第17話

携帯


携帯を持つ前は、

親類、友人の電話番号を最低5件は記憶していた。

語呂合わせをして覚えたり何度かかけるうちに覚えたり、必要に迫って覚えたりしたものだ。

携帯を持つようになってからは記憶しているのは自宅の電話番号のみ。

時々、それも怪しくなる。

もしかしたら携帯は人の脳を退化させているのではないか?

しかし、この携帯が無いと困る人は多いはずだ。

先日、たまたま携帯を持たずに家を出てしまった。

当然その間、何の情報も入らなければ何処からの電話も受けることが出来なければ、どこへも電話ができない。

重要な用を思い出してもその電話番号を記憶していないので、連絡の仕様が無い。

幸運にも、番号を思い出したとしても公衆電話が見当たらない。

近くに駅でもあれば見つかるが住宅街では先ず無理。

意を決して、見知らぬ家のドアを開け、電話を借りたいといってみよう!

  怪しい目で見られるか

  ドアをバタンと閉められるか

  警察に通報されるか

携帯を持たずに出てしまうと、公衆電話を探すことに苦労するだろう。以前であればタバコ屋の側にも、改札口の側にも、路上にある電話ボックスも今は見当たらない。

携帯には電話番号、メールが記録されているし、物を買うこともできる。

これを持たずに外出するということは大変な失敗である。

また、その大切なものを紛失した場合、素早く使用停止の連絡をしなければならない。しかし、その連絡を何処に電話をするのか、その番号を知らない。よし、そのときは、駅まで走ろう。駅には必ず一台はあるはず。

無かったら、隣の人に「貸して」とお願いしよう。さあ、どのように話を切り出すべきか!

決して頭のおかしい老人と思われてはいけない!

しかし結局緊急時に携帯がないと「携帯を紛失したので君のをかしてくれ」と言うしかない、のだ!!

嫌な想像だ!

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