転生して使い魔から人になったはずなのですが

紫水晶猫

第1章 始まりの始まり

第1話  初めまして

 パリッ! パリパリ、パリパリパリパリ……


 んえ?


 その日、私は、卵から孵った。


「うわあ、可愛い!」


 銀糸の髪にアイスブルーの瞳。愛らしくも将来格好良くなりそうなご主人さまと私は出会った。


 私は、サファイアテイル鳥。精霊寄りの鳥なのかな? 自分で言うのもなんだけど、サファイアのようなブルーの長くて美しい尾があって、体幹は淡い水色というそれはそれは綺麗な鳥なの。しかも稀少種。その上、魔力を持っていて、治癒魔法が使えるという本当に凄い鳥なのよ。


「お祖父様! 見てください! 僕はこんな可愛くて綺麗な鳥初めて見ました!」


「どれ? おおお! これはなんと言うことだ! サファイアテイルではないか!」


 男の子の横からひょいと私を覗き込んだ老人が驚いた表情で声を上げた。


 それは、そうよね。

 まさか卵から私が孵るなんて思わなかったでしょうから。それというのも、知る人ぞ知る事なのだけれど、私たちサファイアテイルは托卵する鳥なのだ。私たちが稀少種になったのは、便利な治癒魔法が使える鳥という特殊性のために人間に乱獲されたせいだった。だから私たちは知恵を絞って、他の鳥の卵に自分たちの卵を混ぜることにしたのだ。卵を人間に盗まれないように。そういうわけで、この男の子に卵を与えた人も別の鳥の卵だと思っていたと思うのよね。


 それはさておき……

 私は、一目で男の子が気に入ってしまった。


 男の子の名前は、セルリアン・シュバイツェル。こんなにしっかりしたお話をするのに、なんとまだ3歳。とても賢い子だと思う。しかも見てよ! この魔力量! 大人になったらとんでもない大物になると思う。


 そして、この男の子のお祖父様。バルザック・シュバイツェル公爵は稀代の大魔法使いだった。


 私はまだ生まれたばかりで幼いけれど、この男の子の傍にいたいなと思った。

 

 精霊寄りの生き物のせいか、私たちサファイアテイルは一生に一度だけ主を選ぶ。それは魂に刻まれた特性みたいなもので契約によって成される。


 私は、いずれ時が来たらこの男の子……セルリアンさまと契約したいと強く願った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る