第8話  振り返り

陽射しが眩しくて

今を忘れてしまいそう

瞳を閉じて深呼吸して

冷静さを戻している


あの時 気づいてしまった

私はアリの群れの一匹にしかなくて

何の力も勇気も持っていない事

ただの一部にしか過ぎないと


でも一日は始まり終わる

流れていく時間だけが音をたてて

その度 私の心は張り裂けて

動けなくなってしまった


感情なんて要らないのに

時折 湧き上がってきて止められなくて

勝手に足は進むけど

行き着く先には虚しさだけが残り


ふと 振り返れば

邪悪さ無く笑っていた幼い私が

無邪気に笑って手を振っている

その瞳で今を見られたら何か変わるの?


人は少しずつ見るもの聞くものを

濁らせて 大きな膜で包んでしまう

わずかでも幼かったままでいられたら

良かったのになんて思いながら


また朝が来て

夜が来る


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