悲しみの調理法

悲しみの調理法


とてつもなく酷い悲しみに

加えるような調味料はなくて

それでも失敗はしたくないから

甘い砂糖を少し入れて混ぜたんだ

苦手なバスに乗った時は

ギュウギュウ詰めで苦しかった

座れないのは誰のせいでもないから

平気な顔つり革に揺られて


怒られるって身構えて震えている手でたえる毎日

生きづらいなあ


生きづらさってどうしたもんかなあ

あの子もあの人も生きづらそうだけど

そうだ、私だけだなんてさ

とても思えなくて

今、今、今だけはベッドで

安心したいだけなのになあ

涙が溢れてくるんだよ、ああ


知らないこと、ばかりの世の中が

いっそ僕をナイフで殺してしまえたら


もしもあの時ちゃんと死ねてたらなあ

今生きてるのは諦めがついたから

それで前に進んでるのか分からない

理解を求めて生きるのに疲れて


自分の気持ち無視するのに人の顔色を窺ってばかり

そんなの誰でもだろう


生きづらさってどうしたもんかなあ

あの子もあの人もたくさんの人が

優しくなれないのはなぜだろうか

つらいことしかない世の中だけど

世の中のせいにしたくないよ

誰かを責めたら楽なのになあ


嘘をついて、まともなフリして

バカになって、ゲラゲラ笑って

泣いて、怒って、悔しくて

だけど生きなくちゃ


生きづらさってみんなあるんだと

思ったらなんだそんなもんかって

嘘をついてまともなフリをして

泣いたり笑ったり悔しいのも全部

料理をするんだ自分のためだけに

好き嫌いせずに食べたら自分のもんだ

涙が流れたら立ち止まって休もう

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