【金沢】 ハントンライス

 私は悩んでいた。

 ハントンライス。

 金沢のご当地グルメだ。

 体調悪いのにわざわざ食べに行くべきか?

 いや、まだ熱っぽいし、ここは我慢かな……


 そんな時、心の声が聞こえた。




(お前は何しに北陸まで来たんだ?)


 それはもちろん北陸の経済を……


(そんな建前はいい。何のために来たんだ?)


 だから、能登の支援を……


(そんな外向きの建前が、内側のオレに通じると思うか?)


 いや、だから……


(自分を解放しろ)


 …………。


(食いにきたんだよな)


 えっ?


(ハントンライスを)


 いや、私は能登を……


(素直になれ。能登の支援を建前に、ハントンライスを食いに来たと)


 わ、私は……


(金沢の魂、感じずに帰るつもりか?)


 ハ、ハントン……


(そうだ)


 ハントンライス……


(食うんだよな?)


 で、でも、体調悪くて……


(食うんだよな?)


 ハントン……


(食うんだ!)


 ハントンライス!


(食うんだ!)


 金沢の魂を!


(体調悪くても!)


 関係ない!


(さぁ、いざ行け! ハントンライスの元へ!)


 ハントン!




 ……そんなやり取りが私の心のなかであったとか、なかったとか。


 正直、胃に重そうな料理ではあるのですが、これを食べずには帰れないので、思い切って食べに行ってきました。

 金沢駅レストラン街の『カンパーニュ クチーナ&バール』。こちらでハントンライスをいただきます。


 「ハントンライス」とは、金沢のご当地洋食。

 以下、ウィキペディアから転載。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ケチャップで味付けしたバターライスをオムライス状に薄焼き卵で包み、白身魚のフライをトッピングし、ケチャップソースとタルタルソースをかける。金沢カレーと同様に光沢のある銀色の平皿で提供されるのが、オーソドックスなスタイルである。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 さぁ、注文したハントンライスが目の前に!

 おぉ! これはスゴい!

 このお店では熱々のフライパンライクな鉄板で料理を提供。

 オムライスはケチャップベースのソースに浮かぶように鎮座し、その上には2つの白身魚のフライ、そして真ん中には大きなエビフライがドドンと乗っています! タルタルソースのお化粧が艶っぽい。


 それでは、いただきます!


 オムライス、美味しい! ……あっ! オムライスの下に千切りキャベツが引いてある! これは良いアイデア!

 フライもサクサクで、エビもぷりっぷりです♪


 体調が悪いはずなのに、口に運ぶスプーンが止まらない! 額に汗しつつ、ハントンライスをかっこむ私。すくう、運ぶ、食べる、すくう、運ぶ、食べる……ひたすらの反復行動にトランス状態へ陥っていく。これが金沢のソウルフード……いや、金沢の魂! 今、私は金沢の魂に触れ、自らの糧としているのだ。身も心も金沢に染まっていくことを感じる。


 気がつけば、鉄板は空っぽだった。ビールを煽りたいところだが、今日は我慢。これ以上体調崩すのもイヤですし。。


 大きく膨れたお腹をさすりながら、その満足感に幸せを感じる私。

 ハントンライス、食べて良かった。




 さて、問題は夕飯だ。


 『金沢カレー』


 東京でも食べられるのだが、やはり本場・金沢で食べたい。

 しかし、金沢カレーといえば「とんかつ」である。

 ドドンと乗ったとんかつ。今の体調で食べられるだろうか……?

 ボリュームはハントンライス以上だ。

 食べたら吐いちゃうかも。。


 私のしょうもない苦悩は続く……



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