ターン5-2 偽りの彼女と恋する勇者の物語
「あー終わったぁ……」
「あたしもなんかドッと疲れたわ……」
署までというか、交番で事情聴取を受けた俺達は夜遅くまで拘束された。
何を聞かれたのかについて話をする。
「あたしは被害者だったから、都合の良いときにまた警察の方で聞きたい事があったら今日みたいな事はするかもって」
彼女曰く、心の魔人こと鏑木真也は以前から女性に対する拉致と監禁容疑の疑いが持たれており、警察ではそれに関する捜査で新たに浮上した被害者のひとりである遥に話を聞いていた。
しかしながら今日起きたことしか知らず、彼女は上手く説明が出来なかった。
――心の魔人の支配で一時は洗脳状態だったからな……。
それを本当にあった話だと説明をしたらまともに取り合ってくれなかったらしい。
――異世界じゃないんだし、しょうがない。
「本当にむかつくわ。あたしの心が土足で踏み込まれたって説明しても。何言ってんだこいつっていう顔されて話半分でしか聞いて貰えなかったし」
「仕方が無いさ。警察官は基本的に話の中で真実を見出すのが仕事だ。中立的かつ客観的な立場で証拠を押さえて事件を明るみにするのがあの人達のやり方なんだしさ」
「何でも知ってるのね。さすがあたしの大好きな勇者様……」
遥は俺の腕にギュッと身を寄せて腕を組んでくる。
――まぁ、その証拠品は俺が持っているしな。それにみせろと言われても見せることの出来ない状態になってしまったし。
その件に関しては後であずさに話をしよう。
「ねぇ、この後どこかでご飯でもどう?」
「そうだな。今からだと自炊するの時間的にキツいし、その方が良さそうだな」
「じゃ、じゃあさ。その……1度だけでもいいから……雰囲気のいいお店で一馬とご飯したいなぁ……だめ?」
そんな上目使いで聞かれたら言う言葉はあるだろ。
「その後はダーリンと二人で仲良くラブホテルにいこうかなーって思うの」
「きゃー、もう一馬ったら大胆っ!」
理不尽にも平手打ちを受けそうになるのを軽いフットワークで避けた。
――ん?
「あ、あずさ……」
「やっほーダーリン。どう、幼馴染みと過ごした一夏の恋の行方は?」
――ひと夏ってまだこれからなのにな……。
とんだお邪魔が入ったというより、多分俺達を心配して来てくれたのだろう。
ジェラシーの混じる遥の視線をニコニコと受け流しつつ、あずさは俺達の前にいた。
「で、そのあんたが話す一夏の恋を邪魔している悪い女が何用であたしと一馬のデートを妨害しようとお考えなのかしら?」
「いやぁ、手痛いねぇ。うちはふたりがお巡りさんのお世話になったって連絡があったから駆けつけたのにーこれはひどいなー、うぇーん」
嘘泣きに興じた後にあずさは表情を整えるなり遥にシャキッと指をさすと。
「現世遥くん。今から場所を変えてうちとマジシャンズバトルをしましょう!」
「「は?」」
という事で急遽、俺達は秋葉原のカドショを訪れてマジシャンズバトルをする事になった。
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