天地黎明-Force of Blizzard-

第2話

ザザザザザザ…

…外を見渡すと、見たこともないような

大雪が降っていた…。

辺り一面が雪に包まれ、

積もる雪が地面を覆いつくしていた。

灯華「わー！すっごい雪降ってるよー！」

悠介「おいおいまじかよ…みんな、

傘持ってるか？」

柳太郎「俺は持ってるぜ！」

灯華「私もー！」

悠介「おい、ブリザードは？」

ブリザード「持ってるぞ！」

悠介「優来は…」

優来「…持ってない。」

悠介「おい、まじか…どうするよ？」

ブリザード「俺が傘貸すよ。」

優来「え…？」

ブリザード「俺はダッシュで行くからさ、

優来は気にせずに、ほら、傘！」

悠介「ダメだ、それじゃお前が風邪ひくだろ…」

ブリザード「大丈夫だ、死にはしないよ。」

灯華「ダメっ！！」

ブリザード「わぁっ！？」

柳太郎「そうだ、傘貸したブリザードが

風邪ひいちゃ元も子もない。」

悠介「それに、走って雪崩にでも巻き込まれたら

大変だろ？最近そう言うの多いし…。」

優来「でも、どうすれば…？」

灯華「そりゃ、ねぇ…？」

柳太郎「ブリザードと優来が一緒の

傘に入る他ないだろ？」

優来「…！？！！？！？」

悠介「いいんじゃないか？それで…。」

ブリザード「俺も問題ない、優来は…って。」

優来「あっ、あっあっあっ…！！？」

ブリザード「どうする、これ…？」

柳太郎「無理やりだったとしても傘の中に

押し込め。」

ブリザード「御意。」

ガシッ

優来「うわーーーっ！！？うわーーーっ！！？」

ブリザード「大丈夫だって、

誰も気にしないから…」

優来「わーーーっ！！わーーーーっ！！？？」

ブリザード「悪いが優来のためだ、許せ…！」

優来「にﾞゃﾞぁﾞぁﾞぁﾞぁﾞっﾞ！！？」

灯華「…元気があっていいね。」

悠介「だな。」

こうして、私達相合傘で帰っていった…

私はずっと悶ていた…。

ー

悠介「くそ、こっちにもないか…」

優来「はぁ、はぁ…どこにあるの…」

柳太郎「まだだ、こっちも探そう…！」

…あれ？これはなんだっけ…

…そうだ、思い出した…。

灯華が髪飾りを無くしたとき、

みんなで髪飾りを探したんだ…。

灯華「…ねぇみんな、もういいよ…。」

優来「え…？」

柳太郎「そんな、なんで…」

灯華「もう6時間も探してもらったのに

見つかってないし、もういいよ、ありがとう、

付き合ってくれて…。」

優来「…灯華。」

ブリザード「まだだ…！」

ブリザード「まだ見つからないって決まった

わけじゃない、諦めちゃだめだ…！」

灯華「け、けど…」

ブリザード「俺はまだやめない、

灯華のためだから…！」

柳太郎「やめろブリザード、探すなら

明日でもできる、今日はもう暗いし

今日は雪も降るから今日はダメだ…！」

灯華「そうだよ、だから…！」

ブリザード「俺は…まだ…！」

ガシャッ

ブリザード「…え、これって…！」

悠介「どうした、ブリザード！」

ブリザード「あった！髪飾りあった！」

優来「え…！？」

灯華「ほんと！？ほんとに！？」

ブリザード「ほんとだ、ほら！」

灯華「やった…ブリザード、ありがとう！」

悠介「よかった…！」

柳太郎「…全く。」

優来「やったね、灯華！」

灯華「うん…！」

ブリザード「はぁ…一仕事したら

疲れちまったよ…。」

悠介「日も落ちて来たし、もう帰ろう。」　

灯華「うん、みんな、今日はありがとう！」

柳太郎「はぁ、どうも…。」

優来「…フフッ。」

こんな平和な日々がずっと続けばいいなと

思っていた…。

けど、そうはいかなかった。

あの日、私達は全てを失った…。

ーー

優来「…。」

今でも、こうやって昔のことを

思い出してみたりする…。

懐かしい、とても昔の記憶…。

私は確かにこの中を生きてきた、今でも

これだけが私の誇り…。

たとえあの日々が帰ってこなかったとしても

私は今を生きている、未来を見て

歩いている。

なぜなら、私と共に

生きてるくれる人がいるから…。

優来「ブリザード…。」

ガラッ

飛那世「おはようございます、あれ？

今日は早いですね、先輩は…？」

優来「誘ったけど予定があるから

遅れるって言ってた…。」

飛那世「はえー…予定って何でしょう？」

ガラッ

永遠「ふぁ〜、おはよーございます…。」

飛那世「おはよ、永遠…眠いの？」

永遠「うん…昨日のことがあって、

寝れなかった…。」

飛那世「昨日のこと…？昨日って

何かあったっけ？」

優来「あぁ…昨日ね、皆が帰ったあと…」

優来は昨日の片付けのときに

あったことを話した…。

飛那世「へぇ…何があったんでしょう？

センパイが考えなしにそんなこと言うとは

思えませんし…気になりますね。」

永遠「うん…それのせいで全然

寝れなかった…。」

優来「ブリザードと祐奈さんの間に何か

あったのは事実ね、聞いてみることにする？」

永遠「そだねぇ〜ふぁ〜、眠い…。」

ガラッ

凍歌「みんな、おはよー！」

ブリザード「…。」

永遠「あっ！お兄ちゃんだ！！」

飛那世（あ、戻った…。）

櫻「あ、おーい…」

優来「櫻さん？このメンバーは珍しいですね、

何かあったんですか…？」

櫻「あぁ、生徒会の仕事が長引いちゃって、

それで二人に手伝ってもらってたの…。」

優来「あぁ、そう言うことだったんですね…」

櫻「…ブリザード、様子がおかしかったんだけど

何かあったの…？」

優来「あぁ…実はこんなことがあって。」

櫻「えぇ…それは大変だね…。」

櫻「ブリザードになにがあったのかも

気になるし温厚なブリザードがそんなこと

言った理由も気になる…。」

優来「…ですね、ブリザードがあんなこと

言うなんて…。」

凍歌「やー、大変だったよ、ねー。」

ブリザード「…なんで俺？」

櫻「びっくりしたよ、見ないうちに二人とも

すっかり仲良くなっちゃってて…

確か隣の席なんだっけ？」

優来「…。」

凍歌「そうなんですよ、この人ったらようやく

私に心を開いてくれまして…。」

ブリザード「…そんなんじゃない…。」

凍歌「まったまたー、照れ隠しは

いいんですよー！」

ブリザード「…面倒なのは飛那世だけで

勘弁してくれ…。」

飛那世「こらー！誰が面倒じゃー！！」

優来「…。」

…二人ってそんなに仲良くなってたんだ…。

…やだな…なんでだろ。

私ってこんなの柄じゃないし、それにこんな

ことはしょっちゅうだし、みんなが仲良く

するのはいいことなのに、どうして…

胸が痛む…。

優来「…。」

永遠「…？」

永遠「…あ。」

永遠「そっか、そゆことね…そゆこと、ふふ…」

飛那世「そういや、次の依頼は明日から

でしたね、準備しときましょう！」

櫻「うん、手続きはこっちの方である程度

進めておいちゃうね。」

コンコン

城所「すいませーん、すこしいいですか…？」

凍歌「あれ、城所さん、依頼ですか？」

城所「いえ、もしよければこれ、

差し入れです。」

櫻「え、いいんですか？ありがとうございます！」

華途葉「…。」

凍歌「いやー、世の中には

いい人もいるもんだねー。」

城所「いえいえ、僕は皆さんのお役に

立ちたいだけなので…。」

ブリザード「…。」

櫻「わざわざありがとうございました！」

城所「いえいえ、こちらこそ…。」

城所「では、僕はこれで。」

ガラッ

ーー

優来「…。」

永遠「ねね、今日は一緒に帰らない？」

優来「珍しいね、どうかしたの…？」

永遠「ちょっと話したいことがあってね。」

優来「何…？」

永遠「はっきり言って、お兄ちゃんのこと

好きなんでしょ？」

優来「っ…！！？！？」

永遠「…そんな露骨に反応に出さなくても

分かってるよ…。」

優来「べっ、別に違くて、そんなんじゃ

なくて、えっと、その…」

優来「ほら、幼馴染みだし、なんと言いますか

そのよしみと言いますか、あの…

ブリザードのことは友達として見てると

言いますか、その、えっと…」

永遠「うんうん、分かってるよ、僕も

お兄ちゃんのこと大好きだもん…。」

優来「にﾞゃﾞぁﾞぁﾞっﾞ！！？

わﾞぁﾞぁﾞぁﾞぁﾞぁﾞぁﾞっﾞ！？？」

永遠「あはは…」

優来「でも…なんで突然そんなこと

言い出したの？」

永遠「さっきさ、お兄ちゃんが凍歌さんと

話してるときに何か悲しそうにしてたから

そうなんだろうなって思ったの…。」

優来「それは…」

…うまく、言語化できない。

ブリザードのことを考えると、胸がもやもや

すると言うか…自分でもよく理解できない。

優来「っ…」

優来「…永遠はもしブリザードが自分の元から

居なくなるかもしれないってなったらどうする？」

永遠「居なくならないよ？」

優来「…え？」

永遠「居なくならないよ、お兄ちゃんは…。」

永遠「だって、お兄ちゃんは強いし、

誰よりも僕のことを想ってくれてるもん。」

優来「…。」

永遠「あぁ、いなくならないかじゃなくて

もしいなくなるとしたらどうなるかって

話か、ごめん…。」

永遠「うーん、そうだな…もしも

そうなったとしたら…。」

永遠「多少手荒になってでもお兄ちゃんを

縛り付けるかな。」

優来「え…？」

永遠「その上でお兄ちゃんを俗世と切り離して

隔離することで精神的な自由を奪った所で

お兄ちゃんに甘い言葉をかけてお兄ちゃんには

僕しかいないことを理解させた上で

私に依存させるかな。」

永遠「そして僕の愛をお兄ちゃんに形になる

くらいに刻みつけた上で僕以外の人間を

信用できなくなるくらいに思考を支配して…」

永遠「僕の事以外を考えられなくなるくらいに

なったら開放するかな…。」

永遠「うーん、足りないかな？故意に体を

痛めつけて精神的な安定感を削ってボロボロに

してから優しくすれば自然と僕のことを

大好きになるし、その方が効果的だよね。」

永遠「あと、お揃いの首輪とかつけてさ、

お互いがお互いのものだって言う印をつけて

しまえば完璧だよね！」

優来「…なるほどね。」

永遠「あとは…」

優来「もういいわ、ありがとう…。」

永遠「…そう？」

永遠「ところで、優来はどう思う？」

優来「…ごめんね、私はその次元に

到達するまでにとてつもない時間を

要すると思う…。」

永遠「…？」

優来「私も吹っ切ってそこのくらいの

レベルまで言っちゃったほうがいいのかな…？」

