第28話 ライブ序曲 🎶



短夜を眠れぬままに暁へ

朦朧と朝一カフェへ油照


寝不足の客と店員サングラス

歳時記に詠む連作やソーダ水


信号のビルの日蔭の涼しさよ

首都圏にはたらく家族夏の雲


商店は出店のしたく炎天下

夏川や露店の軒を並べ初む


烏賊やきやりんご綿飴にぎやかに

お好みと金魚すくひはまだらしき


足取りも軽き浴衣の少女たち

威勢よく青い法被の男子たち


図書館の海の底めく夏木立

冷房音閉架の本を依頼する


帰り来て麦茶飲み干し入浴す

まなうらに昔の祭り愉しめる


傾けばさしもの溽暑いくらかは

どうぞもう酷暑治めと願ひます


遠雷もけふは近くへ寄らざりき

日の入りや祭囃子の聴こへ初む




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