序章-第0話-0
転生g@me
序章/OPENING-STAGE
場所は都内某所のマンションの一室。若い男女が何やら会話を交わしていたのだが…
「どうすんのよ、行くの?行かないの?」
「うーん、だってスキーだろ?」
若い男女二人は卒業旅行の予定について話をしていたが、とても良いムードではなく、口論に発展していった。
「もうあんただけよ、答えを出してないの…」
「だって、温泉旅行の予定だったのに…スキーなんて聞いてないぞ!」
「仕方ないでしょう、スキーが好きな
「僕がスキー苦手なのは知ってるだろ…全く…」
眼鏡をかけた不機嫌な男子学生は
二人は幼馴染だが、大学まで一緒ということに驚かされる。二人は今まで幾度と喧嘩をしてきたが、恋愛関係に支障をきたすまでには至らなかった。長続きの秘訣は…
藤雄は劣等生で、水帆は優等生である。藤雄は水帆にどれだけ助けられ、支えられてきたか、数え切れないほどのエピソードがあるが、世話が焼ける藤雄と世話を焼く水帆、二人は恋人同士というより姉弟、もしくは母子のように思えてくる。
二人の過去を話すと長くなるので、ひとまず本編に戻す。
「…私、幹事なのよ、早く決めて!」
「どうして海外なんだよ?めんどくせーなー…」
「あんただけよ、文句言ってるのは…ほんと我がままね~」
「うるせえな…金ねえし…体の調子悪いし…もう行かねえよ!」
藤雄が結論を出すと、水帆の表情が曇った。
「そう…分かったわ、じゃあ、友達と行くから…もう帰るわ」
水帆は素っ気ない態度を取り、そのまま藤雄の部屋から出て行った。結局、お互い仲直りせず、
二人が会ったのはこれが最後だった。藤雄は後に悔やむことになる。
それから数週間後…
藤雄は風邪をこじらせて、独り寂しく自宅療養していた。彼はつまらなそうにテレビを観ていたが…
「…!」
その時、藤雄はテレビ画面の異変に気づきだした。ニュース速報が流れて、彼は憑りつかれたかのように注目した。
「…スイスの雪山で雪崩事故発生。スキー旅行客が巻き込まれた模様…」
藤雄はニュース速報が原因で、体に異変が起きた。風邪が悪化したわけではないが、彼の様子はおかしかった。
スイスの気高い雪山での雪崩事故。その被害者には日本人旅行客も含まれていた。現実は壮絶なものを描くのであった。
事故に巻き込まれた日本人スキー客は、水帆のグループだった。グループの人数は水帆を含めて五名。
続々とメンバーが救出される中、何故か水帆だけ行方が分からなかった。そして…
徒に時が過ぎていき、現地のチームは苦渋の決断で、水帆の捜索を打ち切り、雪山から降りた。
水帆と旅行した友達は心と体に深い傷を負って、数日後に帰国した。
水帆の家族、友人や知人が悲しみに暮れる中、藤雄は何を思ったのか。
将来、彼女と結婚する運命だったが、彼の人生の歯車は狂い始めた…と思われたが…
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