第10話 まんまるい月

窓の外が妙に明るくなってきた。

どうしたことかしら。月夜だからってこんなに明るくなるなんて道理はない。


顔を出すと月がぐんぐん大きくなっている。大きくなるにつれて夜空が白々と明るくなっていく。


大きく……とはつまり近づいているのだな、とわかるのに少々時間を要した。


地球にぶつかるのかしら?

そりゃ、ぶつかるだろう。


独りでバカな問答をしてるうちにも月は大きくなる。


ぱちんッ。


なんて音がしたわけではなかったけれど、風船が弾けるように、まんまるい月は勢いよく弾けた。


あたりは真っ暗。


暗闇に目が慣れてくると、案外真っ暗ってわけでもない。


あれ?

まんまるい月が素知らぬ顔で夜空に浮かんでいる。なにごともなかったかのように。



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