第74話 屑籠屋の一日

何でも屋、『屑籠屋』にて。


俺が見た日常の1ページである。




《鬼武者》と《夢想神楽》が来ている。


「むーん……」


「どう?景光?」


「良か、じゃっどん、重心がのう……。羽佐間どん、こん刀、すこぉし先に重心を寄せてくれんか?」


とのこと。


「ん」


言われた通りにする。


「ん……。良か!買うぞ!」


「えー……?もっとちゃんと選びなさいよ!同じような刀何本も買ってないでさー!」


「馬鹿もん、刀なんぞ、斬れればそれで良か。こん店のはよく斬れる」


「あのねえ……、一応、私達って冒険者のトップ層なのよ?もっと装備に拘ったら?」


「じゃっどん、魔具は、おいの腕以外の要素が絡んで面倒じゃて……」


「どうでも良いけど、鬼鋼の刀は一本三百万円な」


『NAME:紅鬼一文字(重心調整済)

RARITY:レリック

ATK:560

DEF:50

特殊効果

精神増大(中)

不壊(中)

チーム廃棄物謹製、鬼鋼製日本刀。重心が剣先側に寄せられて、扱い辛いが攻撃力が微増している。数打ちながらもしっかりとした作りの逸品。』




《パラディン》が来ている。


「武具の整備を頼みたい。やはり、自分で研ぎ直すことはできるが、定期的に専門家に見てもらいたいのだ」


『NAME:グランシャリオ

RARITY:レリック

ATK:500

DEF:100

特殊効果

筋力増大(中)

魔力増大(中)

火属性(中)

雷属性(中)

紛失無効

チーム廃棄物謹製、フレイムダイトとエレクトロダイトの合金製の魔装剣。強力な火属性と雷属性を持ち、メギドライトすら簡単に切断する。二属性を持つので、魔力の消費量が少し多め。』


『NAME:アンドロメダ

RARITY:レリック

ATK:30

DEF:500

特殊効果

耐久増大(中)

防御結界(中)

光属性軽減(中)

闇属性軽減(中)

紛失無効

チーム廃棄物謹製、ルナダイト製中盾。光と闇に対して耐性がある。総ルナダイト製だが、重さは3kg程の軽さで、扱いやすい。しかし、重さがないので踏ん張りがきかない。』


俺は受け取った武具に『フルリペア』をかけて返す。


「……いつも思うが、一瞬で直されると本当に直ったのか疑わしくなるな。いや、疑ってはいないが」




《カラミティ・ジェーン》が来た。


「Hey!マスター!」


「何ですか?」


「今暇?」


「まあ……、暇っちゃ暇ですが」


「武器を一新したいの、付き合ってくださる?」


うわめんどくさ。


銃聖ガンスリンガー向けはこの辺ですから好きに選んでくださいよ」


「試し撃ちと調整……」


「はいはい、やりますやります」


「うーん……、よく分からないわね。商品の説明とかしてくれるかしら?」


つっても、俺達も武器なんてよく分からんから、見本である市販品をモデルに、ダンジョン産の物質で、適当にフィーリングで作ってるからな。


俺達にも武術系スキルが生えてるから、それを元に、使いやすい武器を作ってる感じだ。


一応、俺の権能の中には、武器を扱うスキルも内包されているが……。


それでも、武器戦闘のガチ勢ほど詳しくはない。


武器はシーマの方が詳しいのだ。


まあ、俺でも見れないことはないけどな。


「説明って……、この『鑑定眼鏡』を使えば、見えるでしょう?」


「見ても分からないから聞いてるのよ」


はあ、そうですか。


「まずこれ。愛用してるM700と同じような形ね。でも、原材料のステラダイトって?」


「ステラダイトって言うのは、隕鉄のような性質を持つ金属で、鋼の五百倍は丈夫ですね」


「へえー」


「因みにオススメはこのステラダイト製弾丸ですね。ステラダイトは、運動エネルギーや位置エネルギーが高い状態になればなるほど、鋭く丈夫になりますから」


「つまり、ステラダイトの弾丸は強いのね?」


「そうですね。炸薬もニトロキノコと火炎草という特殊素材で作ってるので、弾速は音速の数倍は出ますよ」


「Wow、びっくりね!このストックの部分は、トリプルホーンレックスの角で出来てるそうだけど」


「トリプルホーンレックスは、三本の角が生えた全長六メートル程のモンスターで、その角は腐食や熱に強く変形しづらいし、冷たくなり過ぎないので、木材の代わりとして使えるんですよ。そして、木材よりもずっと丈夫です」


「へえー!良いわねこれ!試し撃ちしても?」


「あちらです」


試し斬りルーム。


空間操作で広さ無限大にした個室。見た目は更衣室だし、更衣室としても使える。


木人、鉄ターゲット、アムドライトターゲット、メギドライトターゲットなどを用意。


武器弾薬使い放題。


ただし、買わないなら遊びに来るなよ。


『NAME:ティラノバスター&ステラダイト弾

RARITY:レリック

ATK:850

DEF:30

特殊効果

耐久増大(中)

敏捷増大(中)

紛失無効

チーム廃棄物謹製、ステラダイト製ライフル。命中すれば戦艦もスクラップにする。ステラダイトの弾丸は、安全対策のため、1km飛ぶと自壊するようになっている。』


「反動すごぉい……、けど、気に入ったわ!」




《ノヴォルーニエ》が来ている。


「剣の修復とワンドの新調を頼む」


「はい」


『NAME:ラヴィーナ

RARITY:レリック

ATK:450

DEF:10

MGC:150

特殊効果

器用増大(中)

魔力増大(中)

氷属性(中)

紛失無効

チーム廃棄物謹製、フロストダイト製の魔導剣。強力な氷属性を持つ。かなり燃費のいい魔導具。魔石を消費して冷気を産む。』


『NAME:スーミルキィ

RARITY:レリック

ATK:10

DEF:10

MGC:300

特殊効果

魔力増大(中)

闇属性(中)

紛失無効

発動魔法

エンチャントダーク

ダークアロー

ダークソードダンス

ブラインド

チーム廃棄物謹製、カオストレント製短杖型発動体。魔法力が上がる。魔石を消費して四つの魔法を発動する。闇属性魔法との親和性が高い。』




《アスガルト》が来た。


「すいません、『魔獣の餌』ありますか?」


「あるよ」


「いやー、うちの子達、ここの餌が一番好きみたいで……」


『NAME:魔獣の餌(天海街産)

RARITY:ベリーレア

美味しいモンスター用の餌。罠としても使えるし、普通に食べさせても良い。野菜と肉のミンチに魔石の粉を練り込んで乾燥させたもの。人間が食べても別に問題はない。』




今日も、色んな奴が来たな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る