陰陽思想(陰陽説)の初歩の初歩

カイ.智水

第1話 陰陽思想・陰陽説とは

陰陽思想・陰陽説とは


 中国占術でおなじみの概念が「いんようぎょう説」です。

 そのうち今回は「陰陽思想」について述べます。


 そもそも「陰陽思想」は「五行学」とまったく関係がありませんでした。「陰陽思想」が生まれたときには「五行学」は概念すら存在していなかったからです。




 「陰」と「陽」は元来「天候」を指す言葉でした。

 『詩経』のような古書において「陰」は曇りや日陰、「陽」は日差しや日向の意として登場しています。


 『左氏春秋』昭公元年において気候は「陰」「陽」「風」「雨」「晦」「明」の「天の六気」で構成され、「陰陽」は「寒暑」の要因と考えられました。

 また昭公四年において「陰」「陽」「風」「雨」が季節を特徴づける気候の要因として扱われています。


 『管子』幼官篇において明確に「春の燥気」「夏の陽気」「秋の湿気」「冬の陰気」として「寒暑」の原因とされるとともに「四時(四季)」の気候が変化する要因のひとつとして扱われました。つまり「春は(乾燥した)風」「夏は(暑い)陽」「秋は(湿った)雨」「冬は(寒い)陰」というわけです。


 やがて「四時」の気候を統轄する上位の概念となり、万物の消長盛衰といった変化全般を司る概念、さらに万物の性質を二元に分類する概念として昇華されていったようです。




繋辞伝より

『易に太極あり、これ両儀を生ず。両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。八卦は吉凶を定め、吉凶は大業を生ず』


 とあるように、「陰陽思想」の最たるものは「周易」です。

 六十四の卦はそれぞれ六つのこう(陰陽を表す線)によって構成され、全三百八十四爻で吉凶を判断します。

 この一本の爻の意味を「陰陽」だけで解き明かしたのが「周易」だからです。




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