番外編

10,000PV感謝エピソード



 皆様、たくさんの応援ありがとうございました。

 皆様への感謝を込めて、番外編をお届けいたします。


 この物語は、ルークとレオンハルトのちょっとした日常のお話です。



 ※本編ではありませんので、読まなくても、問題ありません。

  2人の日常を見てみようかな~という方のみ、ご覧ください。

 

  【番外編】嗜好と指向



 STARTです!!


――――――――――――――――――――――――








 ルーク、レオンハルト7歳。

 ――ある日の夕方。



「レオンハルト殿下。今日は、をしてみませんか?」


 今日の勉強が全て終わったので、『外に出て鬼ごっこをしよう』ということになった。

 鬼ごっこもやってみると楽しいが、違う遊びもしてみたいと思った。

 とはいえ、2人で出来ることは限られている。それながら、鬼ごっこの別バージョンと言っても問題はない『かげふみ』を提案してみたのだ。


とはなんだ?」


 レオンハルトは、眉を寄せながら言った。

 だから、俺は地面に出来ているレオンハルトの少し長くなったかげを踏みながら言った。


「こうやって、鬼が逃げる人のかげを踏んだら『かげ踏んだ!』って言うだけで実際に本人を捕まえなくても、捕まえたってことになるのです」


 レオンハルトは俺の説明を聞いて怪訝な顔をした。


「かげを踏まれた方はどうする?」

「『かげ踏んだ』と言われたら、その場で止まります」


 やけに真剣な顔のレオンハルトの問いかけに俺は、当たり前のように答えた。すると、レオンハルトが大きく頷きながら言った。


「なるほど……鬼の号令で、しっかりと止まるか、という忠誠心が問われるわけか……深いな」


 忠誠心?

 あれ……かげふみってそんな物騒な遊びだった?

 どっちかというと、忠誠心というより、信頼関係なんじゃ……。


 俺がそう思っていると、レオンハルトはさらに納得するように言った。


「さらに、かげを踏めばいいなど逃げる方の難易度が異様に上がることで、逃げる方の本気度が増すということか……面白い。最近、ルークは手を抜くこともあって、真剣さが足りないことがあるからな……」


 本気度が増す?

 逃げる方の難易度が上がる??


 ふと自分とレオンハルトのかげを見ると、陽もかなり傾き、かなり長くなっていた。


 え……かげふみって……鬼ごっこより、逃げる方の負担が大きくなる遊びだったのか……。

 小さい頃はそんなこと考えもしなかったなぁ~~。


 今更気づいた、の難易度の高さを痛感していると、レオンハルトが力強く言った。


「よし、わかった。ルーク。お前の私への忠誠心と、本気度を見せて貰う。さぁ、全力で逃げろ!!」


 どうしよう、レオンハルトさん(7歳)かなり本気モードだ。


「え? なんか、怖いんですけど……」


 レオンハルトが一人で納得して声を上げた。


「では、10数えるぞ。1…2…3……」


 いきなり数え始めたレオンハルトに俺は戸惑いながら声を上げた。


「え? 俺が逃げるの? あ、待って。待って~~ひぇ~~~」


 そして俺が全力でレオンハルトから遠ざかっている最中に、レオンハルトが声を上げた。


「…9…10!! いくぞ、ルーク!!」


 レオンハルトが無表情で追いかけて来る。


「いつもより、怖いんですけど~~~~~!! ひぃ~~~~!!」


 俺が真剣に逃げると、今度は嬉しそうな声が聞こえた。 


「ははは!! いいな!! その必死に逃げる顔!!」

「ひぇ~~~腹黒い~~~~!!」


 俺はレオンハルトの腹黒さを思い出して、本気で逃げたのだった。



☆==☆==



「かげ踏んだぞ……はぁ、はぁ。」

「はぁ、はぁ、はぁ~~~~」


 俺はピタリと立ち止まると、レオンハルトが俺のかげを踏んでいるのが見えた。


「はぁ、はぁ~~あ~~。捕まっちゃいましたね~~」


 俺は息を整えながらレオンハルトを見ると、レオンハルトは不満そうな顔でジロリとこちらを見ていた。


「あの……どうされたのですか?」


 俺はちゃんとレオンハルトの言うところの、忠誠心というか……信頼関係だと思うんだけど、それを見せてレオンハルトの声で止まったし、全力で逃げたと思ったんだけど……。


 機嫌の悪いレオンハルトは、俺のかげをじっと見ていると不意に俺の背中に抱きついて来た。

 背中にレオンハルトの早くなった心音を感じるし、汗をかいていつもよりレオンハルトの熱くなった体温も感じる。


「うわっ!! どうしたんです?」


 突然いつものように背中に抱きついてきたレオンハルトに驚いていると、レオンハルトが耳元でしみじみと言った。


「うん。ルークの匂いがするし、心臓も早いな。よし。……しっかりと、ルークをこの腕で捕らえなければ、捕まえる醍醐味が半減してしまう。今後、は――無しだ! 私は鬼ごっこがいい!!」

「え?! 鬼ごっこ一択?!」


 どうやら、レオンハルトは鬼ごっこの方が好きらしい。

 俺もレオンハルトにこうして捕まえられるのイヤではないが……。


「いやなのか?」


 俺をしっかりと捕まえたいって……なんか問題があるような気がするが気のせいかな?

 まぁ、こどもの遊びだし、深く考えなくてもいいよな?


 俺は「いえ」と大きな声で答えた。

 するとレオンハルトが大声で叫んだ。


「ルーク!! 今度は鬼ごっこだ!! 逃げろ!!」

「え? は~~い」


 そして、またしても鬼ごっこが始まったのだった。




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