永遠「？これくらい僕にとっては普通だよ？」

優来「え、えぇ…。」

永遠「うん、だって僕にとっての永遠は

お兄ちゃんだけだもん！」

優来「…永遠、中々すごいね…」

永遠「そう？僕にとってはこれが普通だから

よくわからないな…。」

優来「…私は。」

そうだ、この気持ちがやっと分かった…

優来「…怖いんだ、ブリザードが私の

元から離れるのが…。」

永遠「…え？」

優来「凍歌に私の居場所が取られるんじゃ

ないかって思って、怖くなって…。」

永遠「うーん、なるほど…。」

優来「私、ブリザードと一緒にいたことしか

ないからそれ以外の生き方がわからないの…」

優来「…それにさ。」

優来「ブリザードのことが…大好き、だから…」

永遠「ほぉ…やっぱりそう言うことでしたか。」

優来「あぁっ、ちっ、違うの、これは…！！」

永遠「素直になった方がいいよ、でも、

お兄ちゃんの正妻の座は譲らないからっ！」

優来「な、ななっ、何言ってるの…！？」

ブリザード「…？」

永遠「あ、お兄ちゃん！」

優来「え…？」

ブリザード「まだ帰ってなかったのか…？」

永遠「僕達の話、いつから聞いてた？」

ブリザード「…最初の方から聞こえてたぞ？」

優来「あっ、あ、あの…これは…違くて、

その…違うの、これは…！」

優来「え…っ！？」

そんな…嘘…っ！？

どうしよう、全部聞かれてたなんて、

私、どうしたらいいの…！？

もう、だめ…っ！！

優来「うわぁぁぁっ！！」

永遠「ちょっ、ええっ！？」

ブリザード「追ってくる…！」

永遠「うん、任せた！」

ブリザード「…優来！」

ーー

優来「はぁ…はぁっ…！！」

どうしよう…！私、ブリザードに

嫌われたかも…！！

ブリザードに面倒臭いって思われたら、

嫌われたら…どうしよう…！！

…嫌っ、そんなの嫌っ！！

が…もう…だめ…っ！！

優来「がばぁっ！」

……吐いちゃった…こんな道端で…。

…早く…逃げよう…

ブリザード「優来…！」

優来「っ…！？」

ブリザード「大丈夫か、優来…！」

優来「い、いや、ごめっ、ごめんなさい…！！」

優来「わっ、私の、こと…っ！！」

優来「嫌いに、ならないでっ…！！」

あぁ…やっぱり、私はこうやってブリザードに

みっともなくすがりつくことしか出来ないんだ、

そうだ、私はいつもそうだった…。

わたしは弱くて、誰かに縋らないと生きて

いけなくて、自分一人では生きていけない

ダメな人間なんだ…。

ブリザード「…え？」

ブリザード「落ち着け、大丈夫か…！」

優来「っ、ブリザード…！」

優来「ごめんなさい…私…ブリザードに

嫌われたくないの…」

ブリザード「優来…。」

優来「私って面倒臭いしらブリザードが居ないと

ダメダメでどうしようもないけど、私には

ブリザードしかいないの…」

ブリザード「…すまん、優来が何を

言っているのかよく分からん…」

優来「え…？」

ブリザード「疲れてるのか？あまり

無理はするな…。」

優来「ブリザード…ごめんね。」

優来「突然こんなこと言っちゃって

迷惑だったよね…」

ブリザード「待て、そんなこと…」

優来「分かってる、ほんとは私なんかが

ブリザードの隣に居ちゃダメだってことも…」

ブリザード「何言ってるんだ、優来…！」

ブリザード「俺は…」

ブリザード「そんなこと一度も

思ったことはない。」

優来「え…？」

ブリザード「俺にとって優来はとても大切で

無くしたくない…大切な人だ。」

優来「え…！？」

ブリザード「俺は優来とずっと過ごしてきて

楽しかった、俺のことをいつも側で

見ていてくれた…」

ブリザード「…俺は優来に感謝している。」

ブリザード「…。」

…その言葉は私にとって最も嬉しい言葉で

それと同時に私がブリザードにとって大切で

あることに安心した…

…あぁ、そうだ…ブリザードって

ずっとこうだよね…

…やっぱり、昔から変わってないんだ…。

ーー

優来「…。」

ブリザード「よっ、お前一人なのか？」

優来「え…！？あ、う、うん…。」

優来「わっ、私みたいな根暗に話しかけて

くれる人なんていないから…」

ブリザード「要するに、お前も一人なんだな。」

優来「えっ、あっ、はい…」

ブリザード「じゃ、俺と一緒だな！」

優来「え、えっ…？」

ブリザード「俺も生まれてこの方友達なんて

できなことはない！何故かは知らない！」

優来「え…？」

ブリザード「俺とお前はさしずめ

ぼっち仲間ってことだな！」

優来「え…あ、そ、そう、なの…？」

ブリザード「せっかくだから、お前、俺と

友達になろうぜ！」

優来「え…ええっ！？」

ブリザード「でもこれから友達になるのに

お前呼びは違うよな、名前、なんて言うんだ？」

優来「わ、私は…ゆっ、優来…」

ブリザード「そっか、いい名前だな！」

優来「えっ！？あっ、あり、がと…」

優来「あ、あなたの名前は…？」

ブリザード「俺か？俺はな…昔兄さんが

雪崩で死んだからブリザードって

呼ばれてる…」

ブリザード「…あんま嬉しくないけど…」

優来「じゃ、ブリザードって呼ぶね…」

ブリザード「おーい、今の話聞いてたか？

俺雪崩で兄さん死んだんだぞ、それで

ブリザードって呼ばれてんだぞ！」

優来「え…っ！？」

優来「お、お兄さん死んだの…？」

ブリザード「うん、随分昔だけどね。」

ブリザード「俺はその頃生後4ヶ月くらい

だったらしいから覚えてない！覚えてたら

逆に怖い！」

ブリザード「だから、俺のことは…」

優来「…よろしくね、ブリザード…。」

ブリザード「おーいなんでだよ…まいっか。」

優来「…辛かったんだね、お兄さんを失って…」

ブリザード「…いや、俺には父さんも母さんも

居るし、兄さんがどんな人だったのかたまに

考えたりするけど辛くはないぞ。」

優来「え、そうなの…？」

ブリザード「無いものを探したって仕方ないし、

俺達にできることはこの先にある未来に

立ち向かうことだけだ…。」

優来「確かに、そうかも…。」

ブリザード「それに、今日からは

優来も居るしな！」

優来「え、ええっ！？！！？」

ブリザード「そんな驚くことか？俺達は

ぼっち仲間であり友達で…」

ブリザード「あ。」

ブリザード「俺達、今から友達だからもう

ぼっち仲間じゃねぇ…」

ブリザード「ちくしょう…なんでこんな

初歩的なことに気づかなかったんだ…」

優来「あ、あはは…」

ブリザード「…まぁ、とにかく、これから

よろしくな、優来！」

優来「う…うん！」

優来「え、えへへ…」

優来「友達、かぁ…」

優来「嬉しいなぁ…えへへ…」

ブリザード「…楽しそうだな。」

ブリザード「うんうん、それが何よりだよ。」

ブリザード「あぁ…友達ができるって、

こう言う感情なんだなぁ…」

ブリザード「そうか、これが…」

ブリザード「庇護欲かぁ…。」

ーー

…ふと、昔のことを思い出した…。

私が初めてブリザードに会ったとき、

こんな私のことをブリザードは友達だって

迷い無く言ってくれたんだ…。

ひとりぼっちで根暗な弱い私に

優しい言葉をかけてくれて、それからも

ずっと一緒に居てくれた…。

私にとってブリザードは穢れたこの世界で

私にとっての唯一の居場所だった…。

それが無くなるのが怖かった、

それを考えるだけでずっと辛くて…

もう、耐えられないや…。

優来「っぐ、ひぐっ…ブリザード…っ！」

優来「うわぁぁぁん！！」

バタッ

ブリザード「っ…！？」

優来「ごめんなさい…！私、怖かったの…

私の前からブリザードが居なくなるのが…

私の大切な人が目の前から消えるのが…！」

ブリザード「優来…。」

優来「私の大切な人はみんな私の前から

消えていった…」

優来「ブリザードは、消えないよね…？」

ブリザード「俺は消えないよ…」

優来「ほんと…？」

ブリザード「あぁ…。」

優来「ブリザード…っ！」

あぁ、やっぱりだ…。

ブリザードはこんな私のことを、

受け入れてくれるんだ…

…やっぱり、優しいなぁ…えへへ。

ずっとこのままブリザードの優しいさに

甘えていたいな…

この時間が一生続けばいいのにな…。

ブリザード「優来…。」

ーー

…俺は、長いこと一人だった…。

まともに友達もできなくて、仲良くしたいと

思っても遠くから見てることしかできない

日々が続いていた…。

怖かったんだ、他人から軽蔑の目線を

向けられるのが、信じてた人の死ぬ様を

もう見たくないから…。

雪崩に巻き込まれて死んでいく、兄の姿…

それが俺の見た最初の記憶だった。

それから俺はブリザードと呼ばれる

ようになった、そのせいで友達が

できなかった。

でも、ある時俺と同じような目をしてる奴が

居るのを見つけたんだ。

何かが怖くて仕方なくてただ怯えてる

ことしかできないような…そんな

目をしていた。

俺は、その娘のことが気になって

仕方がなかった。

もしかしたらこの人も俺と同じじゃ

ないかって思ったんだ…。

だから、俺は優来と話して友達もになった。

そこから友達もたくさんできて、

今に繋がった…。

思えばそれが俺にとって全ての

始まりそのものだった…。

優来は怖がりで脆いところもあるが、

俺にとってはそこも含めて一人の優来だ…

どれも俺にとって大切なもの…。

かけがえない大切な物だ…。

そうだ、俺は…。

もう、何も失いたくない…。

俺は…。

ーー

ブリザード「はぁっ、はぁっ…！！」

優来「灯華っ！！」

灯華「みんな…！？」

柳太郎「…なぁ、灯華の家破産したって

マジなのか…！？」

灯華「…うん。」

ブリザード「…マジかよ！！どうにか

なんねぇのか…！？」

灯華「…無理だよ、それに、私これから

遠くに行かなきゃだし…。」

悠介「はぁっ！？どうして…！！」

灯華「借金取りに追われててさ、

遠くに逃げなきゃ殺されるの…。」

優来「な…どうして！！」

灯華「父さん、お金を貸してた

みたいでさ、その借金を踏み倒された

みたいなの…。」

ブリザード「な…どうしてそんなこと…！！」

灯華「分かんない。」

ブリザード「…俺も一緒に行くよ！！」

優来「…私も！！」

灯華「…悪いけど一緒には行けない。」

柳太郎「そんな…なんで！！」

灯華「みんなにも迷惑かけるし、それに

明日を無事に生きれる保証もない…。」

