第129話 地球儀一周 🎐
サイダーやすかつと一つ抜けて空
つながれて山羊おとなしく夏木立
夏雲やたれにも告げぬ小さき幸
真つ青なアオザイのごと夏の空
草の上にボールひとつや木下闇
犬去りし庭にゑんじゅの花の房
いつしゆんに地球儀一周昼寝の子
背中からさびしさ募るハンモック
わるびれず日向に咲いて姫女苑
ふうはりと風が味方や合歓の花
水脈奔る太き茎なり百日草
電柱にすがりつきたき立葵
白地着て今日といふ日を軽くする
NOだけの過去にあらずや藍浴衣
愛着や洗ひざらしの夏帽子
田蛙の気配もなくて昼日中
帽子屋は傘屋の隣り夏日影
珈琲のひと口うまし夏香る
呉服屋の二階のチェロや釣忍
打ち水やアジア映画の映画館
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