In the shelter

In the shelter

シェルターにずっといる女の子がいました。その世界はもうずいぶん空が見えませんでした。それは核戦争の汚染のせいでした。核戦争があって大変でした。みんな地下シェルターに住みました。シェルターでの暮らしはもう何十年何百年と続き、生きてる人みんな空を見たことがなくなりました。代わりに空の絵を映す天井がありました。女の子は空を見たいと思いました。女の子は賢くなかったので、汚染なんて知りませんでした。ただ高いところに登ろうと、友達を誘っていきました。友達と協力して、彼女は地上に出ることができました。満天の空が広がってしました。強く光る星がありました。「私たちはちゃんと出会える」と、彼女は強く思いました。彼女たちは息絶えました。空は晴れても、核戦争の汚染はまだ残っていました。彼女たちは死んでしまったけれど、彼女たちは唯一星空を見ることができました。彼女たちは、特別でした。星を見て死んだ彼女たちが、賢かったのか、賢くなかったのか、それは誰にもわかりません。ただ彼女たちが見た景色は、きっと綺麗だったことでしょう。唯一、本物を手に入れたんでしょう。きっとそれは幸福なことでしょう。私はそう思います。

いま強く星があって、それが彼女だったら、もうそんなの何にも関係なくなるくらいに幸福だと思います。きっと僕たちはそういう星のために生まれてきたんだと思います。僕はそれを信じています。

「僕たちはちゃんと出会える」

きっとずっとちゃんと、僕はそういう話がしたいんだと思います。

「僕たちはちゃんと出会える」

星が落ちて、もうすぐ夏が終わっていきます。