灯華「皆にそんな危険を背負わせたくないの。」

灯華「だから…ごめんね。」

優来「そんな…！！灯華！！」

灯華「だから、皆ともこれでお別れ。

みんな、今までありがとう…そして…」

灯華「…ごめんね。」

ブリザード「ま、待って…！！」

ブリザード「灯華ぁぁぁぁぁ！！」

優来「…そんな。」

柳太郎「くそ…どうして…！！」

ブリザード「…俺、灯華のことを

追い詰めたやつを見つける。」

悠介「…見つけてどうすんだよ。」

ブリザード「…決まってるだろ、

仲間を追い詰めたやつは許さない。」

ブリザード「そいつに灯華が受けた

苦しみと同じ苦しみを味合わせるんだ。」

柳太郎「でもどうやって…？俺達はまだ

ガキだぞ、どうすれば…」

ブリザード「…やり方ならある。」

ブリザード「…優来、灯華のお父さんの

交友関係を話されてたよな…」

優来「…あ、確かにあった…！」

ブリザード「そこから洗い出して、

犯人を見つけるんだ…。」

ーー

優来「ブリザード…。」

ブリザード「…。」

優来「私はもう大丈夫、心配かけてごめん。」

ブリザード「…いいんだ。」

優来「えへへ、優しいね、ブリザード…。」

ブリザード「…俺は、別にそんなんじゃない。」

優来「ほんとに？ブリザードは

優しいと思うけど…。」

ブリザード「…そうかな。」

優来「…もう暗いしさ、帰ろう…？」

ブリザード「…あぁ、そうだな。」

こうして、日々は瞬く間に過ぎていく…。

そうしてる間に気づかない内に大切なものを

失うんだ…。

…俺は、あの時からずっとそうだ、

何も変わってない、何もわかっていない…。

灯華を追い詰めたのが誰かも知らなかった、

俺は無知だったんだ…。

ーー

俊希「お、お帰り！」

優来「お邪魔しまーす。」

俊希「あれ？優来に柳太郎、悠介まで…

珍しいな。」

悠介「ちょっと用があって、来ちゃいました。」

俊希「そうか、ゆっくりしていけよ！」

柳太郎「はい。」

ガラッ…

ブリザード「さて…早速だが優来、

灯華のお父さんの交友関係を。」

優来「…うん。」

優来「灯華のお父さんの交友関係は狭くて、

職場先の人間とそれから…私達の親。」

優来「それが灯華のお父さんの交友関係。」

柳太郎「…なぁ、その職場先って？」

優来「ただのIT会社、金に困ってるような

人間はいないよ…。」

柳太郎「…じゃあ。」

ブリザード「おい待てよ、まだ何か他に

あるんじゃないのか…？」

優来「…いや、特に怪しい関わりがあったとかは

聞いてないから、とどのつまり…。」

悠介「…俺達の親の誰かが？」

柳太郎「…俺の親は違う、自分で言うのも

あれだがうちの家は裕福だ。」

悠介「俺も…そこまで困ってるわけじゃない。」

優来「私は…分からない。」

ブリザード「俺も分からないが…」

ブリザード「…なぁ、今日の5時から父さん

居ないんだよ…」

悠介「何が言いたい…？」

ブリザード「…家を調べるなら今日だ。」

優来「…ねぇ、ほんとにいいの…？」

ブリザード「構わない、それで俺の親の

潔白が証明されるなら…。」

柳太郎「…そこまで言うなら、行こう…。」

ーー

柳太郎「…時間だな。」

優来「…行こう。」

ガラッ…

ブリザード「俺はリビングの方を探す、

みんなは部屋の方を探してくれ。」

優来「分かった！」

ブリザード「…父さんは貴重な物は

絶対にバレない所に置く…。」

ブリザード「となると…」

ブリザード「リビングなら、

父さんの椅子の裏…？」

ブリザード「…嘘だろ？」

柳太郎「おーい！ブリザード、こっち来てくれ、

大変だーっ！！」

ブリザード「今行く…！」

ガラッ

ブリザード「何があった！！」

悠介「お前の父さんのベットの裏から…

こんなものが…！！」

ブリザード「…これは。」

柳太郎「…大丈夫か、ブリザード…」

ブリザード「…リビングの父さんのいつも

座ってる椅子の裏にも同じものがあった。」

柳太郎「何だと…！？」

ブリザード「父さん…これは何かの

間違いなのか？」

悠介「間違いなんかじゃない、これは

本物だ…間違いない。」

ブリザード「…出よう、こんな部屋…

優来がショックで気を失う前に。」

優来「…。」

悠介「あぁ、こんな部屋気味が悪い…。」

ーー

俊希「…なぁ、話ってなんだ？」

母「…何かあったの？」

ブリザード「…父さんの部屋を

見させてもらった。」

俊希「な…っ！？」

ブリザード「そしたら、こんなものが

見つかった…。」

母「…え！？」

ブリザード「普通ありえないよな？」

ブリザード「こんな数の風俗の領収書が

出てくるなんてさぁ…！！」

ブリザード「…ちゃんと説明してもらうぞ。」

俊希「…。」

俊希「こんなことして何がしたいんだお前は。」

俊希「神に誓ってそんな店に行ったことはない、

そもそもこんな店に行く金はないじゃないか…」

俊希「ただでさえ家計が厳しいんだぞ、

それなのになんで…」

ブリザード「あるんだよ、金が…！！」

俊希「…は？」

ブリザード「父さん…アンタは灯華の父さんから

多額の借金をしていた…」

ブリザード「それも…百万なんてレベルじゃない、

一千万以上だ…！！」

母「は…！？」

俊希「そんな証拠がどこにあるってんだよ！！

デタラメほざくんじゃねぇ！！」

ブリザード「…灯華の家が破産した。」

母「え…！？」

ブリザード「アンタの借金が借金を踏み倒した

せいで灯華の家が倒産して灯華や灯華の家族は

借金取りから逃げなきゃいけなくなった…！！」

ブリザード「アンタは俺達の気持ちを踏みにじる

だけじゃなく、人の人生をめちゃくちゃに

したんだ…！！」

俊希「…ハハ。」

俊希「お前…何勝ち誇った気になってんだ？社会の

仕組みも知らねぇクソガキのくせによっ！！」

ボガァッ

ブリザード「が…っ！？」

母「…やめてっ！！」

俊希「あーあ、お前が余計なことしなきゃ

俺達はこのまま幸せな家族のままで

居られたってのによ…。」

俊希「あいつもそうだったな…俺に

盾突いてきやがったから雪崩で殺してやった！」

ブリザード「な…まさかお前が兄さんを…！！」

俊希「そうだ、あいつはこの手で殺してやった！」

…兄さんは雪崩で死んだんだぞ？

なのにこの手で殺したって…

…それに、おかしい、借金を踏み倒したのに

雲隠れせずにここにいることができるなんて

ありえない…！！

ブリザード「…くそ…殺してやる…！！」

俊希「はは…できるかな、この

クソガキがよぉっ！！」

ボガァッ！

ブリザード「がぁぁっ！！？」

ドガァン！

柳太郎「ブリザード！！」

優来「な…っ！？」

ブリザード「が…はっ…」

優来「ブリザード！！」

俊希「…さぁて、アンタらには

もう消えてもらう。」

柳太郎「無駄だ…もう既に悠介が

警察を読んでいる…！」

俊希「そうか、あのガキ…通りで

居ないと思った…」

俊希「…ここで殺せないのは惜しいが

お別れだ、じゃあな、クソガキ共！」

ダッ！

柳太郎「おい、待て！！」

俊希「誰が待つかよっ！」

柳太郎「外に出た…悠介！！」

悠介「…おい、おいおい…！！」

柳太郎「どうした…っ！！？」

バタバタバタバタ…

柳太郎「クソ…やられた！！」

悠介「どうして…どうしてヘリコプター

なんて持ってんだよ…！！」

俊希「ハハハハハァ！バーカ！！」

バタバタバタバタ…

柳太郎「…クソっ！！」

ブリザード「ハァ、ハァ…」

悠介「っ、ブリザード！？」

ブリザード「敵は…一人じゃない…」

柳太郎「…え？」

ブリザード「相手は…おそらく…大規模な…

組織だ…ぐ…っ！！」

柳太郎「ブリザード！！」

ブリザード「俺はいい…それより…母さんが…

精神状態が…安定していない…母さんを…

見てくれ…」

柳太郎「悠介、ブリザードを頼む…！」

悠介「…え？あぁ！」

柳太郎「優来！そっち…は…」

母「っ…ぐっ…ひぐっ…！」

優来「お、落ち着いて、お母さん…！！」

柳太郎「…。」

その後、俺は病院に搬送された、

だけど父さん…俊希の所在は未だ不明だった。

分かったことは俊希の裏にある巨大な組織の

存在と俊希が灯華のお父さんの金を

使って何をしていたのかだけ…。

ブリザード「…ハァ。」

優来「…ブリザード。」

ブリザード「…優来、どうした？」

優来「…こないだのことは、残念だったね…」

ブリザード「…あぁ、そうだな…。」

優来「…ねぇ、ブリザード。」

優来「…あの後柳太郎が部屋を探してた

みたいで、こんなものを…。」

ブリザード「…これは？」

ブリザード「紋章みたいだが…これは？」

優来「これを調べてみたら何か分かるかも…」

ブリザード「分かった、やってみようか…。」

優来「…でも、どうやって探すの…？」

ブリザード「うーん…どうしようか。」

優来「調べてみれば分かるかな…？」

ブリザード「…ちょっと待ってて…」

ブリザード「…この紋章、下にローマ字で

かみふきって書いてるけど…」

優来「かみふき？何だろ…」

優来「…都市伝説上の組織で、何でも

子供を不幸にすることで金を得る

裏世界の組織だって…。」

ブリザード「…そんな都市伝説上の組織が

なんでここに…？」

優来「…分かんない、けどこの組織を

追うことが真実に繋がるかも…。」

ブリザード「…やるしかないのか？」

優来「…現状、それ以外の方法は

ないと思う…。」

ブリザード「…そうか。」

ブリザード「悠介と柳太郎を呼んできてくれ。」

優来「…うん！」

ーー

優来「…呼んできたよ！」

悠介「何か分かったのか？」

ブリザード「あぁ、神吹って言う組織が

怪しいんだ…。」

柳太郎「…実は、俺も同じことを

言おうと思って…。」

ブリザード「…え？」

柳太郎「…実は、さっきまで調べてたんだが、

これが出てきて…」

ブリザード「…この紙は？」

柳太郎「多分…神吹の組織の関係の資料だ。」

ブリザード「本当だ…報酬金とか書いてる…」

悠介「まさか…本当にあったなんて。」

悠介「…。」

ブリザード「ここに書いてるやつは…

誰だ、こいつ…」

悠介「松原豪…と、天原鋼輔…？」

ブリザード「…こいつらを殺せばいいのか？」

柳太郎「多分…でも、あてもないし、

現状じゃどうしようも…」

ブリザード「…方法がないことはないはず。」

悠介「…え？どう言うことだ…」

ブリザード「…こいつら、毎月26日の

午後11時にこの場所で会ってるみたいなんだ…」

柳太郎「…でも、ここって…」

優来「…山の頂上だよね…。」

ブリザード「でも、行くしかないだろ、

行かなきゃ母さんや灯華の無念が

晴らされない…。」

柳太郎「でも、どうすれば…？俺達じゃ

とてもじゃないが戦えるとは…」

悠介「…あるぜ、武器が。」

ブリザード「…え？」

ーー

柳太郎「うおっ、なんて数の銃火器だ…。」

悠介「へへっ、いざと言う時のために

とっておいたんだ。」

ブリザード「…でも、こんな量の銃火器を

どうやって手に入れたんだ…？」

悠介「…企業秘密だ。」

柳太郎「…そういや悠介の親が見当たらないが

どうしたんだ…？」

悠介「あぁ、今は出張で遠くに行ってるんだ。」

ブリザード「…そうなのか。」

悠介「だからしばらくは帰ってこないし

これをとってもばれないよ、だから大丈夫だ！」

柳太郎「でも、本当にできるのか？

俺達銃なんて使ったことないし…」

悠介「不安なら訓練すればいいさ、

すぐに慣れるさ…。」

優来「…そんなすぐにできるかな。」

ブリザード「…やるしかないだろ。」

柳太郎「…そうだな。」

ーー

悠介「…ふぅ、こんなもんでいいかな？」

柳太郎「…とりあえず、これくらいか…？」

ブリザード「…もう26日なのか、

行かなきゃな。」

優来「…ほんとにできるのかな。」

ブリザード「やるしかないさ、それにここ最近は

ずっと銃の訓練をしてきたんだ、行けるさ…」

柳太郎「…そう、信じるしかないか…。」

そして、俺達は一見してみて無謀なこの作戦に

身を投じることとなった…。

悠介「…ここだ、着いたぞ…。」

ブリザード「ハァ…こんな高い山登るのは

きついな…遭難しないようにしないと。」

悠介「奴らはもう居るか…？」

優来「…うん、もう全員揃ってるみたい。」

柳太郎「お前ら、もう準備はできてるか…？」

ブリザード「…あぁ！」

柳太郎「行くぞっ…！」

バギュウン！

ドガァッ！

ブリザード「よし…行った！」

悠介「まだだ、油断するな…！」

ブリザード「分かってる、奴らはこんなので

死ぬとは思えない…すぐに来るぞ！」

優来「…！」

柳太郎「…！来たぞ！撃てー！」

ブリザード「っ…！」

バギュン！

敵「が…っ！」

ブリザード「…こいつは下っ端だ、俺らが

探してたやつじゃねぇ！」

柳太郎「…！どこだ！」

松原「クソ…まさかこのガキどもがやったのか！」

天原「ハァ…面倒なことになった。」

松原「っ、あそこだ、撃ー！」

ドガァ

柳太郎「チッ…！」

悠介「…これはまずい、こんな山奥なら

いつ追いつかれるか…！ 」

悠介「…俺がおとりになる、先に行け！」

ブリザード「え…？」

悠介「こうなることは最初っから覚悟の上だ、

あとは俺に任せて行ってくれ！」

優来「…けど、悠介は…！」

悠介「行けっ、早く！！」

柳太郎「ぐっ…すまない！」

ブリザード「悠介…どうして…っ！」

ダッ

悠介「…はぁ、行ったか。」

悠介「…。」

悠介「さしずめ…計画通りかな。」

ーー

柳太郎「くそ…悠介…！」

ブリザード「…どうして、あいつ…」

ブリザード「本来は奇襲を仕掛けて爆撃して

あとは撤退するだけだったはず…

なんであそこまで…。」

柳太郎「…しばらくここで待ってよう、

待ってれば戻ってくるかもしれない…。」

優来「…分かった。」

ブリザード「…。」

…そして、それからだいたい4時間くらい立って…

柳太郎「…来たか？」

優来「あっ、おーい！！」

悠介「はぁ…はぁ、なんとか振り切った。」

ブリザード「…松原と天原は？」

悠介「…死んだ、撃って殺した！」

柳太郎「…！やったな！」

ブリザード「それは本当か！」

悠介「あぁ、確かにこの手で奴を…殺した。」

優来「…よかった、でも…」

悠介「…ブリザードのお父さんはそもそも

居なかったみたいだ…。」

ブリザード「…そうか。」

ブリザード「…。」

悠介「…悪かった、ここに行けばお前の父さんも

居るかと思ったが…見当違いだったようだ…」

ブリザード「いいんだ、それに、あいつは

俺がこの手で殺したい…。」

悠介「…そうか。」

柳太郎「…とりあえず、今日はこれで終わり、

気をつけて帰ってくれよ…本当に。」

ブリザード「…あぁ、分かってる。」

優来「…じゃ、また明日ね…。」

…そして、この奇襲の作戦は成功したかに

思われたが…裏ではかすかに、動き始めていた…

悪魔の陰謀が…。

ーー

永遠「…。」

一人、ベットの上で考えてみる…。

僕にお兄ちゃんに告白できるくらいの

度胸があればいいのにな…。

思えば、僕は昔からずっと臆病で

逃げてばっかりだった。

お兄ちゃんのことを本気で想ってるなら、

本気でお兄ちゃんに愛して欲しいのなら

もっとやり方はあるはずなのに…。

つい、あぁ言う封な軽口を叩く叩いてしまう。

…そもそも、僕はお兄ちゃんのことを

どう思ってるんだろう…

最近は、それすら僕の中で分からなくなってきた。

僕はお兄ちゃんのことを純粋に愛している

はずだ、なのに僕はお兄ちゃんに対する

感情が分からなくなった…。

こんなはずじゃなかったのにな…

どうしてだろう。

ほんとはお兄ちゃんに本気で愛して欲しいし

僕もお兄ちゃんを愛したいはずなのに…

でも、待って…？

そもそも愛するってなんだろう…？

…考えれば考えるほど分からない。

…僕は親に愛されることもなく育った、

そう、僕は愛と言う物を知らないんだ…。

それに僕は愛すると言うことについて

考えたこともなかった…。

どう言う物なのだろうか、分からない…。

不思議で仕方ない、今度櫻さんか神野さん

にでも聞いてこようかな…？

…でも、僕にとって愛するってことは…

…どうしよう、やっぱ分かんないや…。

…優来にはあぁ言っちゃったけど僕も

人のこと言えないみたいだね…。

あはは…もしかして、僕けっこう

ダサいのかな…？

…どうしよ、ほんとに…。

ーー

ブリザード「…。」

昼になったし、折角だから中庭にでも

行って飯でも食べるかな…。

永遠「…？」

永遠（あれは…おにーちゃんかな…？

ついてこ…。）

ブリザード「…？」

ブリザード「…。」

永遠「…。」

ブリザード「…ハァ。」

永遠「…？」

ブリザード「…。」

…視線を感じる。

…多分永遠だろう、そんな気がする…。

どこだ？

ブリザード「…そこか？」

永遠「っ…！」

ガサッ

…。

…いたな。

永遠（だいじょぶかな…？）

永遠（にげよ…）

ブリザード「…。」

永遠「…ふぇ？」

ガシッ

ブリザード「…捕まえた。」

永遠「…」

永遠「えぇ…つかまっちゃった…」

永遠「んん…っ。」

ｷﾞｭｰ

ブリザード「…あ？」

永遠「すぅ…すぅ…」

ブリザード「…なぁ、おい、嘘だろ？」

ブリザード「…寝てるし。」

ブリザード「…どうしよう。」

永遠「…お…にいちゃん…」

ブリザード「ここで食うか…」

…その後、永遠は休み時間が終わるまで

起きなかった…。

ーー

ブリザード「…おはよう。」

永遠「ふぁあ…おはよ…。」

ブリザード「…まだその状態だったのか…。」

飛那世「ん…？最近永遠調子悪い？」

永遠「ふぁ…考えすぎてて寝れなかった。」

飛那世「へぇ、そうなの…？珍しいね！」

永遠「…なんか失礼な気がする…」

凍歌「どんなこと考えてたの？」

永遠「…愛について。」

櫻「な、なな…！？」

飛那世「あー、なんとなく理解した。」

櫻「え、何！？」

華途葉「つまりはブリザードのことについて

考えてて寝れなかったんでしょ？」

永遠「うん…。」

櫻「あ、そなんだ…。」

飛那世「やっぱりそうなんだ…。」

神野「永遠もそう言うお年頃になったのね。」

永遠「うん…。」

飛那世「いや、そこは否定しろし…」

永遠「お兄…ちゃん…」

凍歌「永遠ってほんとにブリザードのこと

好きだよね…。」

華途葉「ね…。」

永遠「…うん。」

凍歌「これ…ほんとにわかってるのかな？」

華途葉「…さぁ？」

優来「…。」

神野「アンタ、何かやったの？」

優来「え…？」

神野「アンタ、明らかに暗い顔してるわよ…？」

優来「そ、そうなの…？」

優来「まぁ…ちょっと、やっちゃった…。」

神野「…あんまり、触れない方がいいみたいね。」

永遠「ま、誰しもそう言うことがありますから、

気にしない方がいいですよ！」

優来「わぁっ、永遠、聞いてたの…？」

永遠「ふふふ、私の地獄耳を舐めないで

いただきたいね！」

神野「…てか、蘇るの早すぎでしょ…」

永遠「そう言えば、お兄ちゃんと

何を話してたの…？」

神野「…？ブリザードと話してたの？」

優来「…うん。」

優来「私さ、ちょっとブリザードに

迷惑かけちゃった…。」

ブリザード「…別に、迷惑なんて

思ってないぞ…？」

優来「…ブリザード。」

優来「…別に、私に気を使わなくて

いいんだよ…？」

ブリザード「別に、気なんて使って…」

優来「私、ブリザードにそこまでしてまで

無理してほしくないの…。」

ブリザード「優来…。」

ブリザード「…でも、もしそれで俺が迷惑だって

言ったら嫌だろう…？」

優来「…でも、私は、いいよ…。」

ブリザード「それに、俺は最初っから

気なんて使ってない。」

優来「で、でも…。」

ブリザード「それに俺は優来のことを迷惑

なんて思ったことは一度もない…。」

ブリザード「それに…俺にとって優来は…」

ブリザード「…その…。」

優来「…？」

ブリザード「…なんでもない、ごめん…」

優来「…どうかしたの？」

ブリザード「…悪い、忘れてくれ。」

優来「うん…分かった。」

…優来、何かあったのだろうか？

気になるな…。

優来のために、俺にできることは

何かないだろうか…？

優来はもしかしたら何かを抱え込んでるの

かもしれない…。

どうにかできないだろうか…

俺でも優来を助けたい、何かないだろうか…。

俺は、昔何もできなかったから…

ーー

柳太郎「…おい、ブリザード…優来！」

ブリザード「柳太郎、どうした…！」

柳太郎「…松原と天原が生きてた。」

優来「…え！？」

ブリザード「おい、どうして…！！」

柳太郎「…あいつは、俺らのことを

騙してたんだ…！！」

ブリザード「…え、何を言って…」

柳太郎「あいつは金のために俺達を

裏切って、神吹に協力してるんだ…！！」

優来「なんで…悠介がそんなこと…！！」

バキュッ

ブリザード「…え？」

柳太郎「ぐ…がぁっ…！！」

バキュウンバキュウン

ブリザード「柳太郎…！！」

悠介「…動くな。」

ブリザード「…悠介…お前！！」

悠介「バレないと思ってたんだけどな…

柳太郎は勘がいいんだよな…。」

優来「…どうして、こんなこと…！！」

悠介「お前らが知る必要はない。」

ダッ…！！

警察「動くな、貴様らを逮捕する…！！」

ブリザード「なっ…！！」

悠介「お前らは終わりだ…」

ブリザード「…優来、お前だけでも逃げろ。」

優来「…え、何を…」

ブリザード「行け…！」

優来「っ…！！」

ダッ…

警察「逃がすな、追え！！」

ブリザード「行かせるかよっ！！」

バキュッ

警察「が…っ！？」

ブリザード「…優来、生きろ…！」

あの後、優来は逃げ出したがその後俺は優来に

たくさん迷惑をかけた。

1つでも返さなければ、いけないんだ…。

ーー

…その後、俺達は次の任務のために

依頼人との交渉に望んでいた…。

依頼人「はい…！」

飛那世「うちも半端な値段じゃ依頼は

受けられません、だって命を取り扱って

いるんですもの…。」

飛那世「それを踏まえた上で…

いくら出せます？」

依頼人「二百万、出せます…！」

飛那世「…ほう？」

依頼人「どうかお願いします、娘が殺されたんです、

確かに安いかもしれませんが…どうか…

お願いします…！！」

飛那世「…。」

飛那世「いいでしょう。」

依頼人「…！」

飛那世「悪い金額ではないですし受ける価値は

充分にあるでしょう、我々がお受け

いたします…。」

飛那世「交渉成立です、我々が責任を持って

依頼解決に取り組みましょう…。」

依頼人「ありがとうございます…！！」

飛那世「それでは、依頼解決まで

暫しお待ちを…。」

ーー

優来「今回の依頼、凄い金額だったね…」

飛那世「いや、少しビビりましたよ、あんな額

出すなんてよっぽどのようですね…」

永遠「飛那世も感情動いたんじゃない？

あんな熱意だもん！」

飛那世「いや、全くだけど…」

永遠「えぇっ、そうなの！？」

飛那世「興味ないですよそんなの、どうでも

いいし、バカバカしいですよそんなもの…」

永遠「あはは…飛那世はドライですねぇ。」

飛那世「これでもまだマイルドに言った

方なんだけどね。」

永遠「うぇっ、怖…。」

飛那世「だってそうでしょ…？」

永遠「うーん、確かに私はお兄ちゃんのこと

にしか興味ないしなぁ…。」

永遠「でもすごいなーとは思うよ？娘の

ためにあそこまでできるなんてさ…。」

永遠「それに比べて、私は…。」

飛那世「…？どうかした？」

永遠「…ううん、なんでもない…。」

飛那世「そう…？」

櫻「いやー、これで大分計画が進むね…。」

神野「えぇ、そろそろ全額集まるわね…。」

ブリザード「…ようやく、だな…。」

…ここまで、長いこと待った…ずっと、

長いこと苦しんできた…ずっと…ずっと。

屈辱を、受けてきた…。

もう、苦しまなくてもいいように、

頑張ってきた…。

そして、同じ屈辱を奴らにも味あわせて

やるために…。

俺達はここで再び、立ち上がったんだ…。

そうだ…

あの時もそうだった…

仲間の為に立ち上がって、そして幼かった

あまりに敗れてそして希望を失った…。

…でも、今もこうして生きている。

それには意味がある、そう、この命は今

奴らへの復讐のためにある…

あいつのためにも、俺達が頑張らなきゃだ、

…どうか、見ていてくれ。

ブリザード「…柳太郎、見てるか…？」

ブリザード「絶対に、成功させるからな…。」

ブリザード「これから、本格的に神吹との

戦いが近くなる、準備をしておくんだ…」

優来「…うん！」

…優来が、強く頷いた…。

優来もここまでずっと戦い続けてきた、

今にして思えば今までずっと優来に余るほどの

迷惑をかけ続けていた…。

この戦いが終わったらなにか形のあるもので

返したいのだが…何がいいだろう。

…今はそんなことを考える余裕もないな…。

凍歌「そういえばさ、皆ってどんな経緯で

ここまで来たの…？」

櫻「私は、神吹のせいで親に見捨て

られちゃって…」

凍歌「へー、大変だったんですね…」

華途葉「私も似たようなものかな。」

永遠「私も同じく！」

飛那世「あれ、みんな同じなの…？」

永遠「そう言う飛那世は？」

飛那世「フフフ…気になりますか？」

飛那世「秘密でーす！」

ブリザード「…。」

華途葉「…しょうもないわね。」

永遠「ガッカリだよ…。」

飛那世「えーっ、なんでよー！」

ブリザード「…。」

ﾍﾞﾁｯ

飛那世「あいだっ！？」

ブリザード「…ハァ。」

凍歌「優来はー？」

優来「私は…。」

優来「友達を助けようとして頑張ったけど…

うまく行かなくて一度は諦めかけた…」

優来「…。」

永遠「…そうなんだ。」

ブリザード「俺達はここまでたどり着いた、

全ては奴らに復讐するため…。」

ブリザード「計画はまだ始まった訳じゃない、

それに前回の件も考えると一切

油断は許されない…」

凍歌「…うん。」

櫻「…ねぇ、そもそもあのレーザー装置が

神吹の元で作られた確証はあるの…？」

神野「私、あの時の装置の写真を取ってて、

これを見てほしいんだけど…」

永遠「…これは、紋章？」

飛那世「これは…神吹の組織の紋章ですね。」

櫻「…あ、ほんとだ！」

永遠「確かに…これ、見たことあるね。」

華途葉「ってことはあの組織に神吹が

関与してたってのは確定みたいね。」

優来「だとしたら…神吹にこちらの情報が

漏れてる可能性もあるのかな…？」

飛那世「いや、まさかそんな訳が…」

飛那世「…これって、よく考えられたらマークの

下に製造年数がついてるはずですよね、

これは…」

神野「待って、今拡大するから…」

飛那世「…これは、一番新しい型番のやつ

ですね、しかも作られたのは2ヶ月くらい

前ですね…。」

飛那世「…じゃ、こちらの情報が漏れてる

可能性は高いかもですね…。」

永遠「…でも、どうやって？あの依頼人が

神吹の手先とも考えにくいし…」

華途葉「あの城所とか言う奴が

情報を売ったのか…？」

優来「…ありえないことではない、けどそれは

考えにくいね…。」

華途葉「…でも、どうしてそんなことを

言い切れるの…？」

優来「…それは。」

華途葉「…まさか、この中に…」

ブリザード「…やめよう、これ以上は…。」

華途葉「で、でも…！」

ブリザード「まだ確証もない、

落ち着いて行動すべきだ…」

華途葉「…うん、分かった…。」

華途葉「…でもさ、居ないよね？」

華途葉「この中に、裏切り者なんて…」

飛那世「…。」

神野「…そんなの、居るわけない…。」

飛那世「…流石に考え過ぎだよ。」

華途葉「…そうかしら。」

櫻「ほ…ほら、もしかしたら偶然かもしれない

可能性もあるしさ、そう断定するには

まだ早いよ…！」

華途葉「…でも、信じられると思う？

こんな状況で…。」

櫻「そ、そんなの…」

華途葉「私達は死にかけたんだよ…？

ほんとはああなるはずじゃなかったのに…。」

櫻「でっ、でも…！」

ブリザード「…やめろ。」

華途葉「全うな意見だと思うよ…？

ありえない話ではないし。」

華途葉「それに、怪しそうな人も何人か

居るみたいだしね…。」

華途葉「もしかしたら、櫻さんかも

しれませんしね…。」

櫻「ち、違う…」

ブリザード「やめろ！！」

ドガァン！

優来「ブリザード…！？」

華途葉「っ…！！」

ブリザード「今はそんなことを話しても

無駄だ、もっとしっかりやってくれ…。」

ガチャ…

華途葉「ま、待って、ごめんなさいっ！！」

華途葉「…嘘…行かないで…」

優来「…。」

永遠「頭…冷やしてきたら？少し

冷静さを欠いている様に見えるよ…」

華途葉「…！」

飛那世「…永遠、あんまそう言うことは

言わない方が…」

華途葉「…ハハハ。」

華途葉「私のこと知りもしないくせに

ふざけやがって…ふざけんな…」

櫻「…行こうか。」

神野「え…？あ、はい…」

永遠「…でも、華途葉は？」

飛那世「今は放っといたほうがいいよ、

今の華途葉に触れたら何されるか…」

華途葉「…ねぇ、待ちなよ…神野さん…」

神野「…何？」

華途葉「…ホントはアンタが

裏切り者なんでしょ…？」

神野「…は？」

櫻「な、何言ってるの…！」

華途葉「…だっておかしいでしょ、

突然ここに現れて部に入れてなんて…」

神野「…あなた、何考えてるの…」

神野「歪んでるわ…あなたは…」

華途葉「ふざけんな…！」

櫻「やめて…！」

華途葉「櫻、邪魔しないで…！」

櫻「で、でも…っ！」

神野「…帰りましょう、面倒なことに

なる前に…。」

華途葉「クソ…待ちなさい…！」

永遠「…。」

ーー

ブリザード「…。」

影浦「よう…何かあったって顔だな？」

ブリザード「…何ですか？」

影浦「いや…珍しいと思ってな…。」

ブリザード「…。」

影浦「何かあったんだろ？」

影浦「でもまぁ、お前ならなんとか

できるんだろ…？」

ブリザード「…。」

ブリザード「なぜ、そう思うんです？」

影浦「なんでかって…そりゃ、お前なら

あいつらのことしっかり見て上手くまとめて

くれるだろうからさ…。」

影浦「分かるんだよ、見てきてるからさ…」

ブリザード「…何故そう言い切れる…？」

影浦「俺、ここまで伊達にお前らの顧問して

来てるわけじゃないし、信用してるんだぜ？

お前のこと…。」

影浦「ブリザード、お前には真冬の会を

まとめ上げる力もあるしあいつらも絶対に

ついてくるし問題も解決する、俺が保証するよ…」

ブリザード「…そうですか。」

影浦「何だ？自信なさそうだな…

もっと自信持ってもいいと思うぜ？

そんぐらいの力は持ってると思うぜ…？」

ブリザード「…。」

影浦「まぁ、なんとかなるよ…

だって今までもそうやって上手く行ってきたし。」

ブリザード「…ありがとうございました。」

影浦「おうよ、でも無理はすんなよ、

体壊しちまったらそれまでだから…」

ブリザード「…。」

影浦「じゃ、また明日な！」

ーー

優来「…。」

