第8話

「先生は…バレンタインが嫌いなんですって」

「……何で?」

「先生がバレンタインの事を初めて知ったのは、先生が中学生の時らしいですわ。」


※~※~※~※~※~※~※~※~※


2月14日(先生の中学時代)。


南野は女子から 屋上へ呼び出された。


「何だよ東山。こんな所に呼び出して……てか よく屋上に入れたな」

「……遥君っ」

「……は、はいっ?(ビクッ)」


「今日はね“女性が男性に対して、愛を込めてチョコレートを渡す日”なんだって!! だから…はいっ、これ遥君にあげる♪」

「……あ、ありがとう」


今まで誰からもチョコレートを貰った事が無かった南野は とても嬉しかった……。


※~※~※~※~※~※~※~※~※


「その彼女の名前は、東山ヒガシヤマ 飛鳥アスカさん。 漢字は違うけど、私と同じ名前だったのです…」


しかし……。


「それ以来、先生がチョコレートを貰う事は無かったそうですわ…」

「それは…どうして?」


「その一年後、飛鳥さんは…事故で亡くなったんですって…。バレンタイン前日に」

「……そんな―――」


生きていれば、26か27歳。

彼女の夢は…南野と同じ“教師”だった。


しかし…その夢は果たされる事は無かった。

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