第102話 おそろひ 👚



紙皿にうぐひす餅の一つあり

日も月もひとつ地球も月日貝


何歳でも朝は希望や風光る

老犬のねむねむねむし芝桜


自転車の姉妹おそろひ春の服

園児らの帽子ひらひら春時雨


明日葉のたひらをあゆむ一個体

春風に乗るアナウンス遠くまで


つばくろの蔵の屋号の当字かな

石切のごと堰を切るつばくらめ


さへずりやみどりのバイク森に入る

いづこへか気の向くままに柳絮とぶ


人はみな影を連れ行く春の昼

レンタルの自転車きらり夏隣


古さびし性別その他メーデー歌

今日もまた昼の憩いや昭和の日


春光にまなこ細める猫の神

道野辺に漂ふ影の遊糸かな


春陰やかつて中流ちゅうるとされし城

ミステリー夜半の浅蜊ぶつぶつと




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