憧れの解像度

あんちゅー

より鮮明で

どこまで見えてるのが正解か


どれだけ見なきゃいけないのか


本当と嘘に塗れているのに


見える世界は何より煌めいている


僕の目の前はいつも暗くて


出口に明かりは灯らないみたいだ


憧れに惹かれる僕は


光に駆られる虫と同じで


嫌な顔されて終わりだろうけれど


前はひとつも見えてない


ただその憧れで


相も変わらずとぼけた顔をしてる


解像度の低い夢は何より心地良い


忘れられることと同じくらい


堪らなくなるから



時折飛び降りたくなる衝動に駆られ


時折首を括ることを考えてみる


例えば花の絵を見て怖気付いて


勇気は無いからタバコを吸う


心に大きな優越感


肺に僅かな致命傷


冷静になればくだらない事も


口にしてみれば大したことのない事も


かがすらっては命を削る


その一コマだけが僕の全てで


その一コマすらもままならない


だから死にたくなって


だから怖がって


そんな僕に見えるものを問うなんて


画面の中と話してるみたい


何も見えてないあなたへ


何が見えていればいいの?



憧れはあなたのものじゃない


どこまで見えていようが


私達は前を向くだけしかないから


昨日が明日になることは無いし


蝶がサナギに戻ることもない


何も見えてなくてもやる事は変わらない


けれど見えていても変わらない


見えるのならば鮮明に


見えないのならば克明に


明日は私の都合で終わらないから


ちっぽけな目標も


無関心な彼らの声も


私達は全て見て


なるべくだけは分かりやすくなった後に


解像度の高い夢を見る


私は明日を生きたいから


どうしようもないほどに生きたいから

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憧れの解像度 あんちゅー @hisack

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