とあるVRMMO小説っぽいのを書きたかっただけ

桜花謳歌

追体験をするシナリオ的なやつ

「ふっ!」

今日も木刀を振るう

「ふっ!」

人の気一つしない山奥で

「ふっ!」

天剣 に至るために

この世に生を受けて十八年、私は家を飛び出した。

何故?

刀を振るため

世の人間は、刀など必要としていない。

それは、血の繋がった者でも同じだった。

十の歳になる頃には刀に魅入られていて、

何とか木刀を手に入れたが

本物は手に入らない。

ならばこのただ一振の木刀で目指すしかない。

それは受け入れられないだろう。

誰に話すでもなく家を出た。

不満があったということは無い。

人に紛れるのが苦しくなり、刀を極めたいと思ってしまっていた。

其の二つが重なり家を出ただけなのだ。

山に着くまでに空腹も、喉の乾きもあった、眠くもなる。

だが、人として生を受けた以上どうしようもなかった。

人の声も聞きたかった

発狂しそうだった。

だがそれ以上に刀を求めていた

静かに刀を振るえる場所をさがしていた。

車の音も人の喧騒もない場所を

そして見つけた。

水場が近く、人気がない。

そこで刀を振っていた。

飯は粘土を口に含み、木の皮を齧った。

そんな生活を続け、身体はボロボロとなった、

もとより患っていた皮膚の病、栄養不足により細くなった手足、まともな睡眠が出来ず隈の出来た顔。

誰が見ても死を予感させるであろう様相をしていた。

それでも毎日、刀を振った。

手の皮が剥がれても、指が動かなくても、肩が重くなっても、足さばきの為に靴の底が抜けて足が血塗れになっても。

刀を振るった。

だが人間、いつか限界が来る。

突如、視界が暗転した。

いつもは、ぼやけていた程度だったが

その眼は何も映さなかった。

遂に来たか、と、悟った。

耳も遠くなっていて、空腹も、眠気も、乾きも何も感じなかった。

ただ刀を振るという意地で立っていた。

嗚呼、次が最期か…と、何となく分かった

最期の一振、健康だった時よりも当然

弱く、遅く、無様な構えだった

だが

空気が変わる

辺りが異様な静寂に包まれる

上段に構える

息を止め

心を無に

最期の

永遠とも感じられる

一振を放つ

「 」

それはかつて憧れだった一太刀

私は、自らの人生最高の一太刀を放ち

意識は暗転した。




彼の最期の一太刀は、確かに憧れに届いた。


彼は死して尚、刀を握り続けた。


彼は暗闇の中、天の景色を見たのだ。













ユニークシナリオ

「我が剣、天届け、振るう刀は、穹を晴らす」をクリアしました。


称号「過去を観し者」

称号「天の剣を観測せし者」

称号「真の剣に至りしもの」

称号「穹を斬りし者」

ユニークアイテム

「穹晴天 神渡」を入手しました。




とあるVRMMOのなろう小説が好きで、それっぽいのを書こうとした結果。

初めて書いた作品がこれ、別のを書くかは分からない

最初で最後かも。

面白い、よく出来てると思ってくれたら嬉しいな。





補足


過去にこんな人物がいて、その人の記憶の追体験、そして天剣に至ると思えるほどの修練を積みスキルありでもいいので天に傷を付けるとクリア(適当)

(オリジナルの人物は技量のみで天に傷をつけた、しかも木刀)


ちなみに、ゲームの設定としては昔、文明が栄えていて近接武器はいらないほどだったが今が魔道具ありでも近接武器等が用いられる程度な感じ(適当)

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とあるVRMMO小説っぽいのを書きたかっただけ 桜花謳歌 @yaminabe95

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