Reunion
わいわい
第1話 天の向こうに(そらのむこうに)
2063年 4月12日
人類が月に到達してから100年。
人類は驚異的なスピードで技術を進歩させてきた。
技術の進歩と共に地球の汚染も急速に進んで行った。
2030年に温暖化による海面上昇により日本の半分が沈んだ。
2033年にはアメリカ、中国、ロシアや韓国が手を取り人類移住の為の宇宙ステーションの開発。
それに伴い2050年には人類の移住が始まり月と火星、そしてNoahへと歩みを進めって行った。
Noah(ノア)とは天体学者、軍経験者とその家族、宇宙技術開発に携わっていた者、宇宙軍に所属している者が集められた独立型宇宙ステーション。
Noahには宇宙軍の基地があり、私はそこの第17航空師団に所属している。
私はもともとアメリカ空軍で戦闘機のパイロットをしていたが、Noahへの移住と共に宇宙軍に転属となった。
トム「ねぇ、今日の式典に来ていく服ってどこにあったっけ?」
エリー「クローゼットの右から二番目。いっつも同じ場所に置いてるのにまだ覚えられないの?」
トム「ごめん、まだ地球にいたころの感覚が抜けないんだ。」
エリー「昔から置いてる場所は変わらないわよ。」
エリーは私が空軍にいるときに出会った大切なパートナーである。
エリーとの出会いは私がまだ空軍に入ったばかりの時に町でチンピラにぼこぼこにやられたとき治療してくれていた軍の医療ナースだ。
エリー「今日の式典が終わったらパーティーにも出るんでしょ?」
トム「行くつもりだけど、君も来るだろ?」
エリー「ええ。式典にもでるわ。」
トム「それなら軍から招集命令が出てるからあとで合流しよう。」
エリー「わかったわ。先に行ってるわね。」
私は彼女にキスをして部屋を後にし、移動用ポッドに乗りこんだ。
ポッドの窓の外には星々が見える。
幼いころの私にはとても信じられない光景が淡々と流れていく。
途中から空軍時代の戦友であるロッズも乗り込んできた。
アナウンス「まもなく78番デッキに到着します。」
ポッドが速度を落とし、ゆっくりと停止する。
扉が開き、私とロッズは足早に基地に向かった。
ロッズ「やばい。また遅刻だぞ。」
トム「遅れたらグースに殺される」
私たちは急いで基地の中に入った。
ロッズ「よし、遅れたのばれてないぞ!」
トム「とっとと座ろうぜ!」
私たちが席に座ろうとした瞬間、「おい!お前ら!」と怒鳴りつけられ、後ろを振り返ると分隊長であるグースがコチラを睨みつけていた。
ロッズ「だから9番ポッドは嫌だったんだよ。」
トム「俺のせいだって言いたいのか?」
ロッズ「お前が9番ポッドのほうが早く着くって言ってたからだろ」
グース「もう黙れ!いい加減学べないのか!」
私たちは黙り込んだ。
グース「まぁいい。時間がないからお前らも早く席に就け。」
席に座るとグースではなく長官から基地の全員に向けてのメッセージが流れた。
長官「今日集まってもらったの私たちの未来に関わることだ。
くだらない前置きは置いといて、単刀直入に話させてもらう。
昨日、大統領から連絡があった。今日から1ヶ月以内に宇宙調査隊を結成するとのことだ。」
私とロッズは顔を見合わせた。
長官「調査隊に派遣される者は式典で発表する。以上」
グース「話は聞いたな。初めての調査隊だが、期間は5年になる予定だ。何か質問は?」
ロッズが手を挙げる。
ロッズ「何故このタイミングで知らせるんです?もっと早くてもよかったんじゃないですか?」
グース「皆の者今日が何の日かわかっているだろう。今日宇宙独立記念日だ。人間が月に足を踏み入れてから百年の記念すべき日だ。
今回の式典で全人類に通達する。情報漏洩の防止の為に今日皆に知らせたのだ。」
ロッズ「聞いておいて言うのもなんですが、俺たち軍人ですよ?
