執事!チョコレートの準備よ!

つじ みやび

プロローグ とある街に伝わる噂話

この街にはこんな、チョコレートにまつわる噂があった。



昔々、と言うほど昔ではありませんが丘の上には魔法使いの女の子がおりました。


彼女はかつて、青春時代を女の子だけの環境で過ごしていました。楽しかった青春時代。しかし、老衰で亡くなる前に思ったのです。


やっぱり10代で恋愛経験しておきたかった。と。


そこで彼女は思いました。


また女の子に生まれて、今度はたくさん恋愛をしよう!


幸い彼女には実現させることができるほどの力を持っていました。



2回目の人生。女の子はまた女の子の魔法使いとして生まれ、今度は愛に満ちる一生を送りました。


そしてまた、老衰で亡くなる直前思いました。


愛だけでは人を滅ぼす。今度は人を後押しできる人になりたい。



丘の上。高い柳の木の麓にある家の中。3回目の人生を送る魔女はこう宣言したそうです。


『わたくしの目に収まるこの街。今度こそ!絶対みんな幸せにして見せますわ!』


彼女は、まずはそうねと呟き、パンパンと手をたたきこう言います。


『 執事!チョコレートの準備よ!ありったけのチョコレートをここに!』


そうして彼女は、街の人にひとかけらの勇気を届け始めたのです。



この街では、高柳家から配られたチョコを食べたものにはひとかけらの勇気が宿るそう。真実かどうかは、丘の上の魔女とその街の人々のみぞ知るそうです。

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