…正直、少し落ち込んでるのかも…。

…あんなに怒ってるブリザードを

見るのは久しぶりだから…。

…それこそ、あの時以来。

…そう、思い出したくもない、あの日…。

ブリザードが、全てを捨て去った日…

それ以来…。

悠介「…来たか、遅いぞ…？」

ブリザード「…よう、悠介…。」

優来「ゆ、悠介…なんであんなことを…！」

悠介「…あはは、そんなこと

決まってんだろ…？」

悠介「全部、俺がありったけ金を

手に入れるためさ…！」

ブリザード「…！！」

悠介「神吹に近づいたのも…柳太郎を

殺したのも…全部俺が金を

手に入れるためさ…！！」

ブリザード「…何故だ、お前はそんなことの

ために俺達に近づいたのか…？」

悠介「ははは…そうさ…！」

悠介「俺は何もぜーんぶ、面倒なことなんて

せずに楽に金を稼いで贅沢だけ

して生きていきたいからさ…！！」

ブリザード「…ふざけるな。」

ブリザード「…この世界にはまともに

食べることも出来ずに死んでいく

人も居るのに…」

ブリザード「お前は…そんなくだらないことの

ために柳太郎を殺したのか…！！」

ブリザード「お前は…お前だけは…！！」

悠介「俺はな、金のためなら仲間だろうと

殺してやるさ…！」

ブリザード「…それが、お前の答えか…。」

ブリザード「…失望したよ。」

優来「…ブリザード。」

その時には、すでにブリザードは

銃口を握っていた…。

そして、その銃口を構えると…

ブリザード「…死ね。」

バギュウン

悠介「な…っ！！」

ブリザード「…。」

そしてブリザードは2発目の弾丸を

放つと…

バギュウン

悠介「どこ…撃ってやがる…外れてるぞ…」

ドサッ！！

悠介「なっ、待って…」

ドガァン！！

悠介は雪崩に埋もれて事切れた…。

その後はよく覚えてない、けどあの後

ブリザードは警察に捕らえられた…

けど、何とか助けることに成功した…

そして計画を進めるために各地を旅して、

仲間を集めることになるの…。

…ブリザードはあの日から変わってしまった、

純粋無垢で明るい少年から、冷酷無比で

無慈悲な殺人鬼に…

変わるしかなかった、こんな世界だから…

でも、私は彼と、復讐鬼と化したブリザードと

同じ道を歩むことにした…。

それしかなかったから、私にはそれ以外の

選択肢は存在しなかったの…

私は、私のことを一人の人間として認めてくれた

初めての人と離れたくなかったから…。

…それに。

これ以上ブリザードが苦しむ姿を

見たくなかった…私の大切な人が絶望する

姿をもう見たくなかったから…。

これ以上ブリザードを苦しませないために

私にできることなんてこれくらいしか

無かったから…。

私はもうこうなったことを後悔していない…。

…だけど。

ブリザードは今も苦しみ続けている…。

誰かが助けなければブリザードはいずれ

壊れてしまうかもしれない…。

私が今、ブリザードのためにできることは

ないのかな…。

…考えてはみるけど、何も思いつかない…。

優来「…。」

凍歌「おーい、優来ー！」

優来「…凍歌？どうしたの？」

凍歌「いや、なんか少し思い詰めてそうに

見えたから少し話でもしようかなーって。」

優来「え…う、うん…。」

凍歌「…昨日は大変だったし、

仕方ないけどね…。」

優来「…うん。」

凍歌「きっと華途葉もきっとここが大切で、

だからこそ華途葉なりに守ろうとしたんだ、

だから責められないよ…。」

優来「…うん、そうだね…。」

凍歌「私達にできることはブリザードを

信じて事が収まるのを待つことだけだよ…。」

優来「…そうだよね。」

凍歌「これ以上気負った所で疲れるだけだし、

ブリザードならきっとなんとかしてくれるよ。」

凍歌「彼は、そう言う男だからね…。」

優来「…。」

確かに、そうだ…。

今までもブリザードは、私達をまとめて

ぶつかりあった時でも解決してくれた…。

ブリザードは変わってしまったけれど、

そう言う所は昔から変わっていない…。

たとえ明かりのない道だったとしても

ブリザードは私達を照らして、

導いてくれた…。

きっと大丈夫だと、そう信じるしかないよね…。

優来「…ねぇ、1つ聞いてもいい…？」

凍歌「うん、何…？」

優来「どうして、出会って間もないブリザードの

ことをそこまで信用してるの…？」

凍歌「…私ね。」

凍歌「ブリザードに会ったの、これが

初めてじゃないんだ…。」

優来「…え？」

凍歌「それに、私優来にも会ったことある…。」

優来「っ…！？」

優来「…待って、あなたはもしかして…！！」

凍歌「…私はそろそろお暇するよ…」

優来「ま、待って…！！」

優来「…行っちゃった。」

優来「…やっぱり…。」

優来「凍歌は、灯華なのかな…？」

優来「…。」

問いかけてみても答えが帰ってくることはない…。

結局、あの娘の正体がなんなのか…

わからなかった…。

ーー

凍歌「…。」

永遠「…ん？あれは凍歌さん？」

飛那世「…何か、心なしか笑ってるような

気がするけど、気のせいかな…？」

永遠「…っで、なんか静電気来たんだけど…」

飛那世「あはは…なんでそんな唐突に？」

永遠「分かんない、僕静電気来ることなんて

一つもしてないのに…なんでだろ。」

飛那世「…考え過ぎだよ。」

永遠「うーん、そうかな…。」

永遠「あれ？それはそうとあそこに居るの

優来じゃない…？」

飛那世「あ、ほんとだ、おーい！

優来さーん！」

優来「ん…？飛那世？」

永遠「一緒に帰ろ！」

優来「え…？うん…。」

飛那世「あれ？そういや凍歌さんは

一緒じゃないんですか？」

優来「うん、さっきまでは一緒だったんだけど

途中で別れてきた。」

飛那世「え、そうなんですか…」

優来「…ねぇ、二人とも…」

飛那世「どうしたんですか？」

優来「今、大変だけブリザードのために

何かできることってあるかな…？」

永遠「…と、言いますと昨日今日の

件について…？」

優来「…うん。」

永遠「えー、そうだなぁ…。」

永遠「悲しくなって泣いてるお兄ちゃんに

そっと寄り添って側にいる…。」

永遠「そうして僕しか味方がいないんだと

思わせて依存させる…」

永遠「…って、これ僕の願望だわ、ごめん。」

優来「…それもありかもね…。」

永遠「…え？」

飛那世「いや、ダメでしょうよ…」

優来「…そうかな。」

永遠「うーん、なんとも言えない…」

優来「とりあえずそれに関しては保留かな…」

永遠「でもまぁ、とにかく側にいて

安心させるのが一番なんじゃないかな？」

優来「…確かに、そうなのかな…。」

永遠「でも実際そうでしょ…？そうした方が

お兄ちゃんも安心できるし心を擦り減らす

こともないし…。」

優来「…そうだね。」

飛那世「なーんだ、永遠もまともなこと

言えるじゃん…。」

永遠「なっ、失礼な…！」

永遠「そう言う飛那世はどうなんだよ…」

飛那世「うーん、先輩なら一人でどうにか

しちゃいそうな感じするから分かんないな…

うーん…」

飛那世「一人じゃどうにもならないくらい

しんどそうだったは問題を解決するために

それについて先輩と話しますかね…。」

優来「…なるほど。」

永遠「…飛那世からそんな回答が来ると

思ってなかった…」

飛那世「えーっ、なんで！？」

飛那世「…そういや、優来さんは

どうなんですか…？」

優来「わっ、私…？」

優来「私は…」

優来「負頭を撫でて、優しく抱きし…め…」

…私とんでもなく恥ずかしいこと言おうと

してない？どうしよう…ヤバいな…

永遠「おお…っ！」

飛那世「初々しいですねー…。」

優来「にﾞゃﾞぁﾞぁﾞぁﾞぁﾞ！？」

永遠「あはは、すっごい声出てるよー。」

優来「もう…からかわないでよ…」

飛那世「ほとんどあなたの自滅ですよね…？」

優来「うぐ…」

優来「…でも、私はブリザードの隣に居る

ことが出来ればいいから…」

優来「…私はそれさえできればいい…。」

永遠「へぇ…」

永遠「でも、お兄ちゃんは僕のだから！！」

飛那世「永遠ってそればっか言うね…。」

永遠「ふふっ、でしょ…？」

優来「そ、そんなドヤ顔しながら

言うこと…？」

永遠「うん！」

永遠は少し食い気味に答えた…。

優来「そ、そうだったね…あはは…」

永遠「当たり前だよ！僕がお兄ちゃんを

愛さなかった日はないんだよ！」

飛那世「はいはいそこまで、優来さん

ちょっと引いてるから…」

永遠「えー…。」

優来「…でも、永遠ってほんとにブリザードの

こと大好きなんだね…。」

永遠「うん、お兄ちゃんにはたくさん助けて

もらってるし！」

優来「うん…私もたくさんブリザードに

助けてもらってる…。」

永遠「やっぱ、お兄ちゃんって

すごいんだね…。」

飛那世「先輩って態度はあんなんですけど

人望あるんですね…。」

優来「…やっぱり、そうだよね…。」

…昔からブリザードには人を惹き付ける力が

あった、その証拠にブリザードの周りには

必ずいつも誰かが隣に居る…。

そう言うところもブリザードのいいとこ

なんだな…。

でも、最近はブリザードのことを考えてると

何かもやもやとした気分になって、

胸が痛む…

胸が締め付けられるような苦しみと、

そして謎の高揚感…。

この正体が何なのかは分からないけど…

それは今考えるべきじゃないかな。

永遠「…でも、お兄ちゃんには幸せに

なってほしいよ…。」

永遠「だって…これが罰だとしても

もう充分でしょ…。」

飛那世「…その通りだね。」

…それもそうだ、私達はもう充分すぎる

ほどの罰を受けてきた、裁きならもういらない…

…そうだ、今度は私達が裁くなんだよね…

ーー

凍歌「…ねぇ。」

ブリザード「…何だ。」

凍歌「私が居なくなってから何があったの…？」

ブリザード「父さんが神吹の手先で凍歌の

父さんを嵌めた、そして恐らく来更木祐奈も

神吹と繋がってる可能性が高い。」

凍歌「…え？」

凍歌「祐奈さんが…？本当なの？」

ブリザード「俺は奴の本性を見た、

恐らく奴が神吹の手先である可能性は

高いだろう…。」

凍歌「…それに、ブリザードのお父さんが…？」

ブリザード「…あぁ。」

ブリザード「それに、奴はまだ生きてる…

早く始末しないと…。」

凍歌「…それは、辛かったんだね…。」

ブリザード「…別にそんなんじゃない。」