俺らが言うわけないじゃないですか。」
グース「なんだその態度は!営倉にぶち込まれたいのか?」
ロッズ「それだけは勘弁してください。」
トム「やめときゃいいのに。」
グース「さぁ、お前ら時間だ。記念日だからと言って羽目を外しすぎるなよ!兵士らしく振舞え!」
私たちは式典会場に向かった。
私たちはエリーとロッズの妻のアメリアと合流し会場の席に座った。
※アメリアも軍経験者である※
式典が始まり大統領から調査隊を話し始めた。
大統領「式典の最中ですが、全人類の皆様に重大なお話があります。
我々人類が初めて月に足を踏み入れてから早100年、私たちは時の流れと共に技術も発展させてきました。そしてついに全人類が宇宙に移住し、私たちも次のステップに進む時が来たのです。
その次のステップとは宇宙調査隊を結成すること。
軍関係者は先ほど基地の方で話を聞いたと思いますが、一か月以内に調査隊を派遣することに決定いたしました。」
会場内がざわめき始める。
大統領「我々の第二の地球となる星を見つけ出すことや新たな生命体との交流を目的とし、まだ見ぬ新たな脅威に対する防衛の為に調査隊を派遣いたします。
ここまでで何か質問がある方?」
会場内のマスコミが一斉に手を挙げる。
大統領「そちらの方どうぞ」
記者「初めての調査隊ですが、期間はどれぐらいを考えているのですか?」
大統領「約5年間の調査飛行を考えています。」
記者「調査隊はどのように選出されるのですか?」
大統領「主に軍経験者や生物学、天体学、そして医療関係者が調査船に乗船する予定です。」
その後も質問が続き、式典の終了の時間となった。
私たちは式典後のパーティーを楽しみ、淡々と時間が過ぎていった。
名簿には私とロッズそしてエリーとアメリアの名前が書かれていた。
そして調査船が出航する日。
エリー「いよいよ今日からね。」
トム「あぁ。不安しかないよ。」
ロッズ「戦闘機には一切ビビらないくせに宇宙船は怖いのかよ。」
アメリア「あんたも最初ここに来るときビビり散らかしてたくせに。」
私たちは他愛もない話をしながら基地に向かった。
グース「よく来たお前たち!今日から5年間ここへは戻ってこられない!
お前たちを救ってくれる仲間もいない!そのことを肝に銘じておけ!」
ロッズ「下手すりゃ一生ここに帰ってこないかもな。」
トム「お前はいい加減だまってろ。またグースに大目玉食らうぞ。」
グース「おいそこ!何か質問か!」
ロッズ トム「いいえ何も。」
グース「ならおとなしく話を聞け!」
そして宇宙船のあるハンガーデッキに向かった。
グース「これがお前らが乗り込む船のOrca(オルカ)だ!」
目の前にはこれまでに見たことないような船体があった。
船の大きさは全長400m、高さは40m、最大定員は580名。
丸みがあり後方には巨大なブースターが5つついている。
グース「もともと空軍に所属していた者にはこのEZ-1またの名をVulture(ヴァルチャー)にも乗ってもらう。」
ロッズ「ハゲワシってネーミングセンスないなー。」
トム「まぁ地上戦の時に乗ってたF-35と大差ないだろ。」
グース「この一か月の間に訓練は受けたはずだが、シミュレーターと実機は違う。
覚悟して乗れ!」
そして一同が乗船する時間になった。
エリー「これからどうなるのかしらね。」
トム「さぁ。わからないけど一つ確かなのは、我々だけがこの天に居るわけじゃない。」
トムはエリーの手を優しく握りながら話した。
エリー「これからが楽しみね。」
トム「あぁ。」
トムは目の前に広がる大きな天を眺めながら頷いた。
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