むかしむかし、あるところに一人の王様がおりました。

きらびやかに着飾る王様や、お后様、大臣といった王宮の面々は、

日夜豪華な宴を楽しみ、その裏で町の人々は圧政に苦しんでいました。

そこで町の仕立て屋は、賢い人だけが見える服を仕立てました、と王様に服を献上しました。

見栄っ張りな大臣をはじめ、お后様や王様たちは、見えるはずのない服をそれは素晴らしい服だと言い、仕立て屋の口車に乗せられて、町へ繰り出すことになりました。

賢い人だけが見える服と聞いていた町の人々は、下着姿で歩く王宮の人たちを見て、口々に褒めました。

そんな中、一人の子どもが声を上げました。

「王様は裸だ！裸の王様だ！」

人々はギョッとして子どもを見ました。

「僕と同じだ！」

丈も短く、あちこち擦り切れてボロボロの服を着た少年を見て、

王様は今までの行いを恥じました。

反省した王様は、人々のためになる政治をするようになりました。

そしてボロボロの子どもの服を、賢い人が見える服と言いました。

おしまい。

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