第10話 枝の音符 🪺
囀や枝に音符を置くごとし
ぢゆぢゆぢゆぢゆと少し濁りて囀りぬ
小夜曲ひとり聴きゐる緑の夜
亀鳴くや絵の女われを見つめをり
夏夕べ幼のピアノ猫ふんじやつた
エリーゼに捧げるメロディ夏の月
シャーペンの芯のでこでこ扇風機
司書問へる「お探しですか」冷房音
屋上にドクターヘリや夏の雲
形あるものみなむなし蝉時雨
駅前のガールズバンド秋うらら
笙あぶる烏帽子の楽人良夜かな
改札に子らを迎へる秋日和
子ら帰る家は都会や秋の声
室町の星見るふしぎ虫集く
山頂の野外ライブや星月夜
孤立せぬ孤独のなごみ草雲雀
かさかさと枯葉の客や風の舟
大寒の深夜ラジオに能を聴く
レコードの軋めるジャズや冬深し
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