第4話

そんな僕は欲張りなのだろうか。いや、一般男児ならごく普通にチョコレートをもらいたいだろう。もらいたい。ぜひいただきたい。

 世の中はチョコレート祭りだ。忘れるはずはないであろう。恋人たちの一大イベント。片思い中の女子にとっても一大イベント。忘れるはずがないはずだ。

 彼女に誕生日を忘れられた僕は、まさかのマジックが起きないことを望む。


 逆に僕からチョコレートを渡して奥の手を狙おうか。そう逆にウイスキーボンボンを渡して食べさせ酔わせてみせようか。などと、あら想像をしていたら彼女に逃げられる。

 僕の彼女は電波少女だ。僕の感情を察知して彼女の気分を害してしまっては。それだけは勘弁してほしい。もし感情を読み取られず無事にウイスキーボンボンを渡せたとしても、そんな試みようものなら彼女を酔わせるどころか「まずい」と言って吐き出す最悪なシーンが想定されるため、やめておく。


 こんなこと、よい子の未成年者の皆様は決して真似をしてはいけない。お酒は二十歳になってからだ。もちろんウイスキーボンボンも。


 しかし、なぜ。僕が彼女にチョコレートを贈らないといけないのか。

 なぜか逆チョコを想像してしまう僕。全くもって、なんと表現すればよいのやら。まだまだ子供な彼女をどう取り扱おうか。僕から見れば、まだまだ小学生くらいに見えるのだが。幼いというか、あどけないというか。無邪気といか。なのに、人前では大人しい。内気な彼女だ。

 僕の前ではにぎやかだけど。

 僕がいると、全くもって知らない人の前でも、逆に無邪気で明るい時がある。めったにないのだが。そんな彼女を見るのも好きだ。


 僕はまた、足元の雪を少し集めた。その雪で僕は小さな雪だるまを作り、写真に収める。彼女に向けてメールを送ろう。朝の挨拶と簡単な文章を打ち込み、僕は彼女に向けてメールを送った。先ほどの小さな雪だるまの写真を添えて。

 小さな雪だるまを見つめる、僕。なんだか、ため息が出てしまうほど。僕の彼女は愛らしい。僕は仕方なく決意した。彼女の所へ、この雪だるまを持って行こうと。


<完>

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