第2話-1

追憶の焦点

第1章 現場復帰


2.皇族来日


 場所はアジア圏上空。一機の航空機が一定の速度で飛行していた。

当機は貸切でモナクライナの皇族や閣僚・官僚、その他関係者しか搭乗していなかった。

 ミーシャは皇帝である父親と談笑していた。


「お母さんの故郷に行くのは初めてだったな?」

「ええ、楽しみだわ」

 モナクライナ国家は皇族に限り、一夫多妻制度が認められている。ミーシャは皇帝第三夫人の長女で、皇位継承者の一人であった。なお、ミーシャの母親は交通事故で亡くなっていた。


「ミーシャ、戴冠式のことなんだが…」

「お父様、その話は帰ってからにして…」

「そうか分かった、すまんな…」

「気にしないで、今は考えたくないから」

 ミーシャは、父親の前で暗い表情を浮かべた。どうやら、自身が皇位を継承することに対して、気が進まないようであった。

 そして…


「………」

 機内に皇帝とミーシャをじっと睨みつける者たちがいた。その者の目つきは敵意や憎悪、殺意さえも感じ取れる。モナクライナ皇室は何か陰謀が渦巻いており、ミーシャは渦中に巻き込まれることとなった。

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