奇跡の惑星 地球
本条想子
第1話 中性子星の脅威
我々が地球を乗っ取るかもしれません。258万年前から始まった氷河時代では、4万年周期からチバニアン以降10万年周期の間氷期と氷期の繰り返しが起こっています。このうち間氷期は、毎回1万年ほどしかありません。今後始まる氷期の対策は、地球温暖化のなか地球人の関心事ではありませんでした。
我々の惑星は、近傍にある連星系の中性子星に怯えて生活をしてきました。そこで、そんな危険のない地球を羨ましく見つめてきたのです。今では、地球への惑星移住を考えています。
地球以外にも系外惑星の中にはハビタブルゾーンに位置しているものはありますが、ゴルディロックスゾーンではなかったのです。
系外惑星は、地球同様に近くても遠くてもゴルディロックスゾーンにはないのです。もしあったとしたら、我々は地球ではなく、別の系外惑星へ行くでしょう。たぶん、ゴルディロックスゾーンに系外惑星があったとしたら、もれなく知的生命体が存在して文明を築いています。
しかし、我々の星や地球のような奇跡の惑星は他にないのです。地球を侵略できるだけの能力は我々にはあります。少なくても地球には、3億年の寿命がありますから魅力的です。
600万年の進化は、我々の星でもありました。その結果が、今の姿であるように我々も同じような進化をしてきたのです。ですから、我々生命体が人類と交配してもなんの問題もなく人類に溶け込むことはできます。
しかし、地球との違いといえば我々の星は、惨たらしい戦争をしてきませんでした。我々の星は経済至上主義ではないし、格差社会でもなく人種差別もない平和な星です。それというのも、敵は近傍の中性子星だったからです。
2連の恒星は伴星の8倍近くもありました。大きな恒星は、水素ガスを燃焼してヘリウムに変わる核融合が起き、星の芯で鉄を合成すると、生き急ぐかのように100万年ぐらいで超新星爆発をしてしまいました。
その恒星は超新星爆発で収縮する核の中で強い対流が発生し、磁場が増幅され超強磁場を持ち回転する中性子星のパルサーとなったのです。
パルサーとなると急速に育ち、死んだようになりながらも数百万年生きました。しかし、伴星が赤色巨星になり、膨れ上がると伴星から物質を吸収して毎秒数百回転し、ミリ秒パルサーとなって甦ったのです。そこから、伴星を食べ続けて太陽の2倍もの温度で焼き尽くしてブラックウィドゥパルサーとして数十億年生きるのです。
我々の星では、そんな危険な中性子星のX線やガンマー線の衝撃波の直撃を受けないかと恐怖に怯えているのです。今後もいつ飛んでくるか分からない放射線の死のビームを地下で防ぐのはもう限界です。それで、惑星移住先として地球を決めているのです。
我々は地球に氷期が訪れたら、地球の地下にシェルターを作って10万年後に文明を築きます。たぶん、地球には地磁気逆転が起こるでしょうから、超大国でも生き残れないでしょう。ましてや、独裁政権や専制国家、覇権国家、軍事国家などの少数の特権階級がシェルターに潜もうとしても何年かの短期間で息絶えるでしょう。生き残れるのは心優しい相手を思いやる人類でしょう。そうした思いやる精神を持った人類とは、我々も共生できると思います。
我々は、核戦争だけは阻止する手助けをしましょう。しかし、人類が滅びたら入れ替わりに地球に新たな文明を築くでしょう。地球人は、戦争でしか解決できない歴史や経済至上主義で回ってきた世界で、我々の精神理念を理解できないでしょうから。地球人が滅亡するまで待つしかないと思います。
我々は、戦争ではなく宇宙との戦いの中で協力して高度な技術を向上してきました。しかし、恒星の寿命はありながら、巨大な近傍の中性子星に脅かされ続けてきたのです。どんなにしても、宇宙の摂理には勝てませんでした。我々の惑星も地球同様に奇跡の惑星でした。我々に残された道は、諦めるかそれとも交配して地球人になるか、10万年も待たず優しき生き残りの人類と共に文明を築けるかです。
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