ブリザード「…目の前に奴が現れたら

すぐに殺す…。」

凍歌「…そっか、覚悟はもう決まってるんだね…」

ブリザード「あぁ…」

凍歌「…やっぱり、変わったんだね…

ブリザード…。」

ブリザード「…こんな世界だから、

変わるしかないんだよ…。」

凍歌「…確かに、そうだね。」

凍歌「…これも、運命なのかな。」

ブリザード「…そんなことは俺達が

知ったことじゃないだろ…？」

凍歌「…そうだね。」

ブリザード「…俺は、優来にたくさん迷惑を

かけた、俺のせいで死人も出た…俺は、

変わることでしか生きていけなかったんだ…。」

凍歌「…やっぱりブリザードも

大変だったんだね。」

ブリザード「…俺はもう、こんなことが

起こるのはごめんだ…。」

ブリザード「…だからここにいる、凍歌も

そうなんだろ…？」

凍歌「…うん。」

ブリザード「…俺達は、残虐なのかも

しれないけど…」

ブリザード「必要悪って言葉があるように、

俺達がやっていることにも必ず

意味がある…。」

凍歌「…うん！」

ブリザード「…俺達は同じ目的を果たすために

ここに集った…。」

ブリザード「もしかしたらこれは運命ではなく、

必然と決められた物なのかもな…」

凍歌「…だったら、いいね…。」

ーー

櫻「じゃ、これから今日行う任務の

概要を話すけど、みんな覚えてる？」

飛那世「はい、今回の敵はr.e.s.o.l、最近できた

組織で強盗が主な業務、ぶっちゃけ対した

ことない小規模組織ですね。」

華途葉「人員も不足状態で敵じゃないと

思うけど…。」

優来「…最近規模が拡大しつつあるんだってね。」

神野「…それに、こないだのこともあったし

油断は一切できないわね…。」

華途葉「それに、この中の誰かが裏切ってる

可能性もあるしね…。」

ブリザード「…。」

華途葉「ま、裏切り者が居るにしろ

居ないにしろ危険になる可能性が高いから

身を引き締めて行くしかないね…。」

優来「それで、おおまかな作戦は前回と

同じなんだっけ？」

櫻「うん、そうなんだけど…」

凍歌「なんか、ボスの部屋までのルートが

面倒くさくて…。」

永遠「確か、ボスの居る部屋に入るために

カードキーが必要なんだけど…そのカードキーは

幹部以上しか持ってないらしいんだ。」

神野「じゃ、確定で幹部を殺さなきゃ

駄目なのね…。」

華途葉「面倒ね…。」

飛那世「ま、要は幹部をぶっ殺せばいいだけの

話です、手間はかかりますがなんとか

なると思いますよ…」

神野「…だったらいいんだけど。」

櫻「…でも、結局いつもとやることは

変わらないから安心して。」

華途葉「…とりあえず、要点は

こんな感じ…？」

櫻「…あとなんかあったっけ…？」

ブリザード「…待て、やっぱり妙だ、

なんで奴ら1年足らずであそこまでの

規模になったんだ…？」

優来「…え？」

永遠「うーん、確かにあそこまでの規模に

なるまで最低でも2年はかかるはず…」

華途葉「…でも、だとしたらまずいよ…」

永遠「え、なんで…？」

華途葉「なんでって、そりゃ…」

神野「神吹が関わってる可能性が高いから？」

凍歌「…！」

飛那世「うーん、だとするとかなり面倒な

ことになりますね…。」

櫻「…だったら、想定外が起こる前提で

作戦を進めなきゃダメだね…。」

凍歌「…奴らとの直接対決も

あったりして？」

飛那世「ないですよそんな可能性…奴らの

基地は僻地にあります、あんな所に奴らが

出向くとは考えにくいです…」

飛那世「それに、この組織があっちにマーク

されてると言う情報はないですし、もし

あるとしたら…」

華途葉「…内通者。」

ブリザード「…そんな可能性は考えたくない…。」

華途葉「…ブリザードは甘いんだよ。」

ブリザード「…え？」

永遠「…何？」

華途葉「櫻も言ってたでしょ？常に想定外を

想定して行動した方がいいって…」

華途葉「それに、そんなんじゃ内通者に

奇襲されて殺されでもしたら

元も子もない。」

華途葉「ブリザードは考え方が甘いんだよ…

だめだよ…それじゃ、いつ死んでも

おかしくない…！」

華途葉「私は、貴方を失いたくないの…だから…

お願い…。」

ブリザード「…俺は死なないさ。」

永遠「それに、いざとなったら僕がお兄ちゃんを

守るよ…お兄ちゃんを傷つける奴は絶対に

許さないから…」

ブリザード「…それに、俺がそんなに心配

なら俺が前線に出ればいい、そうすれば

心配する必要もないだろう…？」

華途葉「そっ、それは…だめ！」

ブリザード「…こんな話をしてても埒が

明かない、この話は金輪際するな…」

華途葉「…ごめんなさい。」

ーー

永遠「…ねぇ、お兄ちゃん…」

ブリザード「…何だ？」

永遠「…ほんとに前線に出ていく

つもりだったの？」

ブリザード「…半分、そうだ…。」

ブリザード「もし、そうしなきゃ行けなく

なったら行く、そのつもりだった。」

永遠「…ねぇ、お兄ちゃん…」

永遠「…お兄ちゃんに何かあっても、

僕が守るから…。」

ブリザード「…。」

永遠「お兄ちゃんが僕の唯一であるように、

僕もお兄ちゃんの唯一になりたい…」

永遠「だから、頑張るよ…」

ブリザード「…永遠。」

永遠「…何？」

ブリザード「…ありがとう。」

永遠「え…？」

ブリザード「…準備、行くぞ…。」

永遠「…え、う、うん…！」

永遠「…お兄ちゃん。」

ーー

そして、準備を終えて敵の基地へ移動した…

目の前にそびえる基地を目の前に、

戦う覚悟を決める…。

永遠「じゃ、行ってくるよ…」

櫻「うん、任せたよ…」

ブリザード「じゃあ、全員持ち場につけ…。」

華途葉「うん！」

凍歌「了解…！」

永遠「さぁて…行きますか。」

永遠「…そこっ！！」

ドガァン！

永遠の放った一撃は基地のドアを破壊し、

その隣につく団員を葬りさった…。

敵兵「っ…！何だ！？」

敵兵「こちら負傷者2名！すぐに応援を…」

ガシャアァン！

敵兵「ぐはぁぁっ！？」

ベチャァッ

櫻「ふぅ…こっちの敵は、残り3人か…」

敵兵「畜生、化物め…俺はまだ

死にたくないぞ…！！」

バギュンバギュン！

敵兵「がぁっ！？」

飛那世「ふぅ、たまにはドンパチも

悪くないかもね…」

飛那世「じゃぁ…行ってこい。」

優来「っ、今だ…！！」

ダッ！

敵兵「まずい、行かせるな！！」

飛那世「…これで敵は我々のカモだ…！」

バギュンバギュンバギュンバギュン

ぎゃぁぁぁぁっ！！

華途葉「…敵の意識が優来に向いてる間に

袋叩き…ってこと？」

飛那世「この戦術も板についてきたんじゃない？

だんだんスピードが早くなってるよ…。」

優来「っ、着いたよ！」

凍歌「敵は…あと4人！逃さないで！」

飛那世「へいへい、言われなくても

やりますよ…！！」

飛那世「おらァッ！」

バギュン！！

敵兵「いぎゃぁぁっ！？」

飛那世「全員…死ねやァッ！！」

ドガァン！！

ぎゃぁぁぁっ！！

神野「…もう大丈夫みたい、行きましょう…！」

凍歌「ここからは2手に別れるね、みんな、

頑張ってね！」

永遠「はい！」

櫻「ブリザード、待っててね…。」

ブリザード「…絶対に成功させてこい。」

櫻「うん…！！」

ブリザード「…。」

だが、何故だろう、胸騒ぎがした。

妙な予感と言うか…この近くからとてつもない

覇気をまとった気配がする。

何かが起こるような…嫌な予感がした。

ーー

優来「さて、私達も行こう…！」

凍歌「オッケー！任せて！」

櫻「幹部、早めに見つかるといいけどね…」

華途葉「とっとと終わらせてしまいましょう、

面倒なことになってしまう前に…。」

優来「うん、早めに終わらせよう。」

華途葉「クソ、雑魚が多い…！」

バギュン

櫻「雑魚は私が引き受けるからみんなは

幹部がいそうな場所を探して！」

優来「分かった！」

櫻「っ、こっちだ！」

バギュン

凍歌「…。」

バギュウン！

敵兵「がぁっ！」

凍歌「…ねぇ、そっちの幹部はどこに

いるの…？」

敵兵「知らないし、お前らに教える

必要もない…！」

凍歌「…そっか。」

そう言って凍歌は敵の傷口に銃口を

押し付けて傷口を抉った…！

敵兵「がはぁっ…何を…！！」

凍歌「分かんないかな？教えてくれないなら

このまま脳天を貫く、これだけ言えば

分かるよね…？」

敵兵「わ、分かった…教える、だから…！！」

凍歌「それで、何処にいるの？」

敵兵「ここを右に曲がった奥の部屋だ…！」

凍歌「…そう。」

バギュウン！！

凍歌「こっちに幹部の部屋がある、来て…！」

櫻「ほんと？じゃ、行こう！」

神野「っ、ここ…？」

優来「じゃ…行くよ！」

そして、扉を開けるとすぐに敵を補足して

狙撃した…

バギュウン

凍歌「ビンゴ…かな？」

華途葉「みたいね、鍵だけ取って

行きましょう…。」

幹部「…！」

神野「華途葉、後ろ！」

華途葉「…っ！！」

バギュウン！

ーー

バギュウン！

グチャ

バギュンバギュン

永遠「なんで僕達二人だけなんだろうね…。」

飛那世「珍しいよね…確か3年前に

ミラーピラフ潰したとき以来だよね？」

バギュン

永遠「え、あれってそんな前だった…？」

飛那世「あの時はほんとに大変だったよね…

あの頃ちょうど櫻さんがすごい落ち込んでた

時期でさ…。」

永遠「そうそう！お兄ちゃんが頑張って

励ましてたけどことごとく上手くいななくて

涙目になってたね、可愛かったなー。」

飛那世「先輩が自分のマシュマロ1個

あげてた時は驚いたよねー。」

永遠「あーそうそう！懐かしいな…」

ベチャッ！

永遠「ん？なんか踏んだかな？」

飛那世「…ん？あれ幹部じゃないですか？」

永遠「あ、ほんとだ！」

飛那世「ちゃっちゃと殺そうか。」

永遠「ごーごー！」

敵兵「くそ…悪魔め…！」

敵兵「よくも仲間を…許さん！」

飛那世「邪魔。」

バギュン！

幹部「…よく来たな、ばけも…」

バギュン

ーー

永遠「…ん？あっ、おーい！」

優来「永遠、それに飛那世も！」

神野「そっちは大丈夫みたいね…。」

飛那世「そっちはどうです？」

優来「…華途葉が撃たれて、庇った凍歌が…」

永遠「…え？」

凍歌「いや、死んでないからね…？」

飛那世「なんだー、生きてたんじゃ

ないですか…」

凍歌「少し左腕に喰らっただけだから

