第22話 万緑コンサート 🎼



蜜豆や会館カフェで待ち合せ

クーラーや民芸家具の底光り


老杉の枝と枝との木下闇

万緑や水色褪せぬ旧校舎


大暑なり合唱団は同窓生

ちらほらと学生もゐる夏館


涼風になびく暗幕日の盛り

万緑や百脚ほどのパイプ椅子


夏服や家族一同引き連れて

甚平の老爺も混じる和みかな


折り畳み日傘をたたみ受付へ

香水の仄かな手首かさねおく


緑蔭の講堂に振るタクトかな

ハンカチや舞台のピアノドイツ製


夏シャツに黒のボトムス五十人

女子団員かぶりものして夏旺ん


輪唱に『百万本の薔薇』咲ける

おごそかに『大地讃頌』白団扇


入魂の『遥かな友に』夏木立

全員で『ふるさと』うたふ涼しさよ




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