バスタブ

みっちゃん87

湯気に包まれた選択

夜は深まり、街の喧騒は遠ざかる。飲屋街を抜け、細い路地を歩く二人の青年。彼らの前に、予告もなく現れたのは、一つのバスタブ。古びてはいるが、そこから立ち上る湯気は誘うように彼らを包み込む。


細い路地の秘密

「こんな場所にバスタブがあるなんて…」主人公の言葉は霧の中に溶けていく。そのバスタブからは、ほのかに甘い香りが漂い、不思議な魅力が二人を引き寄せる。しかし、それは同時に、未知なる恐怖への入口だった。


老人の囁き

湯に浸かると、ふいに空気が凍りつく。老人が現れ、静かに囁く。「湯加減はどうじゃな」。この問いかけは、ただの挨拶ではない。運命の分かれ道。良いと答えれば、ただの夜として終わる。しかし、それ以外の言葉を口にすると…


消えた青年

「少し熱いかな」と漏らした瞬間、主人公は霧の中に消えた。残された友人は、恐怖と混乱の中で叫ぶが、声は虚空に吸い込まれる。バスタブも、老人も、そして主人公も、霧と共になくなった。


霧の中の真実

消えた主人公は、現実とは異なる、暗く冷たい世界へと迷い込む。そこは過去の罪と悲しみが渦巻く場所。彼の「熱い」という言葉が開いた扉から、彼はこの世界の秘密と向き合うことになる。


逃れられない選択

主人公が直面するのは、ただの恐怖ではない。自身の内面との闘い、そして過去の霊たちが語りかける真実。バスタブは、その全てを受け入れ、乗り越えるための試練だったのだ。


帰還と啓示

苦悩と恐怖の末、主人公は現実への道を見つける。しかし、彼を待っていたのは、変わり果てた自己と、再び訪れるかもしれない選択の恐怖だった。霧は晴れ、バスタブも老人もない。ただ、彼の心に刻まれた深い恐怖だけが残る。


『バスタブ: 湯気に包まれた選択』

この物語は、一見すると日常から一歩踏み出した奇妙な出来事に見えるが、実は我々が日々抱える恐怖、選択、そしてその後の責任について深く問いかけている。バスタブの中で、あなたは何を見る?そして、老人が問うとき、あなたは何と答える?

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バスタブ みっちゃん87 @bosanezaki92

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