第四話 地雷

 とにかく酷いもんだった。

 あんな輩が大手を振って公共交通機関を使い、同伴者がそれを諌めることもできず放し飼いになってる事実に暗澹たる気持ちになる。アレを目撃する若者は昭和の親父という集合に絶望するだろうし、排斥すら志向することだろう。


 何度も無駄に立ち上がり、車内販売の邪魔にも、動く度に反応せざるを得ない自動ドアの開閉にも頓着せず、挙句は降りる際にも散らかしっぱなしのテーブルに手をつけることもなく、当然倒した席を直すそぶりも見せずに車両を後にしていた。

 続けて席を立ったおそらくは娘夫婦に「そのままにさせないように」と指摘したところ、頷いた女性が自分で片付けをして出ていった。

 と思ったら、鬼の形相の昭和の親父が戻ってきて、僕の目の前で威嚇を始めた。こいつ、ホンモノの馬鹿だった。近い世代として、とてつもなく恥ずかしい。


 もちろんだが、僕は彼の目の前で警察に電話した。窓の外は雪景色。

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