第4話 耳敷きて 🦮



大型犬ふはふは笑ふ栗の花

花いばら木曽馬の耳やはらかし


麦あらし野獣一頭駆け抜ける

みいちやんの居場所はここよ白牡丹


なす術もなく刈られゐる羊かな

緑蔭に馬つながれて軽井沢


庭下駄や川辺の宿の瑠璃蜥蜴

こう見えて硬骨漢の水母たり


家ごとに小橋あるまち夕蛍

戦争に征きし耕馬や遠花火


耳敷きて眠れる仔犬秋うらら

亀どちのひとつ方向く秋の昼


腹見せて吹かるる雀初あらし

犬の名を寅さんといふ鰯雲


あかるさといふさびしさや冬雲雀

スーパーの品出しバイト石叩き


簡単に買はれゆく犬小晦日

三連符打つ啄木鳥の「冬の旅」


春雪や帽子かぶせて猫の墓

犬の尾に満ちる力や春隣





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