第六話 北へ向かう

 駅構内の散策を終え、北に延びる在来線に乗り込んだ。新しい車両の二両編成。乗車のドアに押しボタンが付いている。

 出足が遅れたためにボックス席は概ね埋まっていた。仕方ないので、車両の半分を占める通勤電車と同様の対向席に座る。

 正面の窓が大きい。どちらの側の景色が美味しいのだろうか? とりあえず、海を望む視界を選ぶことにしよう。


 耳慣れない「ワンマンカー」という案内の後、列車は静かに動き出した。

 背中に低い陽射しが当たって暖かい。


 窓の中のだいぶ先に近代的デザインのコンベンションホールが見えた。あの辺が海の玄関なのだろう。

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