石が割れる

@ku-ro-usagi

短編

たまたま観光先で行った石の博物館で

一目惚れした

小さいけどキラキラしてる石を買ったんだ

棚の上にちっちゃいクッション置いてそこに石を乗せてね

ネットで調べて

見よう見まねで

月光浴なんかもさせてみたりして可愛がってたんだ

そしたら1ヶ月もしないうちに彼氏できて

石のお陰かなぁなんて嬉しくて

それから

一年半くらい経った時

デートの当日に

いきなり石が

飾ってた棚の上から転がり落ちたんだよ

慌てて手を伸ばしたけど間に合わず

よりによってガラステーブルの端の硬いところに当たって

割れちゃった

気付かないだけで地震でもあったかのかな?

その振動で落ちた?

でも石って丈夫な筈だよね?

「何でだろう」

と納得行かずモヤモヤした気分でデートへ行ったら

彼氏に

「ごめん、他に好きな子ができた」

ってシンプルに振られた


それから数ヵ月後に

近くでやってると聞いて石の展示会へ行ってみたら

また

「可愛いなぁ」

って思える石を見付けてね

前よりも少し大きめ

また部屋の棚に飾りながら

「君も可愛いねぇ」

と日々愛でてたら

偶然なんだろうけど

その後にすぐに

彼氏が出来て

そして今度は

あれよあれよと言う間に

とんとん拍子に結婚できたんだ

って


友達に

新居のリビングに飾ってある石の理由を聞かれて

そんな話をしたら


「へぇー、じゃあ今度はあの石が割れたら離婚かな?」

って目を細めて笑う友達


うん

やっぱり怖いのは石なんかじゃなくて人間ですよねってお話








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

石が割れる @ku-ro-usagi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