ネズミの一家
@peacetohanage
第1話
ある町の一軒家の屋根裏に、ネズミの一家が住んでいました。
その家ではネコを一匹飼っていて、ネズミ達はネコが外出している間だけ屋根裏から外に出ます。
ネズミ達は今日も木目の隙間から、下界の様子をちゅーちゅー伺い、ネコは飼い主の膝下で毛繕いをしていました。
ネコが気晴らしに窓から一人散歩へ出てってしまうと、ネズミ達はまたちゅーちゅー騒ぎます。
キッチンへ出て行って、砂糖を数欠片取るつもりなのです。
お父さんネズミがまずカーテンを伝って、床に降りました。
そうしてそこから合図を送ると、小ネズミ達もそれに続きます。
皆はまるでネコの抜き足の様に音も無くキッチンへ辿り着きました。
テーブルの足を駆け上がり、戸棚へ飛び移ります。
そうして砂糖壺の蓋を開けると、まず味見をしました。
長男の子ネズミなんかは丸ごと一欠片を胃に収めてしまいます。
その時、キッチンへ家の奥さんが入って来ます。
ネズミ達はうっかり慌てて、壺の蓋を蹴飛ばしてしまいました。
奥さんが不信な音の鳴る方へすぐに歩み寄ると、数匹のネズミがちゅーちゅー見えるのです。
奥さんは腹の底から悲鳴を漏らしました。
途端にネズミ達は大慌て、そうして悲鳴を聞き付けたネコが庭先から駆けて入ってキッチンへ来ました。
ネズミ達を見つけるなり、舌舐めずりをして喜び勇みます。
そこからはしはじの茶番劇が有って、ネズミ達は間一髪の所で無事に屋根裏へと逃げ帰りました。
砂糖も幾つかしっかりと拝借しています。
数日後には人間の業者が訪ねて来て、ネズミ達は引っ越しを余儀無くされます。
しかし沢山駆けて行って見つけた新しい新居には、どうにもこうにも…ネコや動物の居ない家だったのです。
おわり
ネズミの一家 @peacetohanage
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ネズミの一家の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます