しにがみさん

@Kaede0709

第1話



 「ここは...。」

 

 急に覚醒した意識のなか、私は、ただただあり得ないという感想を抱くことしかできなかった。


 何も見えない、何も聞こえない。だが、すべてを感じる。


 どこか冷たい、なんだろうか、水のようなものに包まれているような気がする。


 でも、実際に「触れている」という感覚がない。


 とりあえず手や足を動かしてみようとするも、特に何かが出来た感じもしないし、感覚が変化したわけでもない。


 私には体がないのだろうか。思考もうまくまとまらない。 どこか頭の中がふわふわとしていて、夢でも見ているような気分だ。




「気付いたか。」

頭の中に声が響く。高くも低くも、大きくも小さくもない。頭の中に直接声や、意思が届くようだった。

「お前は生前、罪を犯した。想像するだけで恐ろしい、悲しい罪だ。

罪を犯したら、それ相応の罰を受けなければならない。

お前の罰は労役だ。自分が何をしたのか、思い出せ。」



遠く、速く、高く、暖かい。自分の意識が、急速にはっきりしてくる。私はどうなるのだろうか。







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