第3話 魔族の食事

 というわけで、北の街到着。


 北の街っていっても、それほど遠くない。外に出て五分程度歩いたくらいかな?


 手下達と一緒に散歩した。楽しかったね。


 それより、僕はこっちに来て初めて外に出たわけだけど、なんか想像してたのと違った。


 家屋も道もボッロボロ。


 まるで、誰かに破壊された後みたい。


 街の開けた場所までやってくると、手下達がどこからか椅子を出してきた。赤い布を掛けられた、金色の椅子。しかも大きい。


 誰がどうやって持ってきたの?


 そう思いながらも僕は何も言わずにそこへ腰掛けた。


「ヨセフ・オリバー様だ! 住民ども、跪け!」


 え? なになに?


 いきなりフォルストがそう言った。フォルストってのは、さっきの銀髪のお姉さんね。


 フォルストのその大きな声にびっくりして、僕だけ身体がビクってなった。


 かなり恥ずかしい。


 すると、そのボッロボロの家屋からボッロボロの住民達が出てきた。


 そして、僕の前に来て跪く。


「えっと……」


 え? なにこれ?


 老若男女が跪いている?


 いい!


 なんだか知らんが、とってもいい!


「ボス。どれにしますか?」


「え? どれって……? 選べばいいの?」


 フォルストが住民達を指差して僕を見ている。


 てか、今更だけど僕の名前かっこいいね。


 なんか知らんけど、たぶん遠足に一緒に行く人を選べばいいんだよね?


「じゃあ……」


 僕は、椅子に腰掛けたまま、その辺にいた可愛い女の子を指差した。


 そしたら泣き出した。


 泣いて喜ぶほど、遠足に行きたかったのかな?


 ま、なにも食べれてなさそうだもんね。


 ガリガリだし。


「リア。お前を忘れない!」

「俺も! 絶対たす……絶対忘れない!」


 って住民たちがお別れの言葉を投げている。


 たかが遠足行くくらいで大袈裟だなー。




 ーーーーーーーー




 え? 遠足は?


 あれから僕らは、そのまま城に帰ってきた。


 そうそうーー僕、城に住んでたんだよね。まじすごいねこのヨセフ君。


 僕が若干拗ねてベットで寝ていると、フォルストがなんかいい匂いを発してやってきた。


「ボス。夕食が出来上がりました」


「わー! 美味しそうじゃん!」


 肉汁滴る肉肉肉。


 が僕の目の前に並べられた。


「お召し上がり下さい。若いものを使ったのでお味はよろしいかと」


 若いもの?


 子豚さんかな?


 感謝を込めて、


「いただきます!」


 うん、美味しい!


 遠足には行けなかったけど、ま、どうでもいっか!


 肉、うまいし。


 あっ!


「そういえば、さっきの女の子は? もう帰った?」


 なんのために選んだんだろうね?


 遠足行かないのに。


「はい。ヨセフ様の口に合わない部分を送り届けておきました。今頃、住人達は喜んでいるかと」


「そ!」


 どうせなら美味しいところもお裾分けしてあげたらいいのに。


 ケチだな。


 ま、きっと、ボスの僕に気を遣ってくれたんだね!

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