乙女ゲーに転生した俺が主人公【ヒロイン】の執事になった。主人公はいつのまにかヤンデレ化していた件について。

ふおか

乙女ゲーに転生

「ルイ?今日あの女と何を楽しく話してたのかなぁ?」

「·······」

「なんで何も言わないの?ねぇなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで―――」


俺は今お嬢様にベットの上で拘束されている。

お嬢様――――いや、乙女ゲームの主人公が何故こんなにも変わってしまったのか。

俺には分からなかった―――――


俺はある日転生した。

転生と聞いてみんなは何を思い浮かぶだろうか。

俺は、転生してチート能力で無双するなどを思い浮かべる。

というか転生するならそれがいい。

しかし俺が転生したのは、乙女ゲームの世界だった。

この乙女ゲームは主人公が攻略対象に、恋に落ちるというコンセプトで、学院系でよくある乙女ゲームだ。

世界観としてはファンタジーに当てはまる。

そう、魔法というものが存在しているのだ。


そして、乙女ゲームの題名は【ある令嬢は、やがて恋に落ちる】略して【あるれい】だ。

まぁ略なんて存在しなかったため、自分で略したものだ。

センスが無いだって?ちょっと黙ろうか^^


さて、俺が転生したキャラは――――

モブだった。

いやね?分かるよ?たしかにモブ転生は多いけどね?なんかもっとこう·····それなりの知名度が高いキャラがよかったな。

かと言って乙女ゲームの攻略対象のキャラにはなりたくないな。


転生先の俺の名前は【ルイ・アルデヒド】

アルデヒド、モブとはいえどそこそこの貴族だった。

だが俺の家系は執事の由来であった。

執事の由来とは、執事としての基礎的なことを勉強し身につけ、特定の貴族の執事になることである。

そして、どの貴族の執事になるかは、親が決めるらしく、10歳の時点でその貴族の執事として働くのである。


俺は現在9歳だ。

次年を一つ重なれば、貴族の執事として働く事になる。

執事としてのマナー、護衛術でも問題ないのだが、

一つ俺には欠点があった。

魔法がある程度しか使えないことだ。

魔法を使うのに必要な魔力というものが俺には少ないのだ。

ここ5年間、魔法を練習していたが一向に使える気がしなかった。

だから、魔法が使えなければ他で補えればいいと思い、

俺は魔法を諦め、肉体強化をするようにした。

剣術などを人一倍に努力した。


そして、俺はまた外で剣を振っていた。


「はっ!」


ヒュン、と風を斬る音がした。

素振り、それは至ってシンプルに見えるが

剣においてとても重要なことだ。


「あなたは相も変わらぬ、ずっと剣を握っていますね」


素振りをしていた俺の後ろから声がした。

そちらに振り返ると、老いた男性····

俺の師匠がいた。


「魔法が使えない分、頑張らないといけないので」

「あなたは充分にガンバってると思うのですがね」

「そうですか?俺····私はまだまだ、だと思っています」

「謙虚しすぎるのも、いけないことですよ」


そうか?と思った。

実際に魔法と武術では何もかも違いすぎる。

どれだけ武術を極めようが魔法の前では意味がない。

努力して手に入れた武術を魔法はいとも簡単にできる。


「それはそうと、師匠、手合わせお願いできますか?」

「良いですよ」


俺と師匠は間合いを取り剣を構えた。

そして俺は地を蹴った。


「はっ!」


カキン、と金属が重なり合う音がした。


「あまいですよ」


そのまま、剣を弾かれてしまい俺は隙を曝した。

それを見逃さないと師匠は距離を一気に詰めてきた。


「ぐっ····!」


危機一髪のところで体制を整え師匠の剣を止めた。


「やはり、強くなられましたね」

「努力は裏切らないってやつです····よっ!」


俺は師匠の剣を弾いた。


「ほう····」


そのまま剣を打ち込んだ。

俺が前進し、師匠は後退していた。

そして最後の一振りをして、師匠の剣を飛ばした。


「はぁはぁ····」

「お見事です」

「お手合わせありがとうございます師匠」

「いえいえ、またお手合わせしたければいつでもいいですよ」


師匠は微笑をしながら言った。


「いやはや、努力というのは、恐ろしものですね····」

「師匠どうしました?」

「いえ、なんでもありません」

「そうですか····では、私は部屋に戻りますね」

「はい、分かりました」


俺は自分の部屋に戻った。

部屋に戻って何をするか――それは日記を書くことだ。

この世界に来て、前世の記憶をもつ俺にとって日記は重要なのだ。

どんなことがあったか、なにが面白かったかなどを書く。

そして最後に前世のことも忘れぬよう日記に綴る。


「やっぱりか····前世の記憶が思い出せない」


そう、前世の記憶が思い出せないのだ。

いや大体の事は覚えているのだが

自分のこと、家族、友人など重要なことが思い出せない。

ここに来て前世の記憶がだんだん薄れていっているのかもしれない。

しかし、過度に思い出そうとすると頭痛がしてしまうため、今日は他のことを書くことにした。


そして、毎日これを繰り返し、1年が経った。

10歳になると執事として働く事になる。

それが今日、俺が貴族のもとで働きに行く日だ。

俺とで馬車に乗り、その貴族

の屋敷へと向かった。

もちろんまだ、どんな貴族かは知らされていない。

馬車に乗り数時間が経ち、止まった。

俺と父さんが外に出ると、そこには大きな建物があった。

見る感じだと、いかにも上位の貴族だな。

そう思っていると、父さんが足を進めた。

俺も一緒に足を進めた。

屋敷の中に入ると、お洒落な装飾品、多くのメイド達がいた。

そして、メイド達が主人の元へと案内をしてくれた。

メイドは扉の前に立ち、トントンと扉を軽く叩き、お客様が来られました。と言った。

そうすると、中から男性の声がした。


「通せ」


メイドは扉を開け、俺と父さんは中へと入った。

中に入ると、男性とがいた。


「ようこそ、遥々遠くから来てくださり、ありがとうございます」


男は丁寧に挨拶をした。


「いえ、こちらこそ、息子を執事として選んでくださりありがとうございます」


父さんも丁寧に返した。


「それでは自己紹介を····ルイ」

「はい」


俺は左手を胸に置き、そして右手を後ろに置いた。


「私の名前は、ルイ・アルデヒドと申します。誠心誠意務めさせていただきます」

「ルイ····いい名だ。こちらも自己紹介をしよう、シャルロット」


ん?シャルロット?どっかで聞いたような····

まさかな····


「はいお父様!私の名前は、シャルロット・レヴィア!シャルロットと呼んでください!」


シャルロット···レヴィア···え?まじ?

なんで驚いてるかって?そりゃだって

眼の前の少女こそが、【あるれい】の主人公なのだから····


――――――――――――――――――――


誤字あったらすみません。


追記=ヒロインをシャルルとしていましたが、よく調べたらシャルルという名前は男性名でした。すみません。今後はシャルロットという名にします。読んでいた方急な改変失礼します。

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