世界が滅んだ日。

 


  僕は彼女を——探し続けている。



 あの日から、今日で6年8ヶ月と16日。滅亡した世界で、に意味があるとは思えないが。


 これまで何の手がかりもなければ、そもそも手がかりがあるのかさえわからない。


 特に深い訳があるわけでもない。聞き覚えのある声。見覚えのある場所。そして——聞き覚えのある言葉。


 それらが、僕に少女の確かな存在を確信させていた。

 壊れた世界で。何の意味もない世界で。

 


 それでも僕は——君を探し続ける。

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