戦闘には問題ないしこの後の戦いにも

参加できるよ。」

優来「…そう？無理したらダメだよ…？」

凍歌「大丈夫、痛くないから…」

優来「そう…？ならいいけど…」

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

飛那世「ブリザード、どうしました？」

ブリザード「…そっちはどこまで行った？」

飛那世「今はカードキーを集めて、あとは

ボスの山口を始末するだけです！」

ブリザード「…そうか、油断だけはするなよ？」

飛那世「分かってます、あと…1つ。」

飛那世「…。」

ブリザード「何…？やはりか…」

飛那世「気をつけてください、すぐそこに

居るはずです…。」

ブリザード「…分かった。」

飛那世「じゃ、これで。」

ブリザード「…そっちも気をつけろ。」

飛那世「…はい。」

ﾋﾟｯ

華途葉「…。」

櫻「よし、それじゃ突入するよ…！」

華途葉「…早めに終わらせましょう？今回は

その方がいい気がするわ…。」

神野「えぇ、そうね…。」

永遠「オッケー、僕に任せて…！」

神野「…。」

永遠「どうかしたの？」

神野「…あぁ、なんでもない…。」

飛那世「それじゃ、行きましょ！」

櫻「えぇ！」

ーー

ガチャ

山口「…なんだ、どうし…」

飛那世「死ね。」

バキュウン！

山口「が…っ！？」

永遠「…やった、命中した！」

山口「くそ…馬鹿な…っ！？」

華途葉「…まだ油断しないで！まだ何か

あるかもしれないし…！」

幹部「…これは！？」

山口「…あれを、起動させろ…！！」

幹部「…ですが、あれは…！！」

山口「もう…助からない、やれ…！」

幹部「…わかりました。」

幹部「…こうなったのも全部、お前らのせいだ…」

櫻「…何を…！」

ウィーン

ﾋﾟｯ…ﾋﾟｯ…

凍歌「…何が！！」

飛那世「チッ、これは…まさか。」

永遠「…っ！」

ﾄﾞｫﾝ！

幹部「チッ…！！」

飛那世「…ブリザード、聞こえるか！？」

ブリザード「…飛那世？何があった？」

飛那世「山口を殺った、その場に来た幹部も

今殺ったが、爆弾がある…！！」

ブリザード「…何？」

飛那世「…しかも。」

優来「これはBBD-38型…まずい！！」

飛那世「…この爆弾が起爆すればここら一体が

消し飛んで私達も…！」

ブリザード「…まさか、BBD-38か？」

飛那世「…そう。」

華途葉「…開かない！！」

永遠「…閉じ込められたか…！！」

永遠「…クソっ、こんなもの…！！」

バキュウン！

永遠「……まさか…クソっ！！」

神野「…嵌められた…！？」

ブリザード「…おい、入り口が

塞がれてるんだが…そっちで何かあったのか！？」

飛那世「え？そもそもあそこの扉は破壊

したはずじゃ…！！」

ブリザード「分からない、何故か元に

戻ってるんだ…！！」

飛那世「…どう言うこと！？」

ブリザード「しかも開かないんだ、まさか

ブレーカーが落ちたのか！？」

飛那世「実はこっちも扉が開かなくなってて…

どうなってるの…！？」

ブリザード「…何発か撃ってはいるが壊れない、

まさか緊急防護システムか…！？」

飛那世「緊急防護システム！？それじゃ隠れてた

扉が上からスライドしたのか…まさかこれが

全域にあるの…！？」

ブリザード「…こんなものまで用意してたとは、

やっぱり神吹か…！」

華途葉「やっぱりこの中に裏切り者が居たんだ…

クソっ…！！」

永遠「…いや、そんなことありえるはずない、

だけどどうして…！！」

ブリザード「…爆弾はあと何分で起爆する…！」

飛那世「あと9分です…！！」

ブリザード「…分かった、今から向かう！」

飛那世「何が！？え、ちょっと！？」

ﾋﾟｯ

ブリザード「…。」

考えるよりも先に、体はすでに行動を

始めていた…。

ダッ！

ブリザード「…うぉらぁっ！！」

ガシッ

ブリザード「ぐ…っ！！」

壁をつたって、屋上を目指す…

おそらくだが屋上までは防護壁は出てきて

いないだろうから…。

敵兵「…居たぞ、撃てー！！」

バキュウン

ブリザード「チッ…邪魔だ！！」

そして、俺は壁の石を取り出して…

ブリザード「死ねっ…！！」

ビュウン！

投げつけた石が敵兵の頭を貫いた。

敵兵「…」

敵兵2「くそっ…化物が…！！」

ブリザード「遅い…っ！」

そして隠し持っていた銃を敵に向けて放ち、

敵の体を貫く…。

バキュウン

ブリザード「…よし、これで…！！」

ブリザード「がぁっ…！」

なんとか10mほどあった壁をよじ登り

屋上まで辿り着いた…

残りの時間は…7分くらいだろうか。

狙い通りだ、屋上の扉に防護壁はない…。

ガシャアン！

問題はここからだ、どうやって防護壁を

破壊してあいつらを助ける…？

ダッ…

あいつらが居るのはこの先か、急ごう…

ブリザード「…あった！」

ブリザード「おーい、皆！」

凍歌「ブリザード…！」

永遠「お兄ちゃん！？」

飛那世「先輩…なんで来たんですか？」

ブリザード「…そりゃ助けるために

決まってるだろ？」

飛那世「アンタ死ぬ気ですか！？状況

理解してます！？外に居れば助かったのに、

バカなんですか！？どうして…！！」

ブリザード「俺一人で助かった所でな…

意味無ぇんだよ…！！」

ブリザード「うおりゃぁぁっ…！！」

ブリザード「飛那世…みんな、俺は何を

したらいい、教えてくれ…！！」

優来「…ねぇ、私考えがあるんだけど…」

ブリザード「優来、何だ…？」

優来「そもそもの話、ここの壁を破る

必要もないんだよ…。」

神野「え…？」

優来「ブリザード、今すぐ私達が居る部屋の

真下へ向かって！」

ブリザード「…分かった！！」

ダッ…！

華途葉「…何する気なの？」

優来「みんな…今すぐ部屋の端に寄って！」

櫻「え…？」

永遠「…分かった！」

ブリザード「…！」

優来の意図はよく分かった…。

優来が考えたことはおそらくあらかじめ端に

寄って真ん中の床を撃って破壊し、そこから

飛び降りて逃げるつもりなんだ…！

ブリザード「…ここだ！」

ブリザード「皆、伏せろ…！！」

神野「…っ！！」

ﾄﾞｫﾝ！

ガシャァァン！！

飛那世「…っ！」

優来「みんな、飛び降りて…！！」

華途葉「…うん！」

そして、全員が飛び降りることに成功した…

優来「よしっ、これで全員ね、

逃げるよっ！！」

永遠「逃げるって、何処に！？」

優来「屋上だよ！」

華途葉「…ねぇ、アンタまさか…！！」

ブリザード「やるしかないぞ…！」

凍歌「…ブリザード。」

ブリザード「急げ、あと2分もない…！！」

凍歌「…うん！」

櫻「…そろそろ！？」

ブリザード「よし、屋上だ…！！」

永遠「まさか、ほんとにやるの…！？」

櫻「…やるしか、ないでしょ…！」

ブリザード「もう時間がない、みんな

覚悟を決めろ…！！」

飛那世「…っ！！」

永遠「…うおりゃぁぁぁっ！！」

そして、一同が一斉に飛び降りて、

それと同時に…

ボガァァァァン！！

建物が爆破された…。

優来「…間に合った！？」

永遠「…けっこうギリギリだったね！」

華途葉「けっこうなんて騒ぎじゃないよ、

死にかけたんだから…！！」

飛那世「いやー、まさかこれが上手く行く

なんて思いませんでしたよ…。」

神野「…入った時はこんなことになるなんて、

思いもしてなかったわ…。」

櫻「ほんと、そうだよねー。」

ブリザード「…ここまでのことになるなんて、

先が思いやられるよ…」

そして、一人ずつと着地し…

タッ…

永遠「ふぅ…全員無事？」

飛那世「…うん、誰も負傷してないよ！！」

優来「…よかった、何事もなくて…」

凍歌「ほんと、そうですね…」

すると、その時一筋の弾丸が放たれた…

バキュウン

華途葉「な…っ！！」

ブリザード「…まだ居るのか、誰だ…！！」

そして、そこから姿を表したのは…

雪村「…。」

優来「な…っ！？」

櫻「雪村颯…！！神吹の最高戦力が

なぜここに…！？」

雪村「神吹様より貴様らを始末するよう

命が下った…貴様らには死んでもらう。」

ブリザード「…最悪だ！」

雪村颯…神吹に一番近い側近のこいつが、

なんでこんな僻地に居るんだ…！！

しかも、よりにもよってこんなタイミングで

現れるなんて…やはり狙っていたのか…！！

雪村「…ふっ！」

バキュウン！

飛那世「よっ…と！」

永遠「この…っ！！」

バキュウン！

雪村「効かぬわぁっ！！」

バキュウン！

永遠「何…っ！」

永遠「っ…ぶない…！」

雪村「終わりだ、死ね…！」

永遠「しまっ…」

櫻「危ないっ…！！」

バキュウン

櫻「っぐ…！！」

永遠「櫻さんっ！！」

優来「クソッ…！！」

バキュウン

雪村「はぁ…っ！！」

優来「弾いた、まずい…！！」

優来「ぐ…っ！！」

凍歌「うおりゃぁぁっ！！」

バキュッ！

雪村「甘いわぁっ！！」

ジャキィッ！

凍歌「…っ、まずい！！」

ブリザード「駄目だ、櫻さんが怪我してるし

これ以上戦っても埒が明かない、撤退だ…！！」

神野「でも、どうやって逃げるの…！！」

ブリザード「俺が囮になってる間に

全員逃げろ！！」

永遠「でも、お兄ちゃんは…！！」

ブリザード「俺のことはいい、早く！！」

飛那世「…行くよ、みんな！」

華途葉「でっ、でも…！！」

飛那世「雪村は先輩に任せるしかない、

このままじゃ櫻さんの怪我が重症化する！！」

凍歌「っ…ごめん、ブリザード…！！」

永遠「お兄ちゃん…！！」

雪村「…。」

ブリザード「お前の相手は俺だ…！！」

雪村「いいでしょう。」

バキュッ！！

ブリザード「…！！」

雪村「それじゃこっちから行かせてもらいます。」

ブリザード「…させるかよっ！！」

バキュッ！！

雪村「チッ…！！」

ブリザード「…死ねぇぇぇっ！！」

雪村「…クソッ！」

優来「…ブリザード。」

…みんな薄々だけど感じていた、

けど、これは…。

優来「…信じたくなかった…。」

ガシャッ！

凍歌「…ごめん、落とした…」

華途葉「…気をつけて。」

凍歌「…ごめん、優来…。」

優来「…ん？これって…」

優来「この髪飾り…もしかして！」

凍歌「…あはは。」

凍歌「もう、隠しても無駄みたいだね…。」

優来「…やっぱり、そうだったのね…」

優来「灯華…！！